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令和4年2月定例会(第3日) 名簿
令和4年2月定例会(第3日) 本文

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  1. 佐賀県議会 2022-02-03
    令和4年2月定例会(第3日) 本文


    取得元: 佐賀県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-28
    最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1     ○ 開     議 ◎議長(藤木卓一郎君) おはようございます。これより本日の会議を開きます。     ○ 報     告 2 ◎議長(藤木卓一郎君) まず、諸般の報告を行います。  上程中の議案のうち、乙第二号議案につきまして、地方公務員法第五条第二項の規定に基づき人事委員会の意見を求めましたところ、お手元に配付いたしておりますとおりの回答がありました。      ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 人委第一一五四号 令和四年二月二十四日  佐賀県議会議長 藤木卓一郎 様                 佐賀県人事委員会委員長 伊藤 正    地方公務員法第五条第二項の規定に基づく意見について  令和四年二月十七日付け佐議第一九九一号で意見を求められた左記議案については、異議ありません。        記 乙第二号議案 佐賀県職員の育児休業等に関する条例の一部を改正する        条例(案)      ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 3 ◎議長(藤木卓一郎君) 以上、御報告いたします。  日程によりまして、代表質問を開始いたします。  通告に従い、順次発言を許可いたします。 4 ◎定松一生君(拍手)登壇=おはようございます。自由民主党の定松一生でございます。
     昨日来、国際秩序の根幹を揺るがすロシア軍によるウクライナ全土にわたる侵攻が続いており、ウクライナ国民にも多くの犠牲者が出ることに心を痛めております。大国ロシアのリーダーの決断、軍事的な侵攻という選択が破壊をもたらしたことに憤りを感じています。G7をはじめ、各国が一致協力して対処することが求められます。知事も同感だと思います。  それでは、自由民主党会派を代表して今県議会の代表質問をさせていただきますが、県政課題全般十七項目についてまとめております。県内には留守茂幸自民党県連会長を筆頭に一万余の自民党員がおられ、昨年七月から当県連政務調査会が主催する政調懇談会において要望をまとめ、九月議会中に知事へ提出をしております。今回もこの質問に際し、自民党県議団の若手十二名の政務調査会の県議の皆様方や先輩議員の御指導により作り上げておりますので、県のトップリーダー山口知事の県民に寄り添った答弁をお願いいたします。  まず一項目め、知事の県政運営の基本方針についてであります。  知事の二期七年間を振り返ってみますと、佐賀県総合計画の基本理念に掲げる「人を大切に」という言葉が象徴するように、県民の目線に立って、県民の気持ちに寄り添い、県政運営に当たってこられました。  例えば、一期目の就任直後に発生した鳥インフルエンザや令和元年と令和三年に発生した豪雨災害への対応では、迅速な初動対応や刻一刻と変わる現場の状況を踏まえ、的確な判断をされながら、現場の指揮を行い、復旧復興、「プロジェクトIF」などの防災対策にも力を注いでこられました。  また、新型コロナウイルス感染症対策への対応につきましては、医療環境を守るため、「プロジェクトM」を即座に立ち上げるとともに、対策本部会議において知事自身が県民に直接説明するなどリアルタイムで情報発信されており、特にチーム佐賀、オール佐賀の合い言葉は危機に立ち向かう県民の心を一つにするものとして、とても印象的で好感が持てるものであります。  こうした知事のリーダーシップやスピード感、そして、県民への心の寄り添い方については、私も非常にすばらしいものがあると考えており、昨年十一月に佐賀新聞が実施いたしました県民世論調査においても、約八割の県民の皆さんが評価しているという結果であります。  一方で、県民世論調査において評価しない理由を見てみますと、「政策に期待が持てない」や、「行動力」などが上位を占めております。  こうした背景には、佐賀空港自衛隊使用要請九州新幹線西九州ルートの整備方式など国政課題の解決に向けた知事の姿勢やスピード感などに対して県民の不満があるのではないかと推察しているところであります。もちろん国政課題については様々な意見がある中で、知事には大変厳しい判断が求められることは十分に承知しているところであります。慎重になり過ぎて判断が先延ばしになってはいないかとも感じております。判断が難しい国政課題こそ、県の将来に大きな影響を及ぼすものでありますから、待ちの姿勢ではなく、もっと積極的に知事自身が関わり、機を読み、判断すべきときは県の代表として判断していく必要があると思います。  二期七年を経て、県民の約八割が知事を評価していることを考えれば、そうした県民からの支持を背景に、県内だけでなく県外、そして、海外からも評価される「世界に誇れる佐賀づくり」に向けて邁進できる時期を迎えていると思います。  ついては、県民からの評価をどう受け止めているのか、また、知事は二期目三年間の県政運営をどのように総括し、二期目の仕上げに向け、来年度の県政運営にどのような方針で臨もうとしておられるのかお伺いをいたします。  次に問二、財政運営についてであります。  令和四年度佐賀県一般会計当初予算案は五千七百十億五千八百万円となり、過去最大の規模となりました。この主な要因は、新型コロナウイルス感染症対策や令和三年八月豪雨災害に対応するもののほか、未来を見据えた、人への投資によるものであります。ちなみに令和三年度当初予算は五千五百六十四億六千三百万円、最終予算が六千三百八十七億一千四百万円ということでありますから、新年度の最終予算は六千五百億円を超えるのではないかと想像しております。  今回、執行部からは、令和四年度の県債残高約七千七百二十億円と過去最大となることが示されております。また、これまでの大型公共投資によって、今後、公債費の増加や設備の維持管理が発生することで財政負担が増加することを懸念しております。それに加え、全国的な傾向ではあるものの、少子・高齢化に伴い、社会保障関係費が依然として増加傾向にあること、そして、中長期的には人口減少に伴う税の減収も想定され、今後の佐賀県財政の見通しがどうなるのか心配をしているところであります。  そこで、次の点についてお伺いをさせていただきます。  まず、現在の県財政の状況はどのようになっているのか、そして、今後の見通しについてお伺いをいたします。  次に、県内経済を見てみますと、新型コロナウイルス感染症や原油価格の高騰などの影響により、県内の中小企業や農林水産業者は大きな打撃を受けております。県としても積極的に支援することが必要であります。  また、令和元年佐賀豪雨、令和三年八月豪雨災害を踏まえ、内水対策の防災・減災対策をより一層推進するとともに、県内の経済や県民の生活を支える社会資本整備もしっかり行っていくことも重要であると考えます。  そこで、次の点についてお伺いをさせていただきます。  積極的な財政運営についてでありますが、今後の財政状況に留意しながらも、県勢の発展のため、そして、何よりも県民の命と生活を守っていくために必要なものはしっかりと予算を投じていく積極的な財政運営を行うべきだと思いますが、知事の所見をお伺いいたします。  次に、三項目めであります。佐賀空港の自衛隊使用要請への対応についてであります。  防衛省から佐賀県に対して佐賀空港の自衛隊使用要請がなされたのは、今から七年半前、平成二十六年七月でありました。  現在までのこの間、我が国を取り巻く安全保障環境は厳しさと不確実性を増しており、尖閣諸島周辺においては中国海警船がほぼ毎日接続水域において確認されるなど、我が国領海への侵入を繰り返しております。さらに、領海に侵入した中国海警船が日本の漁船へ接近する動きを見せることもあり、横着で挑発的な状況はますます深刻度を増しています。  そのため、令和三年二月定例県議会に我々自民党県議団が中心となって、政府及び国会に対して「尖閣諸島周辺の領海・排他的経済水域における安全確保について適切な措置を講じることを強く要望する」意見書を提出し、可決されたところであります。  防衛省においては、島嶼防衛能力の向上を図るため、平成三十年三月に佐世保市の相浦駐屯地に水陸機動団を新編し、有事の際には陸上自衛隊のオスプレイによって部隊を迅速かつ効率的に輸送することとなされております。しかしながら、陸上自衛隊オスプレイ佐賀空港配備がなかなか進展しない状況を踏まえ、令和二年二月に木更津駐屯地での暫定配備が決定し、令和二年七月から五年以内を目標とする暫定配備が始まったところであります。  水陸機動団や陸上自衛隊オスプレイの能力を十二分に発揮するためには佐賀空港への配備が不可欠であり、一刻も早く実現させなければならないと思っています。  こうしたことから佐賀県としても、陸上自衛隊オスプレイの配備に合わせてヘリコプター部隊が移駐する目達原駐屯地が所在する吉野ヶ里町や上峰町に配慮しつつ、最大限の協力をする必要があると考えます。  知事は平成三十年八月、「防衛省からの要請を受け入れ、公害防止協定覚書付属資料の変更について有明海漁協と協議させていただく」という判断をされ、同日、有明海漁協に対し、協議の申入れをされたところであります。その後も複数回にわたって有明海漁協等を訪問し、覚書付属資料の変更の申入れをされてきたと承知しております。  県からの申入れを受け、有明海漁協においては、防衛省による本所、支所での説明会や地権者説明会などを経て、昨年十一月に開催された漁協内の検討委員会において、計画予定地の排水対策など三つの事項に対して防衛省の考え方が示されることを条件に、公害防止協定覚書付属資料の変更に応じるとの決定がなされました。  そして、十二月十四日には西久保組合長が知事を訪問してその旨を記した回答文書を手渡されました。  今回の有明海漁協の決定は大きな進展であり、有明海漁協からのボールを受け取った知事は、これまで以上に積極的に対応していく必要があると考えます。そのため知事は、しっかりとした組織体制を構築し、スケジュール感を持って取り組んでいく必要があると考えますが、今後、佐賀空港の自衛隊使用要請への対応についてどのように取り組んでいくつもりなのかお伺いをさせていただきます。  次に四項目め、九州新幹線西九州ルートについて二点お伺いをさせていただきます。  まず一点目は、開業に関してであります。  西九州ルート武雄温泉-長崎間の開業日が今年の九月二十三日に決定をいたしました。新幹線が停車する武雄温泉駅、嬉野温泉駅の周辺では、ホテルや飲食店、道の駅など、官民一体で整備が進められており、いよいよ開業が近づいているなと実感してきたところであります。  武雄市や嬉野市の関係者の話によると、地元の開業への期待感は強く、開業に関するPRや記念式典は県も一緒になって取り組んでもらいたい、温泉駅で降りてもらえるまちづくりを支援してほしいとの声を聞きました。  私も、開業が契機となって地域が明るく活気にあふれ、佐賀県全体の浮揚につながればと期待しており、県はこうした声にも率先して取り組んでいただきたいと思っております。  開業と同じタイミングで全国から観光客を迎える「佐賀・長崎デスティネーションキャンペーン」が予定されており、県内に多くの観光客が訪れていただけるものと期待しております。  また、開業により武雄や嬉野と長崎間が約二十五分とより近くなることから、長崎が通勤圏内となり、移住者の増加も期待できるのではないかと思っています。  新幹線の開業によって影響を受ける長崎本線沿線地域においても、武雄市や嬉野市から観光客を呼び込むことができれば、活性化につながると考えられることから、県においては、武雄市や嬉野市だけでなく、ほかの市町や地域とも連携し、県全体に開業効果が広がるよう取り組んでいただけたらと思います。  ついては、開業に向けてどのように取り組んでいくのか、知事の所見をお伺いいたします。  次に、二点目は新鳥栖-武雄温泉間についてであります。  新幹線の開業については先ほど述べたとおり、県内に多くの来訪者を呼び込もうと、それぞれの地域が開業に向け盛り上がっていく中で、整備方式が検討されている新鳥栖-武雄温泉間の議論はますます注目されることとなります。  現在、国土交通省鉄道局と「幅広い協議」が行われていますが、フル規格による整備が最も効果的と主張する鉄道局、また、フリーゲージトレインの可能性を含め様々な可能性を追求する佐賀県との議論は、なかなか交わらない状況が続いています。  私は、西九州新幹線の開業も間近に控え、これまで以上に注目されるであろう新鳥栖-武雄温泉間の議論について、県としての方向性が見いだせるよう、スケジュール感を持って積極的に取り組んでいただきたいと思います。  このような中、昨年十二月に西九州ルート与党検討委員会の委員長に鹿児島県選出の森山裕議員が就任されました。報道によりますと、先週十六日に東京で山口知事と面談され、その際、知事はこれまでの経緯や関係者との合意事項を説明し、佐賀県の立場に理解を求めたとされており、次は森山委員長が来県されるとなっております。  整備新幹線の方針を実質的に決定している与党検討委員会の委員長と面談を重ねることは大きな意味があると思いますし、何よりも与党検討委員会とは良好な関係を築いてもらいたいと願っております。  ついては、森山委員長との面談を踏まえ、新鳥栖-武雄温泉間の議論について、今後どのような姿勢で取り組んでいくのか、知事にお伺いをします。  次に五問目、有明海・玄海の水産業の振興についてであります。  本県は、北に玄海、南には有明海という異なる魅力を持つすばらしい海を有しており、二つの海ではそれぞれの特性を生かした漁業が展開されております。  玄海は、玄海国定公園にも指定されている風光明媚な砂浜や壮大なリアス式海岸を有し、そこではマダイやブリ、カキやクルマエビなど、魚介類の養殖業が営まれ、また、呼子のイカとして重要な観光資源となっているケンサキイカや天然のマダイなどを対象とした漁船漁業が営まれております。  一方、有明海では、最大六メートルにも及ぶ世界屈指の干満差を利用した日本一のノリ養殖や竹崎カニとして有名なガザミ、江戸前ずしの高級ネタとして有名なコハダなどを対象とした漁船漁業が営まれております。  これら二つの海で営まれる特色ある漁業は、沿岸地域の経済を支える重要な産業ですが、その現状は高齢化による担い手の減少や地球温暖化が原因の一つといわれている海域環境の変化による漁獲量の減少、また、燃油などの資材価格の高騰などにより厳しい経営状況が続いており、さらに、有明海では諫早湾干拓潮受け堤防の締切り以降、赤潮の影響による西南部漁場でのノリの色落ち被害や、夏場に発生する貧酸素水塊等による二枚貝等の漁獲量の減少が続いており、漁業者の皆さんは開門調査を含む有明海の環境変化の原因究明と水産資源の回復を強く望まれております。  しかしながら、環境変化の原因はいまだ明らかにならず、また、再生事業による水産資源の回復も漁業者が成果を実感するまでには至っていないのが現状です。  このような中、県では、漁業に携わる皆さんが将来的に安心して漁業を営めるよう、二つの海において様々な漁場環境の改善対策や水産資源を直接増やすため、種苗放流、さらにはノリの色落ち対策や二枚貝の資源回復技術の開発などといった取組を続けられています。これらの取組を今後とも力強く進めていくことが重要と考えます。  しかしながら、今日の海域環境や漁業者を取り巻く現状を踏まえれば、ICT技術を活用した効率的な漁業の推進や、漁獲物の魅力を正しく伝え、その価値に見合った価格で買ってもらえるような消費喚起の取組など、これまでになかった新しい取組にもチャレンジしながら、二つの海の再生と水産業の振興を図っていく必要があります。  そこで、県は、有明海、玄海の水産業の振興に向け、漁業者のための取組を今後どのように進めるのか、知事に所見を伺います。  次に六項目め、エネルギー行政についてであります。  国は、二〇二〇年十月に二〇五〇年度までに温室効果ガスの排出を実質的にゼロとすると表明し、二〇二一年四月には二〇三〇年度に温室効果ガスを二〇一三年度から四六%削減することを目指す、さらに五〇%の高みに向け挑戦を続けることを表明した。  我が国で排出される温室効果ガスは、その約九割がエネルギー利用に由来する二酸化炭素、いわゆるエネルギー起源CO2であるとされ、温室効果ガスの排出を削減するためにはエネルギー分野の取組が最も重要になります。  このため国では、エネルギー政策の道筋を示す第六次エネルギー基本計画を二〇二一年十月に閣議決定し、二〇三〇年度における電源構成について、太陽光や風力などの再生可能エネルギー比率を三六%から三八%とすることを目標と定めています。この再生可能エネルギー導入の目標値は二〇一九年度の実績と比較して約二倍という野心的なものであります。  しかしながら、再生可能エネルギーには天候や時間帯によって発電量が変動する、そういった課題があり、現在は火力発電が需要と供給のバランスを保つ調整力としての役割を担っているということになります。再生可能エネルギーの発電量が天候や時間帯によって左右される以上、将来的にも調整力は必要であるため、エネルギー基本計画では調整力として用いられる火力発電の燃料を水素やアンモニアなどを活用した燃料へと段階的に置き換えていくことが想定されています。  視野を世界に広げれば、二〇二一年十一月に英国グラスゴーで開催された国連気候変動枠組条約第二十六回締約国会議、いわゆるCOP26では二一〇〇年の世界平均気温の上昇を産業革命前に比べて一・五度以内に抑える努力を追求する、このことが合意されており、温室効果ガスの排出を実質的ゼロとするカーボンニュートラルの実現は世界の潮流となっております。  また、欧州連合の主要機関である欧州委員会は、原子力及び天然ガスをCO2排出削減に貢献するエネルギーに位置づけるとの方針を発表しています。  そこで、二点お伺いをいたします。  エネルギー政策についてでありますが、カーボンニュートラルの実現は世界中が一致団結して取り組むべきものであり、地方自治体も積極的な取組が必要と考えます。具体的には再生可能エネルギーを中心とした社会の実現に向けた取組が重要となると考えています。  しかしながら、比較的容易に導入が可能とされている太陽光や陸上風力発電、これらについては開発が進んでおり、大規模な開発が難しくなりつつあります。  そのため国は、エネルギー基本計画において洋上風力の大量導入を実現するとしており、県においても唐津市沖への洋上風力発電事業の誘致に向けた取組が進められています。  こうした点を踏まえると、カーボンニュートラルの実現に向けた取組を効果的に進めていくために、まずはしっかりとした方針が必要不可欠であります。その上で水素エネルギーのように社会構造の変革を伴うような取組については、長期的な視点に立って継続していくことが重要であり、あわせて地方としてできること、地方だからできることについて着実に取り組んでいくことが必要であります。  県は、カーボンニュートラルの実現に向けたエネルギー政策について、どのような方針に基づいて取組を行っていくのでしょうか。  二点目には、原子力発電所に対する姿勢であります。  私はカーボンニュートラルの推進のためにも、原子力発電は必要と考えていますが、安全が大前提であることは言うまでもありません。こうした中、玄海原子力発電所では、一昨年、令和二年に九州電力が総点検を実施した後、一年もたたないうちに四度にわたってトラブルが続きました。  今月二日、九州電力が県に対しトラブルについての検証結果を報告し、県は七日に南里副知事が玄海原子力発電所に行って、安全対策についての取組状況を確認していますが、県民の安全・安心のために、九州電力には、安全を最優先に、緊張感を持ってしっかりと対応することを求めていく必要があると考えます。  一方、これらのトラブルの影響もあって、特定重大事故等対処施設や緊急時対策棟といった重要な施設の工事の遅れが懸念されます。特に、特定重大事故等対処施設の設置期限は、三号機が本年八月二十四日、四号機が九月十三日となっており、期限までに設置することができなければ運転することはできません。  そこで、玄海原子力発電所に対して、今後、県としてどのような姿勢で臨んでいくのか、知事の所見を伺います。  次に七項目め、新型コロナウイルス感染症対策についてであります。  新型コロナウイルス感染症については、オミクロン株という感染力が非常に強い変異株の出現により、全国で感染が急拡大し、本県を含め多くの都道府県が「まん延防止等重点措置」の対象地域となるなど、これまでに経験したことのない感染規模となりました。  県では、第一波の感染者が少ない段階から、先手先手で医療提供体制を整えるため、医師と県職員から成る「プロジェクトM」を立ち上げ、コロナ専用病床宿泊療養施設の確保、医療資機材の調達、自宅療養者への支援などに取り組まれ、これまで成果を上げられています。  特に、昨年の夏、デルタ株が主流であった第五波においては、一部の自治体では必要な医療が受けられない様子も報道されていましたが、県は医療体制を守り、県民の生命と健康を守るために取り組まれたところです。また、その後も、第六波への備えとして、臨時医療体制の施設、新たな宿泊療養施設の準備など取組もされてきたところであります。  さらに、検査体制の強化として、新型コロナウイルス感染症の診療や検査を実施する医療機関の拡充、及びPCR検査機器等の整備支援、また、県の検査能力の増強、さらに薬局等での無料検査の実施など、多くの検査需要に対応できるよう取り組まれてきました。  しかしながら、今回の第六波においては、佐賀県の一日の新規感染者数が令和四年二月二日には過去最多の五百六十八人となるなど、第五波の際の一日当たりの最大新規感染者数が百八十二人をはるかに上回ることとなり、多くの陽性者への対応や検査需要の増加による抗原検査キットの一時的な不足など、課題があったのではないかと思います。  また、新型コロナウイルス対策の柱の一つとして、ワクチンの三回目の接種が挙げられます。昨日の発表では、全国で一六・五%とのことでありました。この三回目接種は、昨年十二月に開始されたところですが、一回目、二回目接種で使用したワクチンとは異なるワクチン接種、いわゆる交互接種が可能となる中で、希望者数に対して供給量が十分でないファイザー社製ワクチンに人気が偏っていることなどから、全国的に一回目、二回目の接種と比べると順調に接種が進んでいないような気がしております。  新型コロナウイルス感染症が蔓延してから二年経過していますが、いまだに収束の見通しが立っていません。今後も、感染の新たな波がいつ発生してもおかしくない。また、今回のオミクロン株は、減少傾向ではあるものの、緩やかに感染が減少するといった富士山型、もしくは富士山型からなだらかな傾斜というふうなことが考えられるということであります。  喫緊の課題であるワクチン三回目の接種をどのように進めていくのかお考えをお示しください。  次に八項目め、災害対策についてであります。  国や自治体には、国土と国民の生命、身体及び財産を災害から守り、国民の暮らしを維持していくことが求められます。このため県では、これまでの長い間、河川や砂防施設などハード整備や、県民への防災啓発や地域防災力などのソフト対策に尽力されてきたと思います。  しかし、近年、日本各地では大規模な災害が相次いで発生しています。平成二十八年には、九州を初めて震度七の揺れが襲った熊本地震。平成三十年には、平成以降の豪雨災害では初めて死者が百人を超え、災害関連死も含め二百六十人以上の死者となり、本県でも二人の死者や家屋の全壊被害が発生した西日本豪雨。関東と北陸に甚大な被害をもたらした令和元年東日本台風、いわゆる台風十九号。熊本県の各地で記録的な大雨を観測し、大規模な浸水被害で社会福祉施設千寿園をはじめ、多数の人的被害が発生した令和二年七月豪雨。そして、昨年、令和三年においても、静岡県熱海市では大規模な土石流が発生し、多くの人命が失われました。  少し前まで大きな災害が少なかった本県においても、ここ数年は災害の激甚化が現実化しております。平成二十五年度から運用された大雨特別警報は、本県では平成三十年から四年連続で発表されています。  また令和元年には、六角川や牛津川沿いの市町や佐賀市市街地などを中心に、広範囲にわたり家屋や店舗などが浸水するとともに、大町町の工場から油が流出し、周囲の住家に大きな被害をもたらした令和元年佐賀豪雨が発生しました。このときは、県では約三十年ぶりに水害による災害対策本部を設置することとなったと聞いています。  そして、それから僅か二年、昨年八月には、一週間で年間降水量の半分を超える千ミリ以上という記録的な降水量の豪雨災害が発生しました。県内各地で浸水被害や土砂災害が多数発生し、被害総額は三百八十八億円と、令和元年佐賀豪雨の三百三十三億円を超えております。  幸いにして、人的被害は佐賀豪雨より少ないものとなっていますが、土砂災害で、まさに間一髪、奇跡的にも命が助かったというような事例が発生しています。  昨年八月の豪雨で被災された方に話を聞くと、佐賀豪雨から僅か二年後に再び被害に遭うとは思わなかった、雨が降るたびに心が折れると口をそろえて言われます。また、今回被災されなかった方も、次は自分が同じような被害に遭うかもしれないと不安を感じられている県民の方も多いのではないかと考えています。  実際、私の娘が武雄市の北方町におりました。床上浸水百八十センチということでございましたので、冷蔵庫が浮いて照明器具につかえて破壊していたというふうな状況であります。車ももちろん水没しましたが、間一髪で我が家に逃れてきたということであります。本当に悲惨な体験でありました。  このような状況を鑑みれば、私は、これまでの延長のような災害対策をそのまま続けていくだけでは、県民の生命、身体及び財産を十分守ることは難しくなっている時期に来ているのではないかと考えております。  今年も出水期を迎えますが、県民の災害に対する不安を少しでも解消し、安心・安全に暮らせる県とするため、どのように災害対策に取り組まれていくのか、知事にお伺いいたします。  次に九項目め、文化・観光の振興についてであります。  本県には、全国に僅か六十三カ所しかない国の特別史跡のうち三カ所、吉野ヶ里遺跡、名護屋城跡並びに陣跡、基肄城跡、そのほか世界遺産の三重津海軍所跡、私の地元には、九州を代表する戦国武将、龍造寺隆信の居城である須古城跡など有形の文化財をはじめ、ユネスコ無形文化遺産である「唐津くんちの曳山行事」や「見島のカセドリ」といった伝統的祭事、「脇野の大念仏」や「音成の面浮立」など伝承芸能、伊万里・有田焼をはじめとする陶磁器など、価値ある文化的資産が数多くあります。  知事は、「人を大切に、世界に誇れる佐賀づくり」を基本理念とされ、佐賀を世界に誇れる魅力的な県にしていくために、郷土の歴史や文化のすばらしさを再発見、再認識し、地域文化を発展させていけるよう、伝承芸能をはじめとした各種施策にしっかりと取り組まれていると聞いています。  このほか、今年三月には、地域の宝である文化財を地域全体で保存するだけでなく、活用、継承にも軸足を置くような方針が策定されるなど、期待をしているところであります。  長引くコロナ禍により社会活動が停滞している中、文化芸術活動が継続できるような、リアルとオンラインを融合した文化芸術祭、LiveS Beyondを開催するなど支援をしてもらってはいますが、一方では、地域の伝統行事が開催できず、技術の継承や世代交代がうまくいかない、そういう声が聞こえており、世代を超えて結束を深め、郷土を育み、地域の活性化につながる文化的な活動を守っていくためには、さらなる対策が必要だと考えます。  加えて、現在進められている名護屋城プロジェクトのように、文化コンテンツの魅力を高め、広く発信していく取組ももっと必要だと感じています。
     また、私としては、新たな発見が期待される日吉神社の未調査区域の発掘調査などに併せて、吉野ヶ里遺跡の価値を発信して、光を当てていくことを考えるべきだと思っています。  このように、貴重な文化的資産を守りながら活用していくことは、県民だけでなく、県外や海外の方にも佐賀の魅力を伝えることとなり、ひいてはそれが観光にもつながっていくものではないかと考えています。  人の動きが停滞したことで、県内観光業も深刻な影響を受けていると認識しており、支援を継続するとともに、観光が再開される際には、すぐに対応できるよう国内外からの観光客を迎え入れるために環境整備や地域の観光資源の磨き上げなど、今からしっかりとウイズコロナ、アフターコロナを見据えた準備をしておくべきだと考えます。  知事は、文化・文化財を今後どのようにしていきたいと考えているのか。またそれらを含め、県内の魅力ある資源を生かした観光振興にどう取り組んでいかれるのかお考えをお伺いします。  次に十項目め、「SAGA2024」を契機としたスポーツの振興についてであります。  現在、県では二〇二四年に佐賀県で開催される「SAGA2024」国民スポーツ大会・全国障害者スポーツ大会に向けて、会場整備や運営、選手育成など準備を進められております。  数十年に一度の大きなイベントであり、大会の成功はもとより、この大会の盛り上がりを一過性のものにすることなく、新たに整備した施設の利活用をはじめ、県民誰もが「する」、「育てる」、「観る」、「支える」など、それぞれのスタイルでスポーツを楽しむ文化がさらに定着し、地域でのスポーツの裾野が広がるような取組を進めていただきたいと思います。  昨年の東京オリンピック・パラリンピックでは、多くの国民が選手の姿に感動し、特にパラアスリートの活躍は、障害者スポーツが注目される機会となりました。二〇二四年の全国障害者スポーツ大会においても、多くの県民に障害者スポーツを知っていただく機会となることから、これを契機に障害者スポーツに触れる機会をさらに増やしていただきたいと考えます。  また、佐賀にはサガン鳥栖、久光スプリングス、佐賀バルーナーズ、レオブラックスサガ・レオナイナーズと、地域が誇るプロスポーツチームがあることから、スポーツ全般において県民の関心を高め、盛り上げる存在として活躍していただきたいと考えます。  県では、SAGAスポーツピラミッド──SSP構想を打ち出し、「SAGA2024」をゴールとすることなく、スポーツの力を生かした人づくり、地域づくりを進められておりますが、当面の大きな通過点である「SAGA2024」に向けて機運醸成や大会後の施設の利活用、子供たちの育成を含めたスポーツの裾野拡大などについて、どのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。  十一問目、商工業の振興についてであります。  一昨年、令和二年三月に県内で初めて新型コロナウイルス感染者が発生して以来、本日に至るまで感染者数及び重症者の状況に応じて医療環境を守るための非常警戒措置や「まん延防止等重点措置」が実施され、飲食店への時短営業の要請が行われてきました。  その都度、飲食店の皆さんをはじめ、県民の皆さんの御協力により感染者数が減少し、県内の医療を守ることができていますが、一方で、地域経済に大きな負担がかかることとなりました。コロナ禍により特に飲食店やホテル、旅館等は人流の減少によって売上げが減少し、非常に厳しい状況となっています。  こうした中、本県では全国に先駆けて実施した金融支援に始まり、その後も状況に応じた様々な施策を実施して幅広く事業者を支えてきたものと認識しています。その都度、業界の方々からも知事に対してお礼の言葉をいただいたところでもあります。  しかしながら、コロナ禍により多額の借入れを行った事業者の中には、返済を開始しているものの、計画どおりに返済するのが難しいとの声も聞きます。これからも県内の中小企業が事業を継続できるように、柔軟な対応によりしっかりと下支えをする必要があると考えます。  一方で、半導体の材料を製造するSUMCOが伊万里市に新たな製造工場を建設するという話や、IT企業の立地、スタートアップ企業の様々な賞の受賞など、明るい話題もあります。  ウイズコロナ、アフターコロナを見据え、本県経済に活力をもたらすような、まさに山口県政が目指す「豊かさ好循環の産業さが」を達成するために、社会経済環境の変化に対応した施策を力強く推進すべきと考えます。  具体的には、コロナ禍による社会変容やデジタル技術の進展を受け、県内の事業所においてはDX──デジタルトランスフォーメーションによる新たなビジネスへの転換や、ビジネスのやり方そのものも変革する必要性が従来以上に増しております。  また、地域経済の持続的成長・発展のためには、スタートアップ企業のさらなる掘り起こしと育成が不可欠であると考えます。  以上申し上げた点への対応も含め、今後の県の発展のため、中小企業の事業継続を支えつつ、商工業者の皆さんが希望を持って前に進んでいけるよう施策を進めていただきたいと思いますが、知事の所見をお伺いいたします。  次に、十二項目めであります。農林業の振興についてであります。  農林業は、食料や木材、これを安定的に供給する重要な役割を果たすとともに、美しい景観の形成や水源の維持などの機能を有しています。  また、近年、異常気象による自然災害が頻発する中で、水田やクリークによる貯水機能や、森林の持つ地滑りや土砂崩れ発生抑制機能など国土保全にも大変重要な役割を担っております。  私は、こうした大切な役割を果たしている農林業を守っていくと同時に、産業として発展させていくことが大変重要と考えます。  県では、高い収益が見込まれる園芸農業を振興するため、「さが園芸888運動」、これを展開されており、これまで市町やJA、生産者など関係者と一丸となって新たな露地野菜の産地づくりや施設園芸の生産拡大などに取り組んでこられたところであります。この結果、露地野菜の生産に必要な機械の導入に加え、集出荷施設やリース方式による園芸ハウス団地の整備などが進み、園芸生産を拡大していく基盤は整いつつあると評価しております。  今後、園芸農業の産出額を大きく伸ばし、「さが園芸888運動」で掲げる八百八十八億円という高い目標の達成を図るためには、これまで重点的に取り組んできた生産対策に一層力を入れるとともに、販売対策にも併せて取り組んでいただくことが重要であると考えます。  さらに、農家の所得向上に向けては、新たに整備されるブリーディングステーション「佐賀牛いろはファーム」や佐賀県高性能食肉センター、これらを活用した畜産振興などにも取り組んでいく必要があると考えます。  昨今、農家の高齢化で離農が進む中、次世代の担い手の確保、育成が重要です。現在の基準で集計を始めた平成二十年度以降、最も落ち込んだ平成二十九年には百人程度であった新規就農者はトレーニングファームなどの施策の効果もあり、近年では百六十人程度まで増加しております。まだまだですね。  産地規模を維持するとともに、今後の発展を図るためには、引き続き意欲ある新規就農者の確保が不可欠であります。加えて、地域の重要な担い手である女性農業者の経営参画、その推進や障害のある方が農業で働く農福連携にも力を入れる必要があると考えます。  一方、中山間地域に目を向けると、担い手の減少や耕作放棄地の増加などが平たん地域よりも進んでおり、中山間地域の農業を取り巻く状況は年々厳しさを増しています。このため、中山間地域の農業を守るための取組を強化していくことも重要と考えます。  また、林業では、これまで木材価格の低迷などにより伐採が進まず、十分に手入れが行き届かない山が生じたり、林業就業者が減少したりするなど、長い間、厳しい状況が続いてきました。  このような中、昨年起きたウッドショック、木材価格の急激な上昇、また成長が早く生産コストを削減できる、県独自の杉の新品種「サガンスギ」のデビューなどにより、林業を取り巻く情勢が変化してきています。この機会を山の所有者や林業就業者の所得向上につながるチャンスと捉え、林業を再生していくことが必要ではないかと考えます。  佐賀県の農林業を持続的に発展させていくため、知事は今後どのように取り組まれるのかお伺いをいたします。  次に十三項目め、福祉行政についてであります。  介護、保育の分野においては、全国的な少子・高齢化の進展や生産年齢人口の減少、世帯構造など家族の在り方の変化、地域のコミュニティー機能の低下など、社会経済状況が変化し続ける中で、介護ニーズ、保育ニーズがより一層複雑化、多様化しています。このような中、県民が様々な生活課題を抱えながらも、住み慣れた地域で自分らしく生活していけるような環境や、また子育て中の方が安心して働くことができる保育環境を整えるということが求められています。  こうした中、私が気にかけている課題があります。一つ目として、介護・保育分野の人材不足です。もともと社会経済の状況の変化によって担い手不足が進展している中、新型コロナウイルス感染症の影響によって高齢者施設や障害者施設、保育所などの現場においては、小まめな消毒、検温等の感染症対策を施しながら、社会機能の維持のため、日々業務に取り組んでおられ、多忙感が増しております。  これまでも県では、介護・保育の現場の方々にとって働きやすくなるような職場環境の改善、若い人たちに働きたいと思ってもらえるような施策に取り組まれてきたものと思いますが、今後とも人材確保の取組をさらに推し進めるべきだと考えます。  二つ目に、経済的な困窮の問題であります。  例えば、もともと生活困窮の課題を抱えていた方々については、新型コロナウイルスの感染症の影響を受けて収入が減り、日々の暮らしにさえ困難が増してしまう、そういったケースが多くあると思います。生活保護や生活困窮者自立支援制度といった困窮者への支援対策は全国一律の制度でありますので、県独自での支援というものは難しいと思いますが、個別の事情にきちんと耳を傾け、丁寧に支援してもらいたいと思っています。  知事は常々、「人の想いに寄り添う県政」、このことを標榜されており、県民に寄り添った支援をしていくためにも、福祉の現場ニーズをしっかりと把握し、施策につなげてこられたものと承知しております。  そこで、二点お伺いをいたします。  まず一点目は、知事は、介護、保育の現場の人材確保についてどのように取り組んでいくのかお伺いします。  次に、生活に困窮する方への支援について、どのように取り組んでいくのかお伺いいたします。  次に十四項目め、「子育てし大県”さが”」の推進についてであります。  核家族化など家族形態の変化やグローバル化、情報化などといった社会の変化に伴い、個人の価値観やライフスタイルの多様化が進む中、結婚をするしない、子供を産む産まないなど、幸せや家族の形というものは一人一人様々であると認識しています。  一方、人口減少社会の中で地方創生を進めていくためには、若者を中心とした県外流出を防ぐことや、県外から戻ってくる若者を増やして佐賀県で安心して子供を産み育てていくことが重要であると考えます。  佐賀県では、平成二十七年度以降、「子育てし大県”さが”プロジェクト」として、出会いから結婚、妊娠・出産、子育てまで、ライフステージに応じた様々な施策に取り組まれてきました。  先日も結婚や家族のすばらしさをテーマとした動画、「START in SAGA」、これを私も見ました。レッドカーペットがくるくると佐賀県いっぱいに、たあっと未来が走るといったような、これはエネルギッシュな動画やなと思って見ましたけれども、すばらしいものであります。  そしてまた、夫婦で共に家事をすることを推進する動画、「知事家事チャレンジ」を公開されるなど、知事自ら先頭に立って、佐賀で子育てがしたいと思われるような県づくりを推進してこられたと認識しています。  プロジェクトが開始してから七年がたちますが、県では県民の声に耳を傾け、毎年新しい事業にも取り組まれ、その支援の数や質は年々充実したものとなっていると評価しています。これまで取り組まれてきた、現にそのステージにおられる世代の方たちへの、結婚や出産、子育ての希望に寄り添った支援というものももちろん大切ですが、一方で将来それぞれのライフステージを迎える若い世代の方たちへ佐賀で子育てがしたいと思ってもらえるように、「子育てし大県”さが”」のその取組を広げていくことも大変重要ではないかと思います。  例えば、十代の頃から自身の将来について考えたり、不妊症や不育症も含めた妊娠、出産に関する知識や様々な支援策を知っておいていただく。そのことが将来、結婚や子供を持ちたいとの希望を持った際にその実現を後押しするものだと考えます。また、佐賀が安心して楽しく子育てができる環境にあることをしっかりと周知していくことが、若い方たちの未来への選択肢を増やすことにつながるのではないかと考えます。  結婚したい、子供を持ちたいといった希望を持った若い世代の方たちが、佐賀で願いがかなえられるために「子育てし大県”さが”」にどのように取り組んでいくのかお伺いします。  次に十五項目め、社会資本整備について二点お伺いします。  まず一点目は、道路整備に関してであります。  近年頻発している大雨や土砂災害から県民の命を守る河川やダム、砂防施設、国内外を問わず、人や物の広域的な交流拠点となる空港や港湾など、社会資本は県民の生活や地域の産業を支える大変重要な基盤であります。  こうした社会資本の中でも、とりわけ道路は、空港や港湾などを結び、産業や観光の振興に重要な役割を担うほか、通勤通学、買物など、日常生活においても関わりが深い社会資本であります。道路の整備は私たちの暮らしをより豊かにし、より便利にすることから、県民の関心も非常に大きいと感じています。  私がよく利用する道路の一つに有明海沿岸道路があります。初めて県議会議員となった平成二十三年、この頃には有明海沿岸道路もまだ嘉瀬川大橋をまたぐ嘉瀬南インターチェンジから久保田インターチェンジの間一・七キロだけが開通しておりました。わざわざ戻ってそちらを通って、また本道に戻るといったことは、たまにしましたが、多くはしませんでした。  昨年七月には福富インターチェンジまで約十キロが開通したわけであります。この整備により、私の家から県議会まで、現道を通っていた十年前、五十分以上かかりました。時には一時間を要することもありましたが、有明海沿岸道路を通れば現在では四十分もかからないといったことになりました。有明海沿岸道路を通る際にはるんるん気分で通っております。本当に気持ちがいい道路でありまして、交差点も信号もない。ストレスも減り、快適に運転できるようになったと幹線道路の整備の効果を実感しておりますし、感謝もしております。  一方で、通学路における歩道整備や防護柵の設置、渋滞箇所における交差点改良などが進められ、県民が快適に安心して利用できる道路の環境整備も進んでおります。幹線道路の整備とともに、暮らしに身近な道路の整備も重要と考えているところです。  知事は常々、オール佐賀と言われておりますが、道路が整備されることによる様々な効果を県民全体で享受できるよう、さらなる事業促進に取り組んでいただきたいと考えます。  そこで、県内の道路整備について、今後どのように取り組んでいくのか、知事の所見をお伺いいたします。  次に二点目は、社会資本整備を支える建設業の担い手確保についてであります。  県民の日常生活における安全・安心の確保はもちろん、県内における産業の発展や地域間交流の促進のためには、生産活動や消費活動などの経済活動一般の基礎となる社会資本の整備や維持管理は欠かせません。その社会資本整備を支える担い手は多様な職種がある中で、社会資本の整備や維持管理、また災害時の緊急対応や復旧活動など、地域を支える重要な役割を担っているのは建設業に従事されている皆様となります。  令和元年に続き、令和三年八月にも大規模な災害が発生するなど、災害復旧や国土強靱化の重要性はさらに増しています。しかしながら、国勢調査によると、県内の建設業の就業者数は平成七年に五万人、平成二十七年には約三万四千人となり、二十年間で約三割も減少しているんです。  また、日本全体の高齢化が進んでおり、建設業も例外でありません。むしろこの高齢化は農業並みに高いというような職種でもあるわけであります。県内の建設業の就業者のうち、五十五歳以上の割合は平成七年の約二割から二十年間で約四割へと倍増しており、高齢化が進行している状況であります。実際に県内各地の工事現場においても若い方を見かける機会は少なくなったと感じておるところであります。  このまま高齢化が進むと、高齢者の退職に伴い、建設業の就業者数はますます減少し、近い将来、建設業が地域を支える重要な役割を果たせなくなるのではないかと危惧しております。  こうした中、建設業界においては、時代のニーズに応じた働き方改革や女性活躍の推進など、業界全体の魅力アップに取り組まれていると聞いています。こうした取組をさらに進め、地域を支える建設業の新たな担い手を将来にわたって確保していくことが重要であります。  県としてどのように取り組んでいくのかお伺いをさせていただきます。  次に十六項目め、人を育てる教育行政についてであります。  幕末期の佐賀県、これは幕末期というのは何年からかなと思いましたらペリー来航からだそうでありまして、一八五三年の頃からだろうという説であります。  幕末期の佐賀では、鍋島直正公──閑叟公が教育に力を入れられ、藩校弘道館で学んだ生徒たちは全国の優秀な生徒が集まる江戸の学問所、この学問所、言わば東大法学部でしょうかね。当時、全国六十余州の中で佐賀藩から四十名、そしてそのほかに鹿島藩、小城藩といったところからこの昌平坂の学問所に佐賀からも勉学に励んだというふうに残っております。これは県が発行しておりました古賀穀堂さんの本に書いてありました。  佐賀から優秀な人材が育てられ、また大隈重信、副島種臣、江藤新平といった偉人を数多く輩出している。そのことが明治以降の政治、経済、教育など、様々な分野で中心的な役割を果たしてきており、これは我々佐賀県民にとって大きな誇りであります。  近年、日本は人口減少、グローバル化に加え、人工知能・AIなどの技術革新が急速に進んでおり、またコロナ禍の中にあるなど、先が見通せない時代にあります。こうした時代にある今だからこそ、佐賀県の教育においては、本県の実情を踏まえ、高い志を持ち、困難に立ち向かうことのできる、言わば生きる力を持つ子供たちを育成することが重要と考えます。  そのためには教育も変わっていく必要があり、学校そのものにも変革が求められています。令和の時代においても、本県が明治期に肩を並べる教育県となることを切に願っているところであります。  教育委員会においては、様々な取組を行ってもらっていますが、子供たちの将来の可能性を広げるためにも、ICTの活用を含め、基礎的な学力をしっかりと伸ばしていくこと。特別支援教育をはじめ、多様な子供たちの学びの場をつくること。いじめや不登校への対応を高めること。これらを支える職員の確保を行うことなど、今日的な課題も多くあるのではないかと考えます。  こうした課題の解決をしていくために、当然ながら学校だけではなく、家庭や地域、さらには市町とも連携した取組が不可欠であります。こうした点も踏まえ、今後どのような子供たちを育て、本県の教育をどのように進めていくのか、落合教育長にお伺いいたします。  最後の十七項目め、警察行政についてであります。  昨年の県内の交通事故は、県警察の各種取組が着実に成果を上げ、交通事故死者数や人身事故の発生件数は減少しております。特に交通事故死者数は七十一年ぶりに二十人台となりました。  しかしながら、全国的に見ると、人口十万人当たりの人身事故の発生件数は依然として全国ワーストレベルの水準で推移していると認識しており、交通事故により多くの貴い命が失われております。交通事故のさらなる抑止対策が求められているところであります。  また、県内の刑法犯の認知件数は七年連続で戦後最少を更新したとのことでありますが、例えば、ニセ電話詐欺については昨年末に高齢者が被害者となる事件が多発し、昨年中の被害額が一億円を超えた。いまだ県民の不安感の解消には至っていない。  また、新型コロナウイルス感染症対策としてテレワークの拡大やキャッシュレス決済の普及など、サイバー空間における社会経済活動が急速に発展する中、インターネットを利用した新たな犯罪が散見されるなど、警察行政が社会情勢の変化にいかに対応していくかということも重要であります。  このような情勢の中で、県警察が果たすべき役割はますます大きくなっており、県民も警察に大きな期待を寄せているところであります。  そこで、今後、こうした県民の期待に真摯に応えていただき、県民一人一人が安全・安心を体感できる住みよい佐賀県を実現するため、県警察としてどのように取り組んでいかれるのか、これは警察本部長にお伺いをいたします。  全般十七項目についての質問をさせていただきました。しっかりと御考察の上、よき答弁をお願いいたしまして、代表質問を終わります。(拍手) 5 ◎山口知事 登壇=皆さんおはようございます。定松一生議員の御質問にお答えいたします。  まず、ロシアのウクライナ侵攻について言及がありました。  私も定松議員と同感です。国際秩序に対抗する大変深刻な事態だと思います。戦争は決してあってはならないものです。力による一方的な現状変更を認めないという国際秩序の根幹を揺るがすものでありまして、強く非難したいと思います。  県政運営の基本方針についてですが、まず評価の受け止めについてお答え申し上げます。  知事就任以来、人を基軸に佐賀を輝かせたいという思いで「人を大切に、世界に誇れる佐賀づくり」を基本理念として県政を担ってまいりました。  多くの現場を訪ね、県民の皆様とお会いし、様々な声を聞き、つらい思いを抱えた方々に寄り添いながら、その時々に必要な施策に取り組んでまいりました。県民の皆様から評価していただけるということであれば、素直にうれしいし、励みになります。そして、佐賀県の職員のメンバーも大いに士気が上がることだというふうに認識しています。  そして、この調査の中で、佐賀が好きと答えた県民の皆さんが九割を超えていた。過去最高となったことは何よりうれしいことです。この数字は佐賀の未来への大きな布石となると思います。県民の皆さんが歴史や文化、美しい自然環境、豊かな食文化など、我が県が本来持つすばらしい価値に気づいていただいているとすれば、大変うれしいことであります。  そして、二期目三年間の総括についてお答え申し上げます。  二期目の三年間は、何よりもお話がありました二度の豪雨災害、そして、この二年間は新型コロナウイルス感染症への対応ということで、県民の命と生活を守ろうと全力で頑張ってまいりました。そして、社会を取り巻く環境は大きく変化しています。これまでになかったあのような豪雨災害、そしてコロナ、県民の命を守ろうと「プロジェクトM」、「プロジェクトIF」、県民の皆様とともに佐賀らしいやり方で取組を進めてきたと思っています。  今後、気候変動がありますので、また同じような豪雨災害は毎年起こり得るものということを前提にしっかり対策に取り組む。コロナもオミクロンで終わってほしいと心から念じておりますけれども、また新たな敵がやってきたら、しっかりそれに対しても対峙していこうと決意を新たにしております。  果敢に決断するかどうかということについてもお話がございました。私としては、佐賀の将来にとって大切なこと、必要なことについては、自分的には果敢に決断、挑戦し、実行に移してきたと思っています。  幾つか例を挙げますと、「SAGA2024」の先を見据えてSSP構想をやろうとして、例えば、コロナのときにSSP杯(カップ)をうちはやっていくんだということを決断したり、「2023」の国スポ・全障スポを鹿児島さんに一年入っていただくという決断もさせていただきました。そのほか、サンライズパークの整備もそうです。さらに現場の声を直接聞きながら、そして、議会の皆さん方の声にも耳を傾けながら、医療的ケア児、多胎家庭の支援だったり、小児・AYA世代とか、いろいろ御指摘があって、そういったことについても果敢に事業化をしてまいりました。  「SAGATOCO」を導入して歩くライフスタイルを推進したり、「森川海人(もりかわかいと)っプロジェクト」、それから、農業生産の将来を見据えた「さが園芸888運動」、ブリーディングステーション、そして、先ほど申し上げた「プロジェクトM」とか「IF」とか、断行してきたという思いはあります。  そして、国政課題についても言及がありました。私は、判断にはタイミングがあると思います。それを間違えるとマイナスにもなりますし、取り返しのつかないことにもなるものだと思っています。例えば、全国的に九州でも様々なダムの問題が取り上げられますけれども、私は丁寧に進めていくこと、何で必要なのか、そして、皆さんのお気持ちはどうなのかということ、丁寧に進めていくことが合意へのポイントだと思っています。我が県の城原川ダムにしてもなかなか動かなかったんですけれども、私もどんな思いでこの何十年も皆さんがおられたのかということに、しっかりと水没予定地の皆様の気持ちに寄り添いながら、プロセスを踏みながらやっていることで、前に進んでいるのかなという認識であります。  例えば、新幹線の問題だと、前知事が過去に「限られた時間の中、今回はバスに乗るのではなく、バスの切符を買った」とか、「説明責任はこれから果たしていく」といった形で判断されたことは、今も大きな課題として残っていると私は認識をしています。  判断について、即断して突き進むということではなくて、しっかりとしたプロセスを置くことで、よい結論が得られたり、実は遠回りにならなかったりすることも多いと思っています。定松議員からも先ほどお話があったように、機をよく見て判断するということ、そういうことなんだろうというふうに思っています。
     ですので、佐賀空港の自衛隊使用要請についても、漁業者の皆様の思いをしっかりと受け止めながら進めなければいけないと思いますし、私はこれまで積み重ねてきた時間というのは、決して無駄ではないというふうに思っています。丁寧に進めるべきだと思います。  以上のように、やはり人の気持ちは大切にしなければいけません。人の気持ちが大きく絡んでいるようなものは、関係する方々の思いをできる限り受け止めて、丁寧に進めていきたいと私は考えます。  来年度の県政運営です。  新型コロナウイルス感染症対策と豪雨災害対策に全力を挙げていくことを第一義としつつ、その上で来年度は改めて人づくりに力を込める。全ての基軸は人であります。産業、福祉などの分野で担い手が不足している。農林水産業もしかり、地域づくりは人づくりであります。自発の地域づくりを担う人材をもっと呼び込みたい。スポーツ、文化の力を生かした人づくりの好循環をより大きくしていきたい。そして、教育県佐賀として子供たちをさらに骨太に育てていきたい、こんな思いです。  時代の変革期である今だからこそ、人に投資していくことが必要だと思っています。様々な分野で佐賀で育てられること、育成されることで大きな付加価値を生み出していけるよう「人づくり大県さが」を進めていきたいと思います。  そして、佐賀はすばらしい県です。でも、佐賀でもできると言いがちなところがあります。これは佐賀ではあまりできないということを前提にしているとしたら残念なことです。これまで「さがデザイン」というものをやってまいりましたけれども、「モノ」、「コト」を心地よくつくりかえるものづくり、仕掛けづくりでありまして、本質的なものにコミットして、本来佐賀が持つ価値を高めていく取組です。それを実現することで、佐賀に誇れるものづくり、ことづくりができると思います。佐賀でもできるではなくて、佐賀だからできるんだということを増やしていきたい。佐賀で育ちたい、佐賀で何かを学びたい、佐賀で仕事をしたい、佐賀で何かを成し遂げたい、そういう人たちがこの地に集まって、結ばれ、共に育っていくことで世界に誇れる佐賀県がつくられていくものだと確信しております。  続きまして、県財政の今後の見通しについてお答え申し上げます。  財政運営については、山口県政二期目に当たりまして、「佐賀県行財政運営計画二〇一九」を策定しております。佐賀の未来を見据えた大型事業を実施しつつも、行財政運営計画に基づいて税収などの状況変化に応じて適宜ローリングを行いながら、財政の健全性の維持を図ってまいりました。  ローリングに当たりましては、将来必要な基金の残高が確保されているか、県債残高が標準財政規模の何倍かを示す将来負担比率がどのように推移していくか、県債残高がどのように推移していくのか、いろいろな局面から多角的にシミュレーションを行っております。そして、当初予算案の編成に当たりましても、基金の残高、将来負担比率を検証しながら予算を編成しております。令和四年度末の財源調整用の基金残高は、行財政運営計画の目標額を確保しております。  そして、将来負担比率です。県債の将来にわたる影響をはかる指標として最適な指標だと思っていますが、平成二十八年度に全国でよいほうから四十七都道府県中四位の一〇七・一%でありましたけれども、最新の令和二年度は八位の一二〇・一%です。サンライズパークをはじめ、投資をしてまいりました。ということで、令和二年度は八位。今後、令和四年度には十位程度──十位よりちょっと先にいくかもしれません──の約一五〇%になることを見込んでおりますけれども、そこがピークで、そこから先は徐々に改善していく見込みということで今ローリングの結果が出ております。  ちなみに、佐賀県は十位程度を確保しているわけですけれども、隣県の状況を見ますと、いずれも令和二年度でどうだったのかということですが、福岡県は二六二・五%で四十三位です。長崎県は一九三・二%で二十六位です。熊本県は二一〇・九%で三十三位です。そういう九州の中にありながらしっかりと健全性を保ちながら、我々としてはローリングをしながら財政運営をしている、めり張りをつけてやっていると思っています。  これまで常に事業の実施に際して、国庫や交付税措置がなされている地方債を最大限活用するように、財政的工夫を施しています。例えば、SAGAアリーナについても緊防債、これは交付税措置が後ほど七〇%補填されるものですが、それを活用したり、高性能食肉センターについては経済対策の国庫を活用して、さらに補正予算債──これは後年度の予算措置一〇〇%です──というものを活用したり、今やっている「くすかぜ広場」、それから、市村記念体育館の事業については、地方創生拠点整備交付金、これは国から半分の事業費補填があります。コロナ対策についても国費を最大限活用するということでありまして、我々としての戦略の策定だとか営業努力というものが実を結んでいるところだと自負しております。  さらに中長期的な備えであります。  これから先のことも考えながら戦略的に対応するために、基金への積立てなどの財政的な工夫も行っております。ローリングしながら中長期的、鳥瞰的な視点を持ち、財政運営に当たることで、安定的で健全な財政運営を実現し、今後とも維持していきたいと思います。  それから、積極的な財政運営について、当初予算、二月補正予算の考え方でありますけれども、令和四年度の一般会計当初予算については過去最大の予算規模となりました。コロナ、災害対策に全力で当たるというものが第一義であります。そして、人に投資していく予算にも重点を置いています。二月補正と合わせて将来への布石を打つ予算を確保したと思っています。  そして、今後ですが、やはりめり張りをつけた上で投資すべきと判断したときは積極的に投資し、佐賀県の将来の飛躍へつながる予算にしたいと思っています。  今行っておりますサンライズパークの整備、SSP構想、「さが園芸888運動」、「OPEN-AIR佐賀」、「子育てし大県”さが”」、そして、移住の促進や企業誘致、こうした投資というのは税源への涵養へつながり、さらなる投資の財源確保につながっていくものと思いますし、そうしなければいけないと思っています。  さらに、先ほど述べたとおりですけれども、財源については国庫、それから交付税措置がなされている地方債、こうしたものを最大限活用して財政的工夫を一貫して行っていきたいと思います。財政の健全性と両立していきたいと思います。  という具合に財政の健全性に留意しつつも、投資が成長を生み、それで新たな投資につながるという好循環を創出し、佐賀の未来を切り開いていきたいと思います。  続きまして、佐賀空港の自衛隊使用要請への対応についてお答え申し上げます。  防衛省からの要請につきましては、国土、国民の生命や財産を守るという国防に関する要請であります。国防の負担は国全体で分かち合う、分担すべきと考え、真摯に向き合ってまいりました。  そして、私も、知事就任以来三年半にわたって、計画の全体像、将来像の明確化、米軍の利用やオスプレイの安全性、生活環境や漁業、農業等への影響など、様々な観点から確認及び検討、論点整理の公表を丁寧に行ってまいりました。  その上で、県議会における議論や決議も踏まえ、平成三十年八月に「防衛省からの要請を受け入れ、公害防止協定覚書付属資料の変更について有明海漁協と協議をさせていただく」との判断を行い、有明海漁協に対して協議の申入れを行いました。判断後も有明海漁協を複数回訪問して、公害防止協定覚書付属資料の変更について協議を申し入れてきました。  有明海漁協内ではこの間検討を続けていただき、国防の大切さを分かっていただきつつも、公害防止協定を結んだ先人たちの思いや有明海の漁業環境に対する不安など、様々な意見があったと承知しています。  そうした中、昨年、有明海漁協では計画予定地の排水対策など三つの事項に対して防衛省の考えが示されることを条件に県と交わしている公害防止協定覚書付属資料の変更について応じるという重い判断をいただき、大変感謝をしております。  西久保組合長から回答文書を頂いた一週間後に、私が岸防衛大臣を訪問して、これまでの経緯も含めて漁協の皆さんの思いを伝えるとともに、真摯に対応いただくよう要請したところであり、岸大臣からは漁協の皆様の声をよく聞きながらしっかり対応したいという旨のお話がございました。  県としても、漁協に寄り添い、一つ一つ丁寧に対応していきたいと思います。体制についてもその時々の状況に応じて最も適した組織を整備していきたいと思います。  今後、覚書付属資料を見直す時期については、三つの条件について防衛省がどの程度の期間で検討、整理することができ、加えて、その内容で漁協の皆さんの了解を得られるのかにかかっていると思います。今は非常に大切な時期です。防衛省からの要請以来、様々な議論を重ね、着実に取組を進めてきましたが、関係者の十分な理解なく拙速に進めようとすると、ここまで積み上げてきたものが全て無に帰してしまうと思います。一度こじれた関係はなかなか元に戻りません。今だからこそ丁寧に行うべきだと認識しています。  漁協から示された条件が解決されるよう、漁協、防衛省及び県の実務者で構成する三者協議会などを通じて調整していきます。さらに、防衛省に対しても必要に応じて働きかけをしてまいります。  続きまして、九州新幹線西九州ルートについてですが、まず、開業についてお尋ねがございました。  九月二十三日にいよいよ西九州新幹線が開業いたします。佐賀、長崎が全国的に注目されるエリアになってくると思います。開業は、佐賀の魅力を全国に発信し、多くの観光客を呼び込むチャンスです。  開業ということで新幹線にも注目が集まると思いますけれども、佐賀の魅力はそこにある生活感です。その中で生み出されていく人間的な営みの美しさ、陶磁器、温泉、食文化など、全国の皆さんに知ってもらいたいと考えています。豊かな自然環境や心安らぐ風景、風情の中で過ごす「OPEN-AIR佐賀」など、ゆったりとした人間らしい時間を感じていただきたいと思います。  いつも申し上げているように、新幹線が開業するから人が来るわけではありません。行ってみたい、住んでみたいと思われるような魅力ある地域づくり、受け入れ体制を含めた磨き上げが重要であります。  県では、この開業効果が新幹線の停車する地域から県全体に広がることが大切だと思っています。ですので、今年は十月から十二月に長崎県とともにデスティネーションキャンペーンを展開します。その際、それに併せてロマ佐賀列車を全ての車両において実施するということで、これは唐津線と筑肥線の伊万里-山本間ということであります。ぜひそちらのほうにも、各駅もラッピングしますので、お越しいただきたいなと思いますし、周遊イベントも行います。さらに、西九州周遊のフリー切符、MaaSを使ったデジタル周遊バスチケットの企画など、長崎本線沿線を含めて全県的に周遊いただけますように様々な仕掛けを用意していきたいと思います。  そして、今回の開業では、長崎との近さは明らかな変化があります。武雄や嬉野と長崎は約二十五分でつながります。長崎を訪れた方、そして、長崎の皆さんには、武雄、嬉野という二つのすばらしい温泉地があるわけですから、言わば温泉新幹線も活用して気軽に佐賀に来ていただきたいと思います。  また、普通に通勤も考えていただける時間、距離だと思います。アクセスのよさ、暮らしやすさを感じてもらい、移住にも期待したいと思います。  こうした取組を市町や地域と連携し、一体的に展開することで相乗効果が生まれてまいります。開業まで七カ月、開業効果が、できるだけ県全域に広がるように準備をしっかりとやっていきたいと思います。  続きまして、新鳥栖-武雄温泉間について基本的な考え方についてお答え申し上げます。  西九州ルートは、これまでのスーパー特急もフリーゲージトレインも、そして対面乗りかえも、全て新鳥栖-武雄温泉間は在来線を利用することを前提に関係者間で合意を重ねながら進められてまいりました。  佐賀県は時間短縮効果がほとんど得られないという極めて特殊な状況の下、鹿島や太良、そして白石も含め、長崎本線沿線地域の大変つらい思いの中で、当時の古川知事が平成十九年十二月に肥前山口-諫早間の上下分離を合意したことで、武雄温泉-長崎間の整備が始まったものであります。  現在、新鳥栖-武雄温泉間の在り方について国と協議を行っておりますが、五つの方式のうち、スーパー特急、フリーゲージトレイン、リレー方式の三つについては、これまでの関係者で合意をしておりますので、いつでも受け入れる用意があるとこれまでも申し上げてまいりました。  一方、フル規格については、これまで求めたこともありませんし、合意にもありません。これまで合意してきたフリーゲージトレインを一方的に突然断念すると言われたのは国であります。佐賀県から何か提案して打開しなければならないというものではないと思います。  さらに、森山委員長との面談についてお話がございました。  先週、森山委員長と東京で面談してまいりました。森山委員長とは総務省時代から二人で様々な相談を行う、そういった旧知の間柄であります。森山委員長との話の内容ですけれども、森山委員長は鹿児島の出身というか、選挙区は鹿児島でありまして、それこそいろんな話がありましたが、二〇二三年、二〇二四年、佐賀県が鹿児島県に一年お譲りしたという話、その日にたしか電話でお礼があったぐらい感謝をいただいておりまして、そういった話だとか、それをきっかけに高校生の交流「エールプロジェクト」が進んでいることなどに花が咲きました。もちろん新幹線についても私からお話をさせていただきまして、これまでの経緯、佐賀県の置かれている状況、そして、我々の考え方などについて、私のほうから話をさせていただきました。  森山委員長は、特に佐賀県の地理的な環境などに理解をされているなという認識でありました。今後とも、機会を見つけて、様々なことについて意見交換をさせていただきたいと思っております。  今後ですが、西九州ルートの問題は、県民生活、佐賀県の将来に大きく影響するものです。合意したものであれば別ですが、このフル規格については何も合意しているものはなくて、簡単な話ではございません。在来線の利便性低下、多額の建設費負担、ルートはどうなるのか、そして、どういうメリット、デメリットがあるのかなど、様々な論点があります。しっかり議論をする必要があると思いますけれども、今の時点で議論に必要な材料が示されたとは思っていません。  先ほどお話があったように、限られた時間の中で経営分離の判断をした後に、県を二分するような議論になったわけでありまして、それがまた現在の状況につながっているんではないかというふうに私は思います。  私は性急に判断するものではないと思っています。このフル規格の問題については、ひたすら佐賀県と佐賀県民の今と将来を考え、何が望ましい姿なのか、大きな視点を持って幅広く骨太に議論させていただきたいと思っています。  続きまして、有明海・玄海の水産業の振興についてお答え申し上げます。  佐賀県は、北に玄海、南に有明海、二つの海でとられる水産物が魅力です。しかしながら、漁獲量の減少、操業コストの増加、魚価の低迷など厳しい状況が続いております。人づくりと併せて、水産資源回復などの生産対策や、需要拡大対策に取り組み、漁家経営の維持改善を進めていきたいと思います。  漁業を営む担い手をしっかり育んでいくことが不可欠です。県では、全国に四つしかない県営の漁業後継者研修施設であります高等水産講習所において、漁業技術の習得に加えて、来年度から経営、経理に関するノウハウについての指導を強化することとしています。  また、新たな就業者を確保するために、就業希望者への漁業体験研修の実施、研修後の新米漁師に対する漁具の購入費や操業に係る経費に対する支援、さらには、県外からの移住者への支援金の支給など、担い手づくりに力を入れていきたいと思います。  さらに、生産対策、需要拡大対策についてです。  まず、玄海について申し上げますが、魚介類の育成場となる増殖礁の設置とあわせて、アカウニ、ヒラメの放流を引き続き実施していきます。さらに、漁業者が自ら行う産卵期に禁漁とするなどの資源管理、さらに、海岸清掃などの漁場環境の保全の取組を支援していきます。  また、操業コストを削減するなどの効率的な漁業の確立を目指し、ICTを活用して、数日後までの海況や良好な漁場を正確に予測する技術を大学と連携しながら開発しております。来年度からは、新たに水産資源の動向を予測する技術の開発を始めるなど、スマート漁業を推進してまいります。  また、玄海地区の水産物の需要拡大を図るために、その魅力をしっかりとアピールし、ファンを増やす、「唐津ん魚FAN拡大事業」を本年度から実施しておりますが、来年度からは、飲食店だけでなくて、鮮魚店でのキャンペーンを行うなどの取組を強化してまいります。  一方、有明海です。  今、漁期を迎えているノリ養殖については、現在、有明海漁協での六回目までの入札会を終えて、全体の生産枚数や金額は前年並みとなっていますけれども、地区別に見ると、西南部地区で色落ち被害が大きく、厳しい状況にあります。今朝も、両方のノリを食べ比べる会があったんですけれども、もう明らかに風味から何から全く違います。そういったことを、我々はしっかりと認識しなければいけないと思います。  西南部地区の色落ち対策としては、県の有明水産振興センターにおいて、原因となっている赤潮の発生、拡大予測技術の開発を進めるとともに、摘み取りの適切なタイミングなど、被害を軽減するための養殖指導をしっかりと行い、生産の安定につなげていきたいと思います。  また、魚介類を増やすために、海底の環境を改善するための海底耕うん、餌生物を増やす機能を持つ漁礁の設置、タイラギ、アゲマキ等の母貝団地を造成するための稚貝の生産と放流などを実施してまいります。  近年、記録的な大雨によりまして、海水の塩分濃度の低下がタイラギ稚貝の生育に影響しております。そのために塩分濃度が低下しにくい熊本県沖で稚貝を生育しております。昨年十二月には、五センチの大きさまで成長しましたので、太良町沖に移殖しました。一月末頃の調査では、へい死もなく順調に今、成長しております。  両海域共通の課題なんですが、ここのところ燃油価格が高騰しております。そして、ウクライナ情勢でさらに先の見通しが厳しくなっているという問題認識をしています。その対策として、漁業者に対しては、漁船の燃費を向上させるための船底の掃除、清掃などの取組に対して支援を行っています。  佐賀は、玄海と有明海という大きな二つの特徴的で魅力的な海がありますので、佐賀ブランドの水産物を守り、未来へとしっかりとつなげられるように、今後とも水産業の振興に取り組んでまいります。  続きまして、エネルギー政策についてお答え申し上げます。  地球温暖化による気候変動によりまして、世界各地で大規模な自然災害が頻発して、甚大な被害が発生しています。アメリカでは、南部から中西部にかけて、広範囲で猛烈な竜巻が発生して、過去十年間で最悪の竜巻被害となっておりますし、台湾では半世紀ぶりの記録的な干ばつが発生し、農作物への被害が出ています。全国各地、世界各地域でいろんな課題が噴出しています。  世界気象機関──WMOによりますと、二〇一〇年から二〇一九年までの十年間の経済損失は、その四十年前に比べますと、約七倍に膨れ上がったということであります。国内でも御案内のとおり、毎年大規模な自然災害が各地で起こっています。我が県でも、令和元年、令和三年、それぞれ豪雨災害があったり、そのほかにも大雨等による被害は起こっています。内水氾濫も発生しています。  地球温暖化というのは、世界にとって共通の脅威であります。カーボンニュートラルに向けて一致団結して取り組んでいかなければならない問題であると認識しています。  二〇一六年のパリ協定を受けまして、CO2の排出を実質的にゼロとするカーボンニュートラルを二〇五〇年までに達成することが世界の潮流となりつつあります。このCO2排出実質ゼロというのは、世界が共通して実現させるべき問題だと思います。  今、世界の百二十を超える国や地域が表明して、機運は拡大しておりますけれども、なかなか簡単にはいかないところもあります。それは、先進国では便利な生活を維持したいという声もありますし、開発途上国からすると、これからは自分たちの番なのに、こういったときに止めるなというような声もあって、なかなか世界全体としての枠組みをつくるのは難しい課題だなと思っています。  一方、我が国の昨年十月に閣議決定されたエネルギー基本計画では、化石燃料の割合は、二〇一九年度の七六%程度を、二〇三〇年度に四一%程度に低減させる。一方、再生可能エネルギーの割合は、二〇一九年度の一八%程度を、二〇三〇年度には三六から三八%に増加させるという、大変高いというか、チャレンジングな目標が示されていると認識しています。  カーボンニュートラルの実現には、再生可能エネルギーの導入拡大が重要となるんですが、このエネルギーは天候や時間帯に大きく左右されるものが少なくなくて、低コストで貯蔵して持ち運ぶということが難しい、そういった課題があります。  また、例えば太陽光発電は、固定価格買取制度によって全国で開発が進んだんですが、山間地や傾斜地などでは開発に伴い、防災上、環境上などのリスクが高まるケースも言われています。  さらに今、主力電源化に向けた切り札として期待される洋上風力発電についても、地元には様々な御意見や思いがありまして、期待される効果と懸念される問題を丁寧に説明し、真摯に意見交換をしていかなければいけないと考えておりまして、簡単には進まないと認識しております。  こうしたことから、化石エネルギーを非化石エネルギーに転換するだけでなくて、省エネルギーを強力に進めることも大変重要だと認識しているわけであります。  そういった点で参考になる事例が北欧のフィンランドにありまして、フィンランドでは二〇三五年までにカーボンニュートラルの達成を目指すという方針が出ております。中でも、ラフティ市というところは、さらに十年早い二〇二五年までに達成すると表明しています。  ラフティ市では、自家用車の移動によって排出されるCO2の排出削減に向けて、登録した市民お一人お一人の移動に関するデータを自動計測する専用アプリを開発しております。登録者の移動手段、距離、所要時間などからCO2排出量を自動で算出し、公共交通機関や自転車などの交通手段を利用して移動に伴う排出量を抑えると、バスの割引券や自転車修理の割引クーポンなど、様々な報酬を付与する仕組みを取り入れているそうであります。  山口県政も、歩くライフスタイルプロジェクトによって、歩くこと、自転車、公共交通の利用などを積極的に呼びかけています。カーボンニュートラルの実現には、歩くことなども積極的に推奨することで、エネルギーの消費を減らしていくことも重要だと思っています。  また、佐賀県としてこの温室効果ガスの排出削減とともに、原発依存度の低減を実現するために、平成二十九年度に佐賀県再生可能エネルギー等先進県実現化構想というものを策定しております。そしてこの取組方針に基づいて、再生可能エネルギーの不安定さを調整する仕組みの構築に向けて、長期的な視点で水素社会の実現に継続的に取り組むとともに、佐賀ならではの取組を着実に実施したいと思っています。  その一環で、令和元年度には佐賀大学と共同して、プラットフォームCIREn(セイレン)を立ち上げています。現在、県内外の企業約七十社の参加を得て、十二の研究分科会が活動して、様々な分野で取組の成果が着実に得られつつあります。  このほか、小水力発電分野でも、特に発電出力が三十キロワットでも事業採算性を確保することができる「佐賀松隈モデル」というモデルも生まれました。これも高く評価されておりますし、これから開発途上国とか世界にも活用できるようなシステムではないかということで期待をしています。  このように、CIREn(セイレン)をはじめとした佐賀ならではの取組によりまして、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けて果敢にチャレンジする地域となることを目指していきたいと考えております。  続きまして、玄海原子力発電所に対する姿勢についてお答えします。  福島第一原子力発電所で事故が発生してからもうすぐ十一年が経過します。福島の事故を忘れてはならない。決して風化させてはならない。原子力発電に係る全てのものが、二度と福島のようなことを起こしてはならない。そのためには、何よりも安全が最優先という強い気持ちと緊張感を持って取り組んでいかなければなりません。玄海原発に対しては、常にこの思いを根底に持ちながら向き合っております。  こうした中、玄海原子力発電所において、令和元年から二年にかけて五件のトラブルが発生しました。九州電力は令和二年十月から十二月にかけて総点検を行いましたが、その後、一年もたたないうちに四件のトラブルが発生しました。  昨年十一月に九州電力に対して、総点検を行った後もなぜこのようなトラブルが続くのか、その原因を根本から幅広く検証し、対策を講じることということを文書で要請をさせていただきました。さらに県として、極めて憂慮すべき状況にあるとの認識に立って、昨年十二月に部局横断的な検証チームを立ち上げて、九州電力の検証状況をチェックすることといたしました。  今年の一月十一日には、私から直接、池辺社長に対しても、四度もトラブルが起こるのは尋常ではないとか、もっと根本的な、組織横断的な原因があるのではないかなどなど、改めて強く申し上げたところです。これを受けて、二月二日に九州電力から県に対して、作業員に対して必要以上に工程を意識させ、安全意識の不足を招いた可能性もあるとの認識を持ち、安全最優先の工程になっているかなどを継続して確認するといった報告がありました。  二月七日には南里副知事と検証チームが玄海原子力発電所において、九州電力から報告された取組がどのように実施されているかを現場で確認するとともに、九州電力に対して、改めて何よりも安全が最優先であり、さらなる安全対策に不断に取り組むことを強く求めました。  議員から御指摘がありました特定重大事故等対処施設は、テロ行為などにより発電所施設が損壊した場合でも、安全に原子炉を停止できるようにするために原子力規制委員会が設置を求めているものであって、設置期限が設けられているものです。  原子力発電所の機能・設備面での安全性を高めていくことは、これはもちろん大切なことです。ただし、そこには、原発が最終的には人の手によって動かされることを考えれば、運転や工事に携わる全ての関係者が何よりも安全が最優先されるという意識を持って取り組むことがいついかなる場合であっても大前提としてあるべきだろうと思います。仮に設置期限を意識して安全がおろそかになるようなことがあったとすれば、また新たなトラブルを生むことにつながりかねないと思います。  原子力発電は何よりも安全が最優先です。九州電力の皆さんには常に緊張感を持って、慎重の上にも慎重に取り組んでいただきたいと思います。  私はこれまで、原発立地県の知事として、県民の安全を何よりも大切に玄海原子力発電所と真摯に向き合ってきたところでありまして、この姿勢はいささかも変わりません。これから長い年月にわたって関わり続けなければなりません。今後とも、九州電力の安全に対する取組を注視し、県も含め、全ての関係者の中に気の緩みが生じることがないように万全を期してまいります。  続きまして、新型コロナウイルス感染症対策についてでございます。  コロナ対策のミッションは、コロナに対してきっちりと命に向き合って助けていくということ、そして、コロナだけではなくて、コロナ以外の重い病気で苦しんでいる方々への医療を大切にしなければいけない。そして、救急医療をはじめ、通常診療をしっかり維持していくということが大事です。このためには、県と医療機関が連携して、状況に応じて戦略的な対応を講じることが大事だと思っています。  一昨年の四月三日に「プロジェクトM」を救急の専門医である阪本センター長を本部長として立ち上げて、受入れ医療機関、そして医師会などと顔が見える関係を強化してまいりました。  コロナを受け入れる医療機関の大半が救急医療の中核を担っている病院でもあるんです、佐賀県は。逆に言えば、本県の病院は非常に責任感を持ってやっていただいている病院ばかりでありまして、ただ、この救急診療をはじめとした通常診療を常に受けられる体制を堅持していくためには、コロナと救急診療だとか通常診療を一元的に見て、緻密なコントロールをみんなで図っていくという作業が必要でありまして、それがうまくいくと非常に効果的になりますし、そこの部分がうまくいかないと全てがうまくいかないというリスクをはらんでいるということなので、何においても行政と医療機関がお互いにエールを送りながらやっていくということを続けていくことが何よりも大事でありまして、その象徴が「プロジェクトM」だということです。  コロナ病床数、即応病床数の設定ですとか、コロナ病床の回転促進ですね、ホテルへの下り搬送だったり、退院だったり、こういった上り下りを機動的に行うことによりまして救急医療の逼迫を防ぎ、他県で報道されているような緊急に治療が必要な患者がたらい回しされるようなことは佐賀県ではありません。決してあってはいけないと肝に銘じております。  「プロジェクトM」のポイントは、そのオペレーションにあります。そして、このオペレーションを考える際には一貫して病床使用率をポイントに置いて、病床への負荷がかからないように、その時々のウイルスの特徴に応じて戦略的に、機動的にオペレーションを行っていくことが大事だと思っています。  現在のオミクロン株に対してですが、現状を見ますと、じわじわとループから高齢者施設というところに波及をして中等症が増える要因になっています。ですので、今大切なことは、高齢者施設等での感染拡大への対応に重きを置いているというのが現状です。  具体的には、多くの県では入院治療は不要であるにもかかわらず入院せざるを得ない認知症ですとか全面的な介助が必要な方については、白石町の臨時医療施設で受け入れるなどして臨機応変に対応させていただいております。医療提供体制、それから検査体制もそうです、今後とも戦略的、機動的なオペレーションを維持していきたいと思います。  さらに、ワクチンの三回目接種であります。
     国による度重なる接種の前倒しによって混乱はありましたけれども、市町、それから医療機関の方々の努力によって、現在、佐賀県は全国トップ、特に全人口接種率は全国一位ということで進んでおります。そして、県としては、離島での住民接種ですとか好生館での大規模接種など、引き続き医療関係者と連携しながら、機動的かつ柔軟にワクチン接種を推進して、市町の取組も支援させていただいております。  改めて医療従事者の皆さん方が、チーム佐賀、オール佐賀でしっかり取り組んでいただいていることに感謝を申し上げたいと思います。特に医療従事者同士が互いに敬意を持って取り組んでいただいていることはすばらしいと思います。本当にありがとうございます。  今後、どのような変異株が現れるか分かりませんが、しっかり分析しながら向き合って、先手先手の準備を行っていきたいと思います。医療関係者との互いの信頼に基づいた連携という佐賀県の強みをさらに生かしながら、救える命を救うという「プロジェクトM」の使命を果たしていきたいと考えています。  続きまして、災害対策についてお答えします。  北部九州の気候は、二十年前、三十年前とは全く違ったものとなっています。そして、佐賀県は、低平地の地形と有明海の潮位の影響によりまして、構造的に内水氾濫が起きやすい、全国的にもあまり例を見ない、特有な地形であります。六角川は、僅か二年のうちに二度、内水氾濫を繰り返しましたけれども、干満差が最大六メートルにもなる潮位の影響を受けます。そういった区間は河口から約二十九キロにも及びます。そして、この間の高低差は僅か七メートルしかありません。六角川流域地域は、広範囲にわたり内水氾濫が起きやすいそもそもの環境にあるわけです。ですので、我が県は内水氾濫に関しては他県と比べて厳しい環境であります。しかしながら、これまで同様、我々はこの環境に立ち向かっていかなければならないと思います。  さらに、これまでの延長ではない、気候変動対応型の特別な災害対応をしなければいけないと考えました。そうしたことで、昨年八月豪雨災害後、直ちに「プロジェクトIF」を立ち上げまして、国、市町、関係機関とも連携しながら、一歩踏み込んで内水対策をできるところから順次進めております。今度また豪雨災害が起きたときにどこまで対応できるかが勝負という強い思いで取り組んでいます。  「プロジェクトIF」の三本柱は、「守る」、「貯める」、「流す」ということでそれぞれ取り組んでおります。今年度の取組といたしましては、排水ポンプ車五台の導入ですとか、内水監視カメラを県管理道路に設置したり、焼米ため池の調節ゲートを設置したり、河川のしゅんせつ、河道の拡幅、さらに排水機場の止水壁設置等による耐水化などを進めております。また、農業経営に不可欠な農業用機械が被災した場合に備え、農業共済などの保険への加入を呼びかけるとともに、三月十九日には大町町において農業用機械の避難訓練を行うことで準備を進めております。  そして、来年度の取組ですが、今度はケーブルテレビ会社と協力して内水監視カメラを設置したり、浸水センサーを二百カ所設置したり、クリーク、ため池など各十一カ所にカメラ、水位計を設置したりして、迅速的確な災害オペレーションにつなげたり、危機が迫ったときに、県民が自ら行動が起こせるようなリアルタイムの情報発信などにも取り組んでいきたいと思います。  さらに田んぼダムの取組も進めていきたいと思います。上流域の田んぼ八百ヘクタールを対象に実施することで、八十万立方メートルの貯留能力を持たせて、下流域の浸水を軽減できるように農家の方々と調整を進めてまいります。  さらに堆積土砂のしゅんせつ、特に浸水被害が大きかった大町町の下潟排水機場については、これは農水省にもずっとお願いをして、認めていただいてありがたいんです。単なる原形復旧ではなくて、想定される最大の浸水高二・三メートルまでの止水壁の設置による耐水化も認めていただきました。さらにポンプ二台の増設などにも取り組んでいきたいと考えています。  さらに、令和元年の佐賀豪雨のときに激特事業を進行することになりまして、こちらのほうも併せて、これは河川の決壊なども含めて取り組んでいるわけですが、そういったところも併せてしっかりと取り組んでいきたいということで、せんだっても国、県、市町などの関係機関が一堂に会して、それぞれの立場でやるべきことをお互い連携しながらやっていこうということで気持ちを合わせたところであります。みんなでしっかりとチームを組んで、内水対策に取り組んでいきたいと思います。  さらに、被災者に寄り添った支援のお話もございました。被災者生活再建支援制度につきましても、住宅全壊など住家被害を受けた世帯には、全県下で同等の支援を受けられるように平成三十年度には県単での支援を創設いたしましたし、基本的に様々な施策が、国の支援がスポット的に対象にしていただいたとすると、佐賀県では同じ災害を受けた方々の目線に立って全県的な施策展開ができるように県単でやっていくという方針で現在まで行っていると。そういった考え方でこれからも行わせていただきたいと思います。  今後とも、強い思いで激甚化する災害に向き合っていきたいと思います。  浸水被害については、残念ながら、ゼロにするというのは難しゅうございます。でも、少しでも近づけていく。床上浸水をゼロに近づけていく。できる限り水位を下げて被害を最小化していくということに、国、県、市町、関係機関、一丸となっていきたいと思いますので、これは県民の皆さん方とも連携作業になります。みんなで頑張っていきたいと思っています。  続きまして、文化・観光の振興についてであります。  文化施策にしっかり取り組むことはとても大事なことです。これまで多くの文化施策に取り組んでまいりました。有田焼四百年事業ですとか、幕末維新博ですとか、県民自らがいろいろ考えていただけるように、佐賀を誇りに思えるように新たな切り口で切り取って磨き上げて、県内外へ発信をさせていただきました。  今、コロナ禍であります。コロナ禍で全国的にコンサート、イベントをはじめ、多くの文化芸術催事が中止されました。各地域で行われている祭り、伝承芸能の練習自体も中止されるなど、これまで守り育ててきた伝承芸能の存続が心配であります。  佐賀県では、コロナ禍の初期からいち早くLiveS Beyondという施策に取り組んでまいりました。文化団体というのは、やはり何かを演じて、何かを伝えるということが誇りでありますから、ぜひそういったところを大切にするような取組ができないかとみんなで知恵を出し合ったところ、リモートで、ネットで、オンラインで演じてもらって、それをみんなで共有して、コロナ後に向かってやっていこうというような趣旨でLiveS Beyondは生まれました。  ですから、一時金を交付するという形ではなくて、みんなで文化活動をしながら、それがひいては出演者も、そしてそれをバックアップしている皆さんも、音響、照明の皆さん方も演じながら生計を立てられる事業だということで、皆さんにとって非常に評判がよかった事業だというふうに思っておりますし、その後、国も同様の事業展開をすることになるわけでありまして、非常にみんなで知恵を出し合ったかいがあったなというふうに思います。  今年度からは伝承芸能団体に対しても練習風景だけでもこれで撮影しませんかといった呼びかけを実施して、伝承芸能も続くような仕掛けも併せてやっていきたいなというふうに思いますし、伝承芸能祭や「佐賀さいこうフェス」、「さが維新まつり」は何とか感染症対策を工夫しながら、毎年行うことができております。今後とも次世代継承に向けて工夫をしながら実施していきたいと思いますし、「佐賀神楽」の創設のような新たな動きも出ております。そういったものも取り入れながら、これから佐賀の歴史的・文化的資産をどう切り取って磨き上げてデザインして発信していくかといったところも大事であります。  例えば、新年度予算にも入っております「はじまりの名護屋城。」プロジェクトというのもあるわけですけれども、これもどちらかというと、今まで大陸への出兵といった意味で取り上げられることがあるわけですけれども、いや、むしろそうではなくて、それまで二十万人の方があのエリアに集まって一年以上の間、言うなれば文化交流をしているわけですよね。むしろ、そういったところが日本文化の発祥、例えば、能の舞台などはまさにあそこが聖地なわけでありまして、そういったところに着目するべきではないか、まさに「奇跡の見本市」だったんではないか、日本文化発展の始まりの地ではないかというような切り取り方をして、これからプロモートしていきたいというふうに思います。  ですので、豪華絢爛とわび寂の対をなす黄金の茶室と草庵茶室の体験だとか、全国の武将がどういった文化交流をしていったのかといった切り口だったり。吉野ヶ里遺跡も今回、日吉神社のお話がありました。大変楽しみです。そういったものにあわせて様々な発信をしていくということも極めて佐賀らしいやり方だというふうに思いますので、大変楽しみにしております。  今年の秋にはデスティネーションキャンペーンもあります。さらに来年の春には、いよいよSAGAアリーナもオープン予定でありますし、これまで佐賀では開催できなかった大規模な文化活動やイベントも開催可能となります。これらを好機と捉えて、本県の歴史、文化などの魅力がさらに磨き上げられまして、国内外からの誘客、地域活性化につながるよう、積極的に取り組んでいきたいと思います。  続きまして、「SAGA2024」を契機としたスポーツの振興についてお答え申し上げます。  スポーツについてですが、やはり北京オリンピックもそうですけれども、スポーツが持つ力というものを世界中が、また日本国民が再認識したんじゃないかなと思います。日本選手も三つの金メダルが出ました。平野選手は二本目、判定が低かったのをここぞとばかりにラストで大逆転してというところ、小林陵侑選手もスランプではあったんですけど、葛西さんと二人三脚で結果を出したり、高木美帆さんも銀が続いたんだけれども、最後の一千メートルでということで、それぞれすごいドラマがあって、そういったものをみんなで共有できたということ自体がこれからのスポーツ界にとっては大きかったと思いますし、カーリングも、そして羽生結弦選手も多くの人の心をつかまえました。そういったところで、スポーツの力というものが明日を生きる原動力になるような、そういう仕掛けが佐賀からできないかという、SSP構想に対する思いを強くしたところであります。  生み出されたストーリーというものを大切に、佐賀県は選手、コーチ、支える関係者など一人一人に向き合ってストーリーを育て上げていく、そういう新しいスポーツシーン、スポーツ文化を佐賀からつくり上げる思いでSSP構想はできています。世界のどこにもない、佐賀だからこそできる壮大な取組であります。  ですので、「SAGA2024」でも「すべての人に、スポーツのチカラを。」をメインメッセージに準備を進めているわけであります。  新しい大会として、スポーツのすばらしさが伝わる形で県民の皆さんの機運を醸成していきたいと思います。「IDEA2024」、それから「リアルアスリート・ピクトプロジェクト」、それから学校訪問も行っております。ムーブメントをさらに起こしていきたいと思います。  さらに、「SAGA2024」を契機に整備する施設はSSP構想を支えるハードの基盤であります。SAGAアクアにつきましては、今、全国トップクラスのチーム、大学などの合宿場所としても大変好評を得ています。今後とも、県内選手への大きな刺激となりますので、さらに誘致も進めていきたいと思います。  フェンシング場も、相変わらずJOC認定のフェンシング競技別強化センターとして盛り上がっておりますし、これからオープンしていく伊万里実業のホッケー場、鳥栖工業のレスリング場、多久高校のスポーツクライミング施設、これは高校の中に設置しますけれども、高校だけではなくて、ジュニアから社会人まで練習できる開放型の施設として県内の育成拠点としての活用を考えております。  さらに、来年オープンのSAGAアリーナは、スポーツだけではなくて、コンサート、そしてMICEにも活用されるように取組を加速させていきます。  さらに、ハードの活用に加えて、SSP構想では育成を政策の柱に据えて、中高生アスリートの育成、社会人アスリートの育成を国スポ以降も全障スポ以降もハード、ソフト双方の両面から力強く進めていきます。  さらに、佐賀で学びたいと思う中高生が佐賀への進学を目指す環境をつくっていくために、優秀な指導者の確保、さらには生活の場の確保に注力してまいります。育成は学校だけでなくて、競技団体、ユースチームも担っておりますので、それぞれ指導者確保、練習環境の充実を支援してまいりたいと思います。  さらに、佐賀の高校に進学するための生活の場として、佐賀、鳥栖、太良に続く官民連携アスリート寮のさらなる整備を推進していきたいと思います。そして、さらに中高生育成に将来必要となる財源をSSP育成基金に造成して、中長期的に力強く取り組んでいきたいと思います。  スポーツは筋書きのないドラマであります。関わる人の魂を揺さぶります。力を持っております。世界のどこにもない新しいスポーツシーンを、ぜひ佐賀から切り開いていきたいと思います。これは人と人とのつながりを大切にする、そして育てることが得意で大好きな佐賀だからこそできる取組だと自負しております。  続きまして、商工業の振興についてお答え申し上げます。  コロナ禍で中小事業者を取り巻く環境は変化し、業態によってまちまちですが、厳しい状況に置かれている事業者も多いと認識しています。  私は事業者の皆さんに少しでも前を向いてもらいたいという思いで、国の支援策や財源も活用しながら、コロナのその時々の状況に応じて県独自に支援を実施しております。  現在、国の「まん延防止等重点措置」の期間中ですが、措置は飲食店の時短要請とセットになっておりまして、現状において飲食店で感染拡大が進んでいるわけではないと認識しつつも、北部九州でアナウンス効果も含めてということで時短を要請するという苦渋の決断によるものであります。  そして、であるならば、今回の時短については、時短要請協力金が国のスキームでは認証店のほうが酒類を提供できるとはいえ、協力金が低く設定されていたので、そこに問題意識を持って、少しでも気持ちよく協力していただけんかということで、独自に認証店もそれ以外と同額とさせていただいたところでございます。  また、この「まん延防止等重点措置」の適用を検討していることを発表した段階で、お店のほうから、認証店に今から手を挙げられんかという声が殺到したので、では、すぐにでも対応しようということで、県職員の中で現地認証チームというものを編成して、希望のあった四百八十四件全てを二月八日までに認証させていただきました。  ということで、新型コロナの影響というのは大変大きなものがあります。そして、飲食店以外にも幅広い業種に及んでおります。そのため、大変厳しい経営を余儀なくされている事業者の皆さんにはこれまで県独自に応援金を交付してまいりました。その支援要件も、県のほうとしては議会の御指摘なども受けながら、どんどん幅広く対象にするようにしてきたところですが、今回は知事会での提言の成果などもあったんでしょう、国においてこれまでの月次支援金より要件が大幅に緩和された事業復活支援金が用意されております。今回これをぜひ活用していただきたいと思っています。  また、国の事業復活支援金の対象にならない方々があります。県独自に支援してきた方々について、今回も県独自で支援していきたいと思っています。どういう方かといいますと、例えば、店舗を拡大した事業者さんです。数が増えていくと、既存店舗の売上げが合計全体での減少率が小さくなるために対象にならなかったりする皆さんとか、例えば、道の駅の運営協議会など、いわゆる任意団体のような皆さん方、そういう非常にコロナの影響はあるけれども国の対象にならない人に対しては、県単で支援するという事業を行っております。  さらに、このコロナ禍の消費行動、企業活動の変化を前向きに捉えて新たな分野への進出、業態の転換、新商品の開発などにチャレンジする事業者も引き続き強力に支援していきたいと思います。  これから先も現場をしっかり見据えながら、状況に応じて何が必要かを考えて果敢に実行していきたいと思います。  一方、人口減少、グローバル化、デジタル技術の浸透によるビジネスや暮らしの変革ですとか、先ほど申し上げたカーボンニュートラルの実現に向けた動きの加速など、社会経済は大きく急速に変化しております。こういう時代背景の中では、コロナ禍での対応だけでなくて、その先、そして世の中の動きというものをしっかりと見据えながら、その先に必要とされる「モノ」、そのときに気に入ってもらえる「モノ」、そして「コト」、そういったものを構想して、実際に形としてつくり出していくことが重要だというふうに考えます。  我々は、今ある企業が成長し、新しい企業や産業が生まれ、そこで働く人が増え、企業を支える人材が育ち、そしてその産業が発展するという好循環の実現を目指して、四本柱で産業振興に取り組んでいきます。  一つ目は人材の育成と確保です。  デジタル人材については、各企業のDXを牽引する人材を育てる講座を開設したり、企業経営者が、人材育成、人材登用の考え方、必要なスキルなどを、直接高校生や大学生などに教える実践的なプログラム、こうしたものにも県教育委員会などとも連携して構築していきたいと考えています。  さらに、高校生の県内就職割合、昨年の卒業生が六五・八%ということで、目標の六五%を一年で達成したために、「プロジェクト65+」と銘打って、さらに高みを目指すように今努力をしています。今年の卒業生は一月末現在で六六・五%ということで、昨年より〇・七ポイント高いわけですが、さらにアップするように期待しています。  二つ目はイノベーションを起こすことです。  本県では全国に先駆けて、四年前に産業スマート化センターを開設しました。田畑総務副大臣も感銘を受けた、全国に横展開をしたいという評価をいただきましたけれども、こういった蓄積をさらに県内に広げていきたいと思います。  それから、スタートアップ企業の発掘、育成でも佐賀型の支援を展開しています。成長フェーズに応じた個別指導のプログラムですとか、特にクラウドファンディングやベンチャーキャピタル投資など民間からの調達を意識した資金調達を伴走型で行っている支援というのは、佐賀だからこそできる支援だというふうに思っています。  三つ目は産業の活力を未来につなぐということで、もともと知事就任後に十億円のものづくり基金をつくったわけですけれども、さらに今、「SAGAものづくり強靱化プロジェクト」を推進して、生産性の向上、AIを利用した技の継承など、さらに子供たちへのものづくりへの波及などを行っています。  さらに、定松議員からお話がありましたように、SUMCOさんは半導体の製造にはなくてはならない、一番川上で約三割あそこで生産している。特に高付加価値の半導体のシリコンウエハーについては世界全体の半分は佐賀県のSUMCOで作っているということでありまして、今回二千十五億円を投資して新工場を建設するということで、新工場建設に伴い五百人、六百人の新規雇用が創出されるということでございます。何とか、今、この雇用対策が大変なんですけれども、一度佐賀から出ていってしまった皆さん方にもぜひ戻ってきていただくような、そんなような形も組み合わせることで就職者の増加につなげていきたいなというふうに思います。  佐賀県は、先ほど説明したように内水氾濫はあるものの、南海トラフ地震でも政府の発表では九州では唯一、津波高の想定がなされていないなど、地震も少なく、明治以降、地震で亡くなった方はお一人もいなかったと思います。BCP対策として最適なロケーションであります。そういったところもしっかりやっていきたいと思いますし、コロナ禍の中でも、むしろ温泉旅館の客室を改装したオフィスにIT関連企業が今進出しておりまして、その進出した企業がまた別の企業を呼び込むという、仲間がお互い呼び込むようなネットワーク誘致型のものが今、佐賀では盛んになっていて、こういう人と人とのつながりを生かして本県の成長を牽引する企業を誘致するというやり方も行っていきたいと思います。  そして、県東部を中心に、佐賀県は立地の優位性を発揮できる余地がまだまだ十分にあると思います。佐賀県の飛躍につなげるためにも、さらに産業用地の開発にも取り組んでいきたいと思います。  四つ目は世界に売り込むことであります。県産品を磨き上げて世界へ売り込んでいきたいと思います。  そのためには、例えば、食材はすばらしいと言われ、焼き物もすばらしいと言われています。もう一つ加えて、料理人が加わってほしいなということもあって「SAGAマリアージュ」のプロジェクトなどは行われているわけでありますけれども、今般、スペイン大使館と連携ができましたので、ぜひそういった分野も期待したいと思います。楽しみです。  さらに、来年度は高性能食肉センターが完成しますので、これまでハードルが高くて輸出がかなわなかったEUへの「佐賀牛」の初輸出が可能となります。さらに、コロナ禍で売上げが減少しております酒とお茶のアメリカへの輸出拡大に挑戦してみたいと思います。  このように佐賀の本物の資源を生かして、佐賀だからこその人と人、企業と企業などのつながりを生かしたやり方で、地域で頑張る事業者を支え、人材を育成するとともに、世界に羽ばたく起業家、企業を育てて、最先端の技術、ビジネスにチャレンジする企業を後押ししてまいりたいと思います。  今、時代の変革期にありますので、時流をつかまえて、佐賀が先頭に立って新たなうねりをつくり出していきたいと思います。  続きまして、農林業の振興についてお答え申し上げます。  農林水産業は佐賀県の誇りであるとともに、大切な財産であることから、私は常日頃から、「一次産業の振興なくして県勢の浮揚なし」と申し上げております。  現在の農林業を取り巻く情勢は、所得の伸び悩みや労働力不足、グローバル化の進展などで大きく変化しています。そういう今だからこそ、将来にわたって佐賀の農林業を考える上では、新たな担い手の確保、稼げる農業を実践する人材の育成など、人づくりが何よりも重要だということで担い手の育成に力を込めていきたいと思います。  来年度は、神埼市の脊振地域に県内五カ所目となりますピーマンのトレーニングファームを整備したいと考えています。さらに、新規就農者の受皿となります園芸団地の整備を進めて、こうした取組によって就農に向けた技術習得から就農環境の整備、さらに経営発展と切れ目なく支援を行って、担い手と産地を育むことにさらに注力していきたいと思います。  また、農業者と福祉側の双方にコーディネーターを配置して農福連携を拡大するとともに、そして、女性農業者の積極的な経営参画も推進していきたいと思います。  せんだって、神埼市で農業女子サミットが開催されました。私も参加して、家族の中でそれぞれが経営体として夫婦そろって前へ進んでいくということが大事、夫婦や家族が互いに敬意と感謝を持って農業に取り組むような流れをつくっていきたい、そんな話で盛り上がりましたけれども、そういった経営の観点を入れたような、そして家庭、そして子供、みんなが農業というものに楽しく取り組んで稼げる農業になるように、さらに努力を重ねていきたいと思います。  「さが園芸888運動」についても、今回大幅に予算を拡充して取組を加速させることにしています。  生産対策では、ブロッコリーなどの新たな露地野菜の産地づくりの強化や、中山間地域の根域制限栽培ミカンの団地を整備するなど、平たん地域のみならず、担い手が減少傾向にある中山間地域においても生産拡大を後押ししてまいります。  さらに販売対策として、食品メーカーとのマッチングを行うなど取組を強化してまいります。「いちごさん」や「にじゅうまる」も大事な時期を迎えています。一層のブランド化を図っていきたいと思います。  この「さが園芸888運動」の推進をさらにスピード感を持って行うために、今年四月からは農林事務所の農政課と地域農業改良普及センターを統合して、地域農業振興センターをスタートさせることにしています。  畜産では、いよいよ高性能食肉センターが九月から稼働予定です。EUへの輸出を見据えたプロモーションも取り組んでいきます。あわせて、全国最大規模のブリーディングステーション「佐賀牛いろはファーム」の整備、これは肥前町で進めておりますが、「佐賀牛」の生産拡大に取り組んでいきたいと思います。  さらに、本県にとって伝統的な土地利用型作物では、売れる米・麦・大豆づくりに取り組んでいきたいと思います。米では十一年連続特Aを獲得している「さがびより」が頑張っています。麦でも佐賀県産一〇〇%の小麦粉シリーズといったものが開発されたりもしています。大豆も豆腐用としての評価が今高まったりしています。そういう佐賀産にこだわったハイレベルな作物づくりというものが、さらに盛り上がっていくことも期待したいと思います。  続いて林業の振興ですけれども、「さがの林業再生プロジェクト」を今年度から開始しています。今度、第三弾として、意欲ある人材を見いだし育成する「林業アカデミー」を開校したいと思っています。これまでウッドショックに対応するということで第一弾、第二弾と取り組んできたわけですが、今回は第三弾として即戦力となる担い手確保と育成に取り組むということでございます。  また、全国に先駆けて、五十六年の歳月をかけて開発に成功した「サガンスギ」でございますが、昨日、苗木の初出荷と厳木高校の創立七十周年を記念して植樹を行ってまいりました。「サガンスギ」は三十年で生育しますので、三十年後の百周年が楽しみということであります。成長が早く、強度があって、花粉が少なく人に優しいと、三拍子そろった「サガンスギ」による新しい森林(もり)づくりにも取り組んでまいります。  本県では、他県に例がない生産組合による地域に根差した活動が脈々と息づくなど、農林業は地域社会において欠かすことのできない大切なものです。農林業が一層元気になることが佐賀の元気につながります。農林業者の皆さんの、前に進みたいという思いに寄り添いながら、「稼げる農業の確立」ですとか林業の再生を進め、さらに新たな時代の佐賀県の農林業を切り開いていきたいと思います。  続きまして、介護・保育人材の確保についてお答え申し上げます。  まず、コロナ、二年間たちました。高齢者施設ですとか障害者施設、保育所などでは、本来であればもっと身近に寄り添ってケアしたり、マスクなしで表情豊かにコミュニケーションを取ったりすることが大切な職場なのに、それが思うようにかなわない。そうした切ない思いを抱えながら、細かなところまで感染症対策に気を配りつつ、日々頑張っておられる方々に心から感謝申し上げたいと思います。本当にありがとうございます。  そして、介護や保育の現場で働く人の確保に際しては、処遇改善も含め、働く環境をよくすることが重要です。これまでも処遇改善は段階的に実施されてまいりましたが、国によりまして令和四年二月からの賃金改善が図られることとなりました。介護も保育も公的価格の制度によるものでありますので、処遇については国において引き続きしっかりと議論いただきたいと思います。  また、働く環境をよくすることが働きがいや介護・保育の質を高めることにつながります。現場に寄り添った形で支援をしていくことが大切だと思います。  介護の現場では先進機器の導入を進め、抱え上げない介護の推進や介護ソフトの導入などのICT化を実施したいと思います。そうした佐賀の状況を聞いて、東京の介護施設に就職した人が、地元に帰ってこられたという事例もあるようでございます。  保育の現場では、保育士をサポートする人材を雇用する場合の補助のほか、業務の効率化、多様な働き方が可能となるような改革を支援してまいります。さらに、保育士を手厚く配置できるような必要な財政措置についても毎年国に提案をしているところであります。  介護や保育の仕事について申し上げたいと思います。  人をケアし、人を育む介護や保育の仕事は、感動と成長を実感できるすばらしい仕事であり、多くの方から感謝され、尊く称賛されるべき職業だと思います。  佐賀で育った若者が佐賀の介護や保育現場を支えるという姿が私の願いです。その実現に向けて、介護職員の人材確保の取組、例えば、小中学生が職場体験ができる「キッザケアサガ」の開催をしたり、資格取得を目指す高校生に実習費や通学費を支援したり、働く人のリアルな声をウェブサイトで魅力発信してもらったりしたいと考えています。  保育士については県内外の養成校の学生へのセミナーを開催したり、高校生などの見学会、中学生の職場体験サポートなどもしっかり取り組んでいきたいと思います。  こうした取組を通じて、佐賀の若者に佐賀で暮らす魅力、すばらしさを発信し、県内就職に結びつくように取り組んでまいります。  続きまして、生活に困窮する方への支援についてお答えします。  様々な家庭の事情で生活に困窮する方は多いのが実態だと思います。さらに、今コロナ禍でありまして、就労が安定しない世帯で特に影響が出ていると感じています。生活に困っていても、そのことを知られたくない、忙しくて「困っている」と声を上げる余裕がない、言いづらいなどの理由から、周囲から分かりにくく孤立しがちであります。そして、支援のアプローチも難しいことが多いのが現状だと思っています。  こうしたアプローチの難しさに対しては、人と人とのつながりが強いという佐賀の特徴を生かしたいと思います。以前、私も民生委員、児童委員の活動を体験したんですけれども、やはり人の声が届く、民生委員さんが訪問するというのを心待ちにされています。何か人と話すということが何よりも元気になって、何かを聞いてもらえる、何かが伝わってくる、そういったことがとても大事だということです。ですので、ぜひそういったことを強くして、いろんな声が聞けるような体制に心がけていきたいというふうに思います。  子供食堂ですとか学習支援を行う子供の居場所はとても大事です。やはり人は居場所がないと生きていけません。特に子供に関して言えば、どこも自分の行くところがないということが全ての大きなことの原因、遠因となってしまうわけでありますので、ぜひこういった何げない会話のやり取りをする場所をつくって、子供ですとか家族の中での問題点が自然と見えてくるような、周囲が気づいてあげられるような環境をつくっていかなければいけないと思います。「こども宅食」などは、行政では気づきにくい家庭に直接伴走した支援だというふうに思います。  そして、佐賀県には本当に志が高い、熱い思いを持ったCSOが県内外から多数あります。そしてさらに、官民やCSO同士、民民の協力をつないで活動を展開しています。こうした地域の皆さん方の活動が佐賀県のかけがえのない財産だと私は感じています。  コロナ禍の今、生活資金の貸付けなどの相談のほか、自立支援センターでは就労支援など課題解決に向けて伴走して支援を行っております。ひとり親世帯への就業、日常生活などをワンストップで支援しております。今年度からは養育費確保の支援も開始することとしております。  さらに、「女性のためのほっとカフェ」というのを地元のNPOなどの団体が運営されておるわけですけれども、不安を抱える女性が気軽に立ち寄って相談できるということで、県内各地で広がっておりますので、こういったところも本当にすばらしいなというふうに思います。  人生で厳しい状況になることがあります。それが続いている方もおります。そういう方々が安心して「助けて」と言える場所、つながる場所があって、人がいると、そんな佐賀県であってほしいと心から思います。  今後とも、官民両方の力を合わせて、様々な困難を抱える方に丁寧に向き合い、意見を聞き、手を伸ばしてつながりながら「人の想いに寄り添う県政」を進めていきたいと思います。  続きまして、「子育てし大県”さが”」の推進についてお答え申し上げます。  これは何度か申し上げておりますけれども、「子育てし大県」というものに取り組むきっかけは、子育てが苦しいんではなくて楽しいと思えるようにしてくださいと言われたことがきっかけです。佐賀県はみんなで助け合う県民性があって、地域のコミュニティーがまだまだ生きておりますから、子育てしやすい環境にあるんではないかと認識しています。  そんな思いで取り組んでおりますけれども、本プロジェクトは、これまで出会い、結婚、妊娠・出産、子育てという各ライフステージにおける当事者やその周辺の方のニーズや声などを参考にしながら、様々な支援策を充実させることで子育て環境を磨き上げてきたわけです。
     具体的には、多胎児の支援、それから、重い病気を持つ子供を育てる親御さんへの支援だとか、子育てタクシーや佐賀版ネウボラ「ママリ」との協調、それから、体験型をキーワードにしたり、児童書を全巻購入して、骨太で志を持つ子供の育成事業、こんないろんなことをやってきたわけでありますけれども、一歩一歩着実に進めてきたわけですけれども、先ほど議員から、子育て世代の手前の若い世代への周知について御指摘をいただいたと思いました。  なるほど、うちのプロジェクトは出会いから子育てまでをターゲットにしたわけですけれども、子育てされた子供がさらに育って、出会いに行くまでの若い世代、確かにちょっと途絶えているというか、そこまで全部つなぐと一貫したループになっていくので、なかなかいい着眼点だなと、示唆に富んだ提案だなというふうに思いましたので、そこも一貫して考えることにこれからはしたいというふうに思います。  特に、若い世代ですから、性や妊娠、それから不妊・不育症の理解、そういったものを深めてもらいたいと思いますし、何よりも佐賀にそういう「子育てし大県」というものがあるということを若いうちから知ってもらって、佐賀の未来をデザインするような事業とか、そういったことも考えていただくことによって、佐賀がいかにすばらしい子育て環境であるのかということを若い時代から分かっていただくと、それが就職先もそうですし、先ほど言った介護・保育人材とか、いろんなところにいい影響を及ぼすんではないのかなというふうに思いますので、まさに順次、次の世代へ佐賀の思いをつなげて、循環につながっていくようにするためにも、定松議員の御指摘は的を射たものだなと認識させていただきました。ですので、今後、「子育てし大県”さが”プロジェクト」を充実させるために、そういったところも含めた連携を図っていきたいというふうに思います。  中学生、高校生などの若者に対してしっかりと情報を届けることで、佐賀での子育ての魅力、すばらしさの理解につなげ、佐賀県は結婚、出産、子育ての希望がかなう県ということを広く根づかせていきたいと思います。  佐賀で生まれ、佐賀で成長した若者が佐賀で輝く、他の地域の若者が佐賀で子育てしたいと集まってくる、または佐賀を一度離れた若者も再び佐賀に戻って次の世代を育てていくといった好循環をつくり出していきたいと思います。  続きまして、社会資本整備についてですが、まず、道路整備についてお答え申し上げます。  社会資本整備は言うまでもなく、道路、河川、ダム、空港など県民の日常生活に欠かせないものであるとともに、地域産業の発展を支える重要な社会基盤であります。  道路整備についての私の思いですが、本県は人口密度が高くて、都市が点在する分散型県土であります。これも繰り返し申し上げますが、人口密度は九州内では福岡に次いで二位で、全国で十六位です。そして、県庁所在都市の、いわゆる佐賀県でいえば佐賀市に県の人口のどのくらいが集中しているのかという人口集中率は、九州内では最も低いわけであります。言うなれば、佐賀県は人口密度は高い県だけれども、点在している、まばらにお住まいになっている県だということであります。  であるならば、道路整備に当たっては、こうして分散している都市間をつなぐことが大変大事、空港や港などの拠点を有機的に結ぶことも大切、さらに道路利用者の安全・安心で快適な道路環境を整えるといった観点を持って進めてまいりました。  そういった意味で、佐賀県は点在しておりますので、道路整備というものが効果を発揮するけれども、費用が若干かかってしまうというところはあるのかもしれないという土地構造だと思います。  道路整備に係る県の予算は、令和三年度までの直近五年間の平均で約三百二十八億円となっておりまして、その前の五年間の平均である二百七十四億円と比較しますと、道路予算は約一・二倍に増加しております。  さらに、有明海沿岸道路などの広域幹線道路の整備に係る予算についても同じように計算すると、最近の五年間はその前の五年間よりも一・二倍に増加しているということであります。  それ以外の暮らしに身近な道路整備、道路防災対策などの予算についても、同様に増加しております。  国に対しても本県の現状や課題、個々の事業の必要性をしっかりと訴えておりますので、県の未来を支える社会資本整備に係る必要な予算は確保できていると認識しています。  個々具体に申し上げますと、広域幹線道路の整備については、定松議員からもお話がありました佐賀福富道路は、いよいよ福富インターまで開通しました。大変よかったという声は、私も地元ですので、多くの皆さん方から声をかけられます。さらに「道の駅しろいし」は、開通後、来店者と売上げが約一・四倍に増えたということでございます。コロナ後がまた楽しみな施設であります。  さらに大川佐賀道路ですが、令和四年度には諸富インターまで開通が予定されて、いよいよ佐賀県と福岡県がつながることになります。福岡県南西部との交流促進、さらに九州佐賀国際空港の利用促進にも大きく貢献するのではないかと楽しみであります。  さらに、最近は有明海沿岸道路と佐賀唐津道路が接続する、いわゆるTゾーンですね、嘉瀬のところですけれども、あそこで工事が本格化し始めております。ここが結ばれますと、さらに人流、物流、佐賀の絵姿というものが大きく変わっていくことと思います。恐らく今、嘉瀬のところで大分渋滞も起きていると思います。あそこが通過して、佐賀の町でいろんな皆さん方がいろんなインターから出られるようになりますと、大分渋滞も緩和して姿が変わっていくんではないかということで、一刻も早く整備に向けて邁進していきたいと思います。  さらに西九州自動車道ですが、伊万里東府招インターまで供用されておりますけれども、今、伊万里中央インターまで整備を進めたいということで努力をしております。伊万里に関して言えば、国道四九八号の若木バイパス、それから女山トンネルも開通して大分改善されて、これは物流に大きな影響を与えています。さらに、七ツ島地区のコンテナの貨物取扱量、こちらのほうは空港と違って非常に順調で、コンテナが足らなくて、そちらのほうがむしろネックになっているような状況にあります。  さらに、SUMCOさんが久原工場を増設することになっておりますし、令和四年度にはいよいよ七ツ島の臨港道路の開通が予定されております。伊万里港がさらなる飛躍をしていくんではないかというふうに思います。  さらに有明海沿岸道路の福富鹿島道路、さらに国道四九八号の鹿島-武雄間にも力を入れていきたいと思います。特に鹿島・太良地域は肥前鹿島駅周辺整備も進んでいきますので、ここの辺りを有機的に道路でつないでいくということの大切さを感じております。  さらに、味坂スマートインターのアクセス道路であります県道鳥栖朝倉線では、これも令和四年度中に九州縦貫自動車道をまたぐ橋梁の架設を予定しているわけであります。佐賀発展のフロントエンジンとなる鳥栖地域の発展を後押しするものと思います。  さらに国道三八五号です。福岡から南北に切り取る道路ですけれども、実は福岡県側で五ケ山ダムの先のほうでバイパス整備が事業化されております。これは六年前に当時の福岡県の小川知事に厚く申し入れたものが今やっと事業化できていて、これによって我々の東部地域を、神埼・吉野ヶ里地域を縦に割って、田手からさらに柳川のほうに結ぶ道路が整備されるということで、非常に楽しみな道路でもございます。  さらに国道二〇四号の唐房バイパスですが、こちらは昨年十二月にトンネルが無事に開通しまして、令和四年度の開通を目標に整備が進められているということで、これから海の道ができて上場地域が楽しみであります。  さらに国道二〇七号の鹿島バイパスは、おととしの十二月に全線四車線化することによって渋滞の緩和など、非常に大きな寄与をしているということです。  さらに、暮らしに身近な道路整備ということで、地元の要望も非常に多いわけですけれども、そういう生活圏内の道路の整備にもきめ細かく対応していきたいと思います。今年三月にはいよいよ県道伊万里有田線、さらに嬉野下宿塩田線も開通することになっています。  さらに県道神埼北茂安線では、みやき町、上峰町内のバイパス整備が完了して、令和四年度からは吉野ヶ里町、神埼市内の整備に着手をする予定であります。  さらに、通学路における歩道整備、交差点の防護柵の設置など、交通安全対策を推進していきたいと思っています。  このように人、物、地域がつながって、さらに命がつながるということで、県全体の飛躍につながるように道路整備を着実に進めていきたいと考えています。  最後に、建設業の担い手確保についてお答え申し上げます。  建設業は、佐賀の未来をつくるすばらしい仕事です。次世代へ引き継がれ、地図に残るものづくりの喜びを感じることができますし、その成果は社会貢献を実感して、みんなに誇ることもできます。さらに、県民の命と暮らしを守るためになくてはならないものであります。  考えてみますと、例えば、有明海に沿って延びる堤防や道路、世界とつながる唐津や伊万里の港、県民の命を守るダム、こういったものは建設業の皆さん方の貢献で、長い年月をかけて築き上げられたものです。本当にすばらしい業態だと、業種だと思っています。  そして、地域への貢献は社会資本の整備だけにとどまりません。令和三年の八月豪雨災害では、発生直後から昼夜を問わず応急対応や復旧活動など迅速に対応いただきました。鳥インフルエンザのときも、建設業の方々がいち早く駆けつけて、厳しい作業に敢然と立ち向かっていただきました。大雪のときも未明から除雪作業を実施していただいているのは建設業の皆さん方です。コロナ禍においても本当に必要な社会基盤の維持になくてはならない、感謝すべき存在だと思っています。  こうした建設業の本来持つすばらしさを県民、そして子供たちにしっかり伝えていくことが大事だと思います。そのために、建設業の魅力の発信や、明日の佐賀をつくる若者、女性就業者の定着を支援しております。  一つ大きなきっかけになりましたのは、維新博のときに「すごいぞ!ボクの土木展」というのをやったんですけれども、あのときに子供たちが非常に目を輝かせて建設業について理解を深めたことが大変うれしくて、やはり子供というのは現場が大好きで、いろんなことを自分で体験しながら考えを身につけていくものだなというふうに思いました。ですので、今SAGAサンライズパークの現場見学会に小学生の親子ですとか高校生とか、できる限り多くの人たちに見てもらって、何かをつくり出す仕事はすごいダイナミックですばらしいんだな、わくわくを感じていただく事業をしております。  さらに令和四年度は、原則小学五年生の皆さん方に工事現場体験をしていただきたいと考えています。  さらに今後とも、高校生の皆さん方に、県内建設業者だけによる建設業の合同企業説明会なども開催して、建設業の魅力をさらに知っていただきたいと思います。  さらに、土木や建築など専門的な学習をしている女子高校生がいますので、建設業に就職していただきたいなと考えて、昨年末の十二月にも高校生を四十五人呼んで、県職員の女性技術者、さらに建設業に従事する女性技術者との交流会を開催しております。  さらに、全国で初めて佐賀県は女子溶接技術競技会を開催したわけでありまして、今年度二年目になりました。非常に目を輝かせて、溶接技術を身につけようと頑張って切磋琢磨している姿、今、他県にも広がる雰囲気だというふうに聞いております。何とか全国大会を佐賀でやれないかなということで考えております。  このほか、補助金や入札参加資格などで優遇措置を設けて、若者や女性が活躍する環境づくりに取り組む建設業者を支援したり、さらに、働きやすさを実現するための週休二日制の定着に向けて、国や市町とも連携して、現場作業を一斉に休日にする統一閉所というものがありますけれども、そういったものを行ったり、それを拡大実施したりしていきたいと考えています。  佐賀には今、やりがいのある仕事がたくさんあります。有明海沿岸道路、佐賀唐津道路もそうですし、西九州自動車道もそうですが、SAGAサンライズパークの整備も、城原川ダムも、河川改修も、クリーク等の整備など、非常に多くの期待をしているわけであります。建設業の役割は大変重要であります。  今年度は、建設業の優秀技術者表彰式において、私、知事として初めて受賞者へ直接手渡すことにしまして、皆さんが培ってきた技術や努力の成果を次世代の育成につなげてほしいとエールを送らせていただきました。  さらに、これから高輪築堤を移築保存するので、その機会を利用して土木建築のすばらしさを訴えていきたいなと思いますし、唐津の三人のものづくり人としての偉業の展示会を今回行うこととしておりますし、様々な物をつくり上げていく喜びやすばらしさをしっかりとみんなに知っていただくように、人を育み、未来に向けて、佐賀だからできる人づくりに取り組んでいきたいと思います。  今後とも、人々の暮らしを守るとともに、人や物の交流を促進し、地域の活力を生み出していくための基盤となる社会資本の整備を着実に進めてまいりたいと考えています。 6 ◎議長(藤木卓一郎君) 暫時休憩します。     午後一時一分 休憩 令和四年二月二十五日(金)午後二時 開議  出席議員    三十七名     一番  下 田   寛     一五番  池 田 正 恭     二九番  稲 富 正 敏     二番  桃 崎 祐 介     一六番  古 賀 陽 三     三〇番  徳 光 清 孝     三番  田 中 秀 和     一七番  川 崎 常 博     三一番  中 倉 政 義     四番  古 川 裕 紀     一八番  定 松 一 生     三二番  石 井 秀 夫     五番  一ノ瀬 裕 子     一九番  江 口 善 紀     三三番  留 守 茂 幸     六番  中 村 圭 一     二〇番  藤 崎 輝 樹     三五番  木 原 奉 文     七番  古 賀 和 浩     二一番  八 谷 克 幸     三六番  藤 木 卓一郎     八番  井 上 祐 輔     二二番  向 門 慶 人     三七番  石 倉 秀 郷     九番  木 村 雄 一     二三番  坂 口 祐 樹     三八番  土 井 敏 行    一〇番  中 本 正 一     二四番  宮 原 真 一    一一番  野 田 勝 人     二五番  原 田 寿 雄    一二番  冨 田 幸 樹     二六番  岡 口 重 文    一三番  弘 川 貴 紀     二七番  大 場 芳 博    一四番  西久保 弘 克     二八番  武 藤 明 美 欠席議員    なし 欠  員    一名 地方自治法第百二十一条による出席者          知        事   山  口  祥  義          副   知   事    坂  本  洋  介          副   知   事    南  里     隆          総  務  部  長   元  村  直  実          地域交流部長       山  下  宗  人          県民環境部長       古  賀  英  敏          健康福祉部長       甲  斐  直  美          産業労働部長       寺  島  克  敏          農林水産部長       池  田  宏  昭          県土整備部長       平  尾     健          危機管理・報道局長    野  田  嘉代子          文化・スポーツ交流局長  田  中  裕  之          男女参画・こども局長   原     惣一郎          会 計 管 理 者    大川内   明  子          警 察 本 部 長    松  下     徹          教   育   長    落  合  裕  二          人事委員会事務局長    西  岡  剛  志 職務のため議場に出席した事務局職員          議会事務局長       今  村  盛  史          同    副事務局長          総務課長事務取扱     吉  田     泰          議  事  課  長   岸  川  文  広          政務調査課長       篠  田  博  幸          総務課副課長       碇     一  浩          議事課副課長       原     康  祐          政務調査課副課長     西  田  里  美          議事課議事担当係長    椎  葉  奈  美          同 議事担当主任主査   池  田  陽  介     ○ 開     議 7 ◎議長(藤木卓一郎君) これより会議を開きます。  午前中に引き続き代表質問を行います。
     定松一生君の質問に対する答弁から開始いたします。 8 ◎落合教育長 登壇=私のほうには、教育行政について、どのような子供たちを育て、本県の教育をどのように進めていくのかというお尋ねをいただきました。  佐賀県は、幕末佐賀藩の弘道館や唐津藩の「洋学校耐恒寮」などの歴史的な土台を持つ教育県として名をはせ、社会の中枢で活躍する数多くの人材を輩出してきました。  私としましては、社会の在り方が大きく変わるSociety5・0と呼ばれるこれからの新しい時代にあっても、教育県佐賀を標榜していきたいと思っております。  今回の知事提案事項説明の中でも、新年度の県政の大きなテーマとして人づくりが掲げられております。代表質問に対する知事の答弁の中でも、「人づくり大県さが」を進めるという言葉がありました。教育はまさに人づくりであり、県政の中で非常に大きな役割と責任を担っていると受け止めております。  佐賀県では、子供たちを、高い志を持ち、ふるさと佐賀に誇りを持った、様々な社会の変化に立ち向かうことのできる、骨太のたくましい人材に育てる教育を行っていきたいと考えております。そのために、本県教育が直面する様々な課題に正面から取り組む必要があります。  県教育委員会では、来年度は四つのプロジェクトと人材の確保の五つを重点的に取り組むべき課題として掲げております。  一つ目の「唯一無二の誇り高き学校づくりプロジェクト」では、学校と地域との協働によって、県立高校の魅力や強みを徹底的に磨き上げ、それを積極的に発信することで県内外からの志願者を増やし、学校や地域の活性化を目指します。  二番目の「プロジェクトE」では、全国でもトップランナーであるICT活用教育をさらに進めて、市町のGIGAスクール構想も全面的に支援して、県全体のICT活用の飛躍的なスキルアップを目指します。  三番目の「部活動改革プロジェクト」では、学校と地域との連携を強化した新しい部活の形「SAGA部活」の実現を促進することで、生徒や指導者のチャレンジを応援したいと考えております。  来年度新たに取り組むことといたしました四番目の「さがすたいるスクールプロジェクト」では、県が進める「さがすたいる」のコンセプトを学校にも取り入れて、誰もが安心して学べる優しい学校づくりを進めます。  最後に、「未来の佐賀を担う教員の人材確保」では、優秀な教員を確保するために、佐賀県で教師として働く魅力を広く発信するとともに、現職教員のUJIターン枠や離島枠の新設、やる気のある人材にセカンドチャンスを提供する秋募集の実施など、教員採用試験を大きく見直します。  次に、学力向上についてですけれども、これはプロジェクトとして特出しするまでもなく、教育の永遠のテーマとも言える重要課題だと認識しております。  子供たちにとって学力とは、生涯にわたって自分の夢や目標を実現するための礎となるものだと思っております。毎年実施している全国学力・学習状況調査や佐賀県小・中学校学習状況調査の結果などを分析して子供たちの課題を検証し、それを生かして、子供たちを誰一人取り残すことのないよう、学校の先生たちは授業の改善や分かりやすい授業の実践に日々取り組んでいます。  また、本県独自に国に先駆けて実現する小学校四年生までの少人数学級も、きめ細やかな教育により、子供たちの学力向上に結びつけることができると考えております。本県の強みであるICTの力も大いに活用して、佐賀県らしいやり方で児童生徒の学力向上を図っていきたいと考えております。  佐賀県の発展のためには、それを支える人材が何より重要です。県教育委員会として、「唯一無二の誇り高き学校づくり」をはじめとした佐賀県独自の取組に果敢にチャレンジすることにより、将来に向かって佐賀県で学びたい、佐賀県で学んでよかったと思われる教育県佐賀をつくっていきたいと考えております。  以上です。 9 ◎松下警察本部長 登壇=定松議員から、県警察の取組に関する質問をいただいております。まずは現状につきまして、交通事故情勢から説明いたします。  令和三年中の県内における人身交通事故の発生件数は三千五百六件で、前年より二百五十二件の減少、減少率が六・七%となりまして、八年連続で減少いたしました。この数値は、過去最多であった平成十三年と比較しますと約七千件、減少率六六・九%の減少となっております。また、交通事故死者数は、令和三年中は二十三人で、前年より十人の減少、減少率三〇・三%となりました。この数値は、統計資料が残る昭和二十三年以降では、昭和二十五年の二十二人に次いで二番目に少なく、七十一年ぶりに二十人台となりました。  このように交通事故が大幅に着実に減少した要因は、県警察、県、市町、交通ボランティアの皆様などの関係団体が一丸となって事故の発生実態に応じた取組を推進し、また、これにより県民一人一人の交通安全意識が高まった結果だと考えております。  一方、議員御指摘のとおり、人身交通事故は減少傾向にあるとはいえ、いまだ全国ワーストレベルにあるほか、死亡事故や重傷事故に関しては、道路横断中の高齢者の割合が増加していることに加え、子供が被害に遭う事故も発生しております。特にここ数年の傾向としては、全死者数に占める高齢者の割合が高くなっており、令和三年中は七割を超えている状況にあります。  こうした高齢者や子供の交通事故を防ぐため、横断歩道における歩行者保護の徹底など、歩行者への保護意識を醸成するための広報啓発や安全教育に加え、通学路や生活道路における速度超過、横断歩行者妨害などの重大事故の危険性が高い違反の取締りなどを重点的に行っていくこととしております。  また、人身交通事故全体を抑止するために、特に全体の約四割を占めております追突事故への対策として、事故多発路線における警戒活動などを強力に推進するほか、引き続き交通ルールの遵守と思いやりのある交通マナーの向上に向けた対策に粘り強く取り組み、ワーストレベルからの脱却を図っていきたいと考えております。  次に、犯罪情勢についてであります。  令和三年中の県内における刑法犯の認知件数は二千八百二十一件と、前年より二百四十八件減少し、平成二十七年以降七年連続で戦後最少を更新しております。特に「佐賀県犯罪の起きにくい安全で安心なまちづくり条例」が施行された平成二十六年から官民一体で抑止の重点として取り組んできた住宅への侵入窃盗や、身近な窃盗である自転車盗、車上狙いは、いずれも条例施行時に比べ六割以上減少いたしました。  全体としては犯罪が着実に減少してきた一方、一部罪種には高止まりや増加も見られ、例えば、御指摘いただいたニセ電話詐欺については、令和三年中の発生件数が三十三件と、前年より四件増加し、被害総額は四年ぶりに一億円を超えております。中でも、介護保険料や年金の払戻しなどの手続を装ってATMで振込をさせる還付金詐欺は、過去三年発生はなかったのですが、昨年は十二件発生しており、被害者全員が高齢者の方でありました。  このような状況下で、昨年は指定暴力団組員らによる組織的な預貯金詐欺など七事件を検挙したところでありますが、取締りのみならず、官民一体となった被害防止対策を推進したいと考えております。  具体的には、金融機関などと連携しまして、ATM周辺での携帯電話利用を控えるように呼びかけをしたり、ATM振込制限の一定の条件下での年齢引下げを進めているほか、県や民間団体の力もいただいて、ふるさと納税を活用したクラウドファンディングによる広報事業などを進めているところであります。さらに、発生実態に対応した被害防止の呼びかけがタイムリーに県民の皆さんに届くように情報発信に努めていきたいと思っております。  次に、比較的新しい課題についてでありますが、サイバー犯罪の検挙件数は令和三年中八十四件で、一昨年から八十件台で推移をしております。また、これに関連する相談件数は九百三十四件で、前年より百六十七件増加、増加率が二一・七%でございました。その中でも実在する企業を装ったメールをスマートフォンに送りつけて偽サイトに誘導し、不正に情報をだまし取るフィッシングと呼ばれる手口に関するものが多かったところであります。  今後、実空間とサイバー空間の融合がさらに進む中で、サイバー犯罪の手口が巧妙化し、発生したときの被害や影響などが拡大することが懸念されるため、県警察では検挙のみならず、事業者のセキュリティー対策を促進し、また、幅広い世代への啓発活動を進めるほか、専門的人材の育成など対処能力の向上を図っていきたいと考えております。  県警察としては、交通情勢や犯罪情勢に加え、治安上の新しい課題を踏まえまして、発生した事件、事故に対し、的確に捜査や再発の抑止を推進するとともに、県民に対する迅速な注意喚起や情報提供、早期の相談対応により、事件、事故の被害に至る前で防止を図るなど、きめ細やかな対策を進めてまいります。  事件、事故とも引き続き着実に減少させつつ、社会情勢を背景に懸念されるものへの対策をしっかりと講じることで、県民の皆様が安全・安心を実感できる佐賀県を目指して、県警察一丸となって各種警察行政に取り組んでいく所存でございます。  私からは以上です。 10 ◎藤崎輝樹君(拍手)登壇=県民ネットワークを代表いたしまして、質問をさせていただきます藤崎輝樹でございます。  知事、喉は大丈夫でしょうか。県政の諸課題に対する山口知事の所信について質問をいたします。  第一の質問項目は、知事の県政運営についてであります。  山口県政二期目の最終盤となりました。振り返れば、改めてかじ取りの難しい局面が多い県政であったろうと思います。「人を大切に、世界に誇れる佐賀づくり」、この理念の下、初志貫徹の意思に燃えて県政運営に当たられたものと受け止めております。  そのことは、佐賀県の素材を磨き上げ、県の内外へ向けて佐賀のすばらしさを発信されたり、相次ぐ大雨、大雪、鳥インフルエンザ、新型コロナ感染症などの対応における危機管理能力を遺憾なく発揮されていることでも分かります。この情報発信と危機管理に見せる知事のリーダーシップにより、県民から高い評価を受けていることは、佐賀新聞社の県民世論調査からも明らかであります。  世論調査の結果によれば、知事を評価する理由で最も多かったのは「リーダーシップ」でありました。逆に評価しない理由は、「政策に期待が持てない」からであります。  知事は、「佐賀県は政策課題が非常に多岐にわたるので、全員が満足する形は難しい」とも世論調査の結果を受けて語っておられます。  指摘された政策とは、国策絡みの政策判断によるもの以外も多数あると私は思います。信頼されている一方で、政策に期待が持てないという県民の意見を真摯に受け止めるべきであります。  これまで一貫して山口県政は、志を原点に、人を全ての政策の基軸に置いて佐賀の飛躍を目指してまいりました。ところが、佐賀の時代をつくろうにも、目の前に厄介なリスクが横たわっておりました。自分たちの住んでいる地域を知らない、誇りが足らない、そうした心の過疎が、佐賀の飛躍を阻害する最大のリスクと知事は指摘をされています。それゆえに、地域が主体的に町をつくり、動かし、活性化するために必要な地域への愛着度、誇りを醸成する、そのような育む事業に取り組まれてきたわけであります。  例えば、「肥前さが幕末維新博覧会」事業、維新博メモリアル展示整備事業、「さが維新まつり」、銅像モニュメント活用推進事業、「大隈重信百年アカデミア」事業、高輪築堤の「志」継承事業など、ほかにも多数であります。本物のすばらしい地域資源があるにもかかわらず、佐賀には何もないという言葉に象徴される佐賀の人の心のありようを知事は変えようとされました。その成果と見るべきか、先般の世論調査結果では佐賀県が好きと答えた人が九割を超えました。  この結果を受けて知事は、「この数字が佐賀県の未来への大きな布石になると思う。佐賀の弱点は、自信を失っていたこと。本物感満載の地域なので、そこを県民が知り、対外的に話ができるようになることが一番の武器になる。」と述べられています。県の人を育む事業は成果を上げていると知事は思われたのかもしれません。しかし、心の過疎を解消しようとこれまで取り組まれた数十億円にもなる事業費は、県民から見れば費用対効果に疑問を持たれたのではないでしょうか。一つ一つの事業はとてもすばらしく、参加された県民の評価も高かったことから、狙いどおりの事業効果が出たものと知事は受け止めておられますが、県民の本音とは温度差があるように思えてなりません。  このような考えに至った理由は、佐賀の弱点の捉え方にあります。知事が指摘されるように、佐賀県民が佐賀に対する自信を失っていたことを否定まではしませんが、私はむしろ、県民の品格を重んじる謙遜の文化が佐賀の弱点と捉えます。これは自己顕示を否定した葉隠の精神が裏目に出たゆえに、佐賀のよさをはっきりと伝えない県民性になったのではと考えます。  この点に関しては、憲政の神様ともうたわれた政治家、尾崎行雄が自身の回想録で佐賀県人について言及しています。尊敬する大隈重信侯との思い出話に及び、全ての人にある程度まで満足を与えて、何人をも怒らせない不得要領な佐賀流の言葉遣いを大隈侯は時々用いたが、佐賀にはそういう曖昧な言葉遣いをする一種の流儀があるということを悟ったと記述しています。確かに佐賀は物事をはっきりと言わない県民性のように私自身自覚をしています。そのような流儀こそが、今の時代においては改めるべきことだと痛感をしています。しかし、ひきたしなむ謙遜の文化を持つ県民性を変えるとなれば、簡単なことではなく、期待できるのは次の世代であります。ならば、子供たちへの教育こそが重要であります。顕彰事業を通した人づくりは、教育行政において取り組むべきことだと思います。  ちなみに大隈重信侯のすごみは、藩閥政治によらず、民衆を味方に在野の精神を持ったことだと思うのですが、その大隈重信侯の偉大さを子供たちへ伝えるに、国会議事堂中央広間にある板垣退助伯、伊藤博文伯とともに大隈重信侯の銅像があり、四つ目の台座には今なお銅像がないことも教えていただきたいと私は考えます。  佐賀への誇り、愛着醸成を図ること自体に反対の意見を聞くことはありません。それでも、多額の予算を使って県が主体的に取り組まれたからには、県民の佐賀への誇りや志をどう佐賀の飛躍につなげていくのかが山口県政二期目に課せられたテーマであったと思います。その解決へ向けて、三年間取り組まれたものと理解をしています。  予期せぬ豪雨、新型コロナに見舞われながらも、いよいよ期限を迎える最終年度となりました。私は成果が問われる総仕上げ予算として、どのような当初予算を編成されたのか、心して知事の提案説明を聞きました。県全体を俯瞰して、改めて人づくりに力を込めたいと知事は予算編成の意図を述べられました。人に投資していくことが必要と考え、様々な分野で、佐賀で育てられること、育成されることで大きな付加価値を生み出していけるよう「人づくり大県さが」を掲げられました。予算編成に当たっては、コロナ禍で使わなかった予算も人へ投資することも含めて検討されたようであります。  もちろん、目下の課題となる新型コロナ対策と災害対応を第一義に考えた上での予算であります。引き続きコロナと災害対策に全力を尽くすため、佐賀県ならではの他県に先駆けて医療体制を構築できた「プロジェクトM」、内水氾濫対策に挑む佐賀県らしい連携を大事にした「プロジェクトIF」などを新年度予算の前面に打ち出したことは県民の安心へつながるものと評価します。しかし、懸念もあります。新型コロナ対応に当たる保健所、また、災害工事を担う建設業の現場は人材不足が大変切実な問題となり、その他の様々な現場においても人材不足が大きな影を落としております。これら人材不足の最大要因は、長年の懸案、人口減少問題であります。  その人口減少問題については、二〇二〇年国勢調査による日本の総人口が一億二千六百十四万六千人となり、五年前の調査から約九十四万九千人減っております。東京都など八都県では人口増加となり、佐賀県を含む残る三十九道府県で減少していて、首都圏で総人口の三割を占める一極集中が改めて浮き彫りとなりました。人口減少問題は、本来なら三十年前に国が決死の覚悟でやるべき国内の最重要課題でありました。人口減少がもたらす縮小スパイラルの影響は、中山間地域のようにコミュニティーの維持が難しくなるばかりか、地域経済の縮小、崩壊、また、社会機能サービスの要である市町の自治体が単独で存立できるのかが問われる事態を招きかねません。  さらに、人口減少は超高齢化社会を意味しており、社会保障の財源とサービス担い手の確保も困難な課題となっております。労働人口が減るため、介護や保育、農業、建設業分野をはじめ、多くの産業において経験、技術を持った人材が減り、人手不足に陥っています。大きな不安要因となる人口減少ですが、一番厄介な問題は、将来への不安が増して地域住民が希望を持てなくなることだと思います。国も取り組んではいるものの、人口減少のスピードは加速して、食い止めるのさえ難しく、人口増加の即効薬は見つかっていません。  当然ながら人口減少対策は、移民政策以外で考えれば少子化対策となり、出生率の向上が必要となります。国は希望出生率一・八の実現を目指していましたが、本来の人口を維持させる二・〇七へ向かうどころか、一昨年は一・三四でありました。新型コロナの影響もあり、結婚したカップルの婚姻件数は二〇一九年度比八八・六%、年間六十五万件の減少となりました。新型コロナは少子化に拍車をかけています。合計特殊出生率には未婚の女性も含まれるため、未婚率が高まれば、それだけ下がることになります。  二〇二〇年度の女性の生涯未婚率は一六・四%ですが、東京都は二〇%を超えています。東京圏に住んでいる二十代、三十代の女性人口は二〇一九年十月には四百三十二万人に達していて、これは日本全体の同世代の女性人口の約三三%に当たります。さらに、コロナ禍で女性の東京への転入超過は増えていて、昨年の転入超過では男性九千六百三十二人に対して女性は二万一千四百九十三人と二倍以上となっています。  東京に人が集まるには、やはり理由があります。東京には政治、行政、情報、文化などの高次中枢機能が一極集中しています。その上、若者が集う大学までもが首都圏に集中しているため、全国の大学生の四割が首都圏で生活をしています。そして、その多くは卒業後も東京に就職をしてしまいます。  過去には一極集中を解消できるのではと希望を持った時期もありました。「国会等の移転に関する法律」が成立して、候補地選定など国会移転が現実味を帯びてきたときは、国の形をつかさどる明治維新以来の中央集権制度が見直されると期待をいたしました。しかし、小泉総理になると、首都機能移転の話は聞かなくなりました。いつの間にか永田町の議員会館も新しく立派になり、首都機能移転は夢と終わりました。  私は、東京一極集中の解消が人口減少対策に最も効果のある政策だと考えます。「まち・ひと・しごと総合戦略」は、出生率が非常に低い東京から比較的出産、育児がしやすく、出生率が高い地方へ人口移動を促す理にかなった政策であります。  コロナ禍により東京一極集中は鈍化しているものの、転出者の多くは五十歳以上の年齢層であります。二十代では転入超過となっていて、進学や就職を機に、若年層が地方から転出する構造に変化はありません。人口減少対策は政治家が覚悟を持って取り組むべき政策ですが、成果は現れていません。  このように東京一極集中は相も変わらずとの印象ですが、二〇二一年の人口移動報告によれば、東京都内二十三区に限れば転出超過となり、東京一極集中にも陰りが見え始めております。コロナ禍による影響と思われますが、テレワークの推進により、地方へ移住する流れをつくるため、テレワーク環境整備の推進、子育て環境の充実など、地方にとっては矢継ぎ早に政策を打ち出すチャンスであります。  佐賀県の場合は、人を政策の中心に置いて、これまで様々なさが創生事業に取り組まれ、少子化対策や人口の転出防止にもよい流れが来ていると期待をしていますが、知事が提案された人づくりもそうですが、人口減少対策は一朝一夕に成果が出るはずもなく、ある程度の時を要します。そして、何より知事の覚悟を必要とします。その覚悟を県民に問われるのが知事選挙であります。  今年は選挙の年であります。一月の嬉野市長・市議会議員選挙から始まり、小城市、みやき町、武雄市、吉野ヶ里町、有田町、伊万里市、神埼市、鹿島市と、四月まで選挙が続き、夏には参議院選挙、そして、知事の選挙が恐らく年末でしょうか、行われます。  議員にとって選挙ほど人のありがたみが分かるものはありません。当たり前ですが、候補者一人では選挙はできません。多くの支援者に支えられ、有権者の重い一票の積み重ねにより、議場での議事に参加できるか否かが決定します。知事の選挙となれば、さらに厳しい重圧との闘いでもあろうと察します。県の将来と県民の暮らしに影響するため、全てをなげうつ覚悟と迫力が知事には求められます。山口知事はその選挙を二度勝ち抜いて県政運営を担っておられます。  「男子の本懐」で有名な濱口雄幸元内閣総理大臣は、「およそ政治ほど真剣なものはない。命がけでやるべきものである。」との言葉を残しています。遠大な夢のためならば、命を惜しまず、意地を貫く、そのような気概を持ってリーダーは職務に当たっているものであります。  来年の春にはSAGAアリーナがオープン、再来年は国民スポーツ大会・全国障害者スポーツ大会が開催されます。SSP構想の理念であるスポーツ・文化の力を生かした人づくりの好循環を佐賀に根づかせるため、二つの大会を大成功へ導かなければなりません。  今は新型コロナ感染症対策と向き合い、県内経済に注力しながら、目の前の県政運営に当たっておられる知事ですが、いずれ知事選挙への決断をされるものと思っております。もちろん、知事の後援会や県政情勢、社会状況など、出馬表明の判断のタイミングはありましょうが、山口知事が三期目へ再出馬しないということはあり得ないと考えております。もっとも、議会開会日の提案説明の結びに、知事就任から七年を振り返り、山口県政で一貫して大事にしてきた思いを語られました。あくまでも人であり、人を育み、人と手を取り合って新たな時代を切り開く、これが佐賀の地に連綿と続く大切な伝統であると信じて、「人を大切に、世界に誇れる佐賀県」をこれからもつくっていく、これはまさに知事の抱負であり、決意であると私は受け止めました。  これまで「人」を佐賀県総合計画の政策全ての基軸に置き、人材育成に取り組まれてきた知事が、任期最後の予算編成にあえて「人づくり大県さが」をテーマに据えたその思いについて、ぜひとも代表質問で聞かなければならないと考えました。  そこで、次の点を質問いたします。  佐賀県の最大の課題とも言うべき人口減少対策であります。  県はこれまで、「子育てし大県」や高校生の県内就職促進などの取組とあわせて、地域への愛着や佐賀への誇りを醸成することに重点を置いた取組を実施されています。こうした取組を、人口の流出防止にも成果としてつなげていかなければなりません。  また、コロナの影響を受けて、人の流れが変わりつつあるこの機を捉え、移住の促進などにより、佐賀に人の流れを積極的に呼び込み、人材の育成、確保に取り組む必要があります。  知事は、佐賀県を支える人材の確保という観点から、人口の流出防止や流入人口の増加に向けて、今後どのように取り組んでいくのか伺います。  また、来年度の県政運営の方針については、SAGAアリーナが二〇二三年オープンを迎え、その翌年にはいよいよ佐賀国民スポーツ大会・全国障害者スポーツ大会が開催されます。知事がこれまで種をまいてきた事業が花開き、世界に誇れる佐賀を全国に見ていただく絶好の機会となります。  そのような重要な局面を前にして、今回、「人づくり大県さが」をあえて打ち出されたのは、人づくりに込める知事の強い気持ちの表れと考えます。  こうした中、来年度の県政運営について、どのような方針で臨むのか伺います。  さらに、知事の決意についてであります。  知事選挙まで、まだ時間的な余裕もあります。出馬の意向を聞いても答えられないだろうと察します。ただ、これまで取り組んできた人づくりというものに横串を刺したものとはいえ、このタイミングで新たに「人づくり大県さが」を掲げられました。大きなテーマだけに、県民世論を喚起しなければなりません。そのためには三期目へ向けた知事の不退転の決意が求められると考えますが、知事の率直な心中をお尋ねいたします。  次に、新型コロナ感染症対策関連についてであります。  新型コロナウイルス感染症対策については、二年前の令和二年二月議会開会日の提案事項の説明において、「庁内に情報連絡室を設置し、患者の発生状況や感染防止対策などについて情報共有を図っています。また、各保健福祉事務所に相談窓口を設置し、感染が疑われる場合には診療体制の整った医療機関に確実につなぐなど、県内での患者の発生に備えた体制を整えております。」と知事は述べられました。  当時は新型コロナの情報が不足していたため、県の担当部署におかれては大変であったろうと思います。一過性、もしくは季節性の感染症であればと、何も知らず、正直願いましたが、結果、長期にわたって猛威を振るうこととなり、深刻な影響は計り知れません。それでも医療の英知を結集し、関係する方々が全力で奉仕していただきました。県としても考え得る対策に予断を許さずに全力で取り組まれてきました。  県内のワクチン接種も、担当行政、医療・福祉関係者の大変な努力により、全国に先駆けて接種率を高めました。引き続き三回目となるワクチン接種が円滑に進むようお願いするとともに、医療現場の逼迫を防ぐことで守られる命を救っていただきたいと切に願います。  今現在も、多少抑えられてきたとはいえ、想定を超える勢いでオミクロン株による第六波の感染拡大が猛威を振るっています。そのため、宿泊療養施設を確保したり、自宅療養者への支援体制を図るなど、県には先手を打った対応をしていただいております。それでも感染者、濃厚接触者となる方が急増し、自宅待機を余儀なくされて仕事を休まざるを得ないなど、社会機能を維持することも困難な状況が生じました。  そうした中、県では不測の事態に備えて既に業務継続計画──BCPを策定し、事業の棚卸しを実施するとともに、早くから導入しているテレワークや電子決裁による意思決定といった仕組みを活用し、県庁内で感染が拡大しても業務が継続できる体制を取っていただいております。  また、新型コロナ対策の司令塔である県の対策本部会議においては、状況に応じて出席者を限定して短時間に収めるなどの感染防止対策を講じておられますが、危機管理系統の要である本部機能を維持しながらの対応に心から敬意を表します。  今後、いつ新たな変異株が猛威を振るうか分かりませんが、状況に応じて対策を決めるしかなく、いずれにせよ、どのような場合であっても医療崩壊を防ぐことがコロナ対策では最も重要と考えます。  今なお厳しい状況にありますが、県が情報を集約して、県全体を俯瞰して、実情に応じた速やかな取組を進めてきたことを県民は高く評価しています。特に保健所業務に関しては、ふだんはあまり意識したことがありませんでしたが、疫学調査、PCR検査、陽性者の方の移送など、そのほかにも多くの対応に当たられていることが分かり、コロナ禍において日々業務に当たられている保健所の皆さんに心から感謝を申し上げます。元県議の太田記代子先生が、保健所を大事にしないと大変なことになりますよと議場から訴えておられた意味がよく理解できました。  県民の安心になくてはならない業務を担っている保健所でありますが、このような中、佐賀市の坂井市長が中核市への移行を検討することを表明されました。今後、中核市に移行した場合の効果や課題などについて検討を進められるようでありますが、佐賀市が中核市に移行すれば、現在、佐賀県が担っている保健所業務が佐賀市へ移譲されることになります。  新型コロナ感染症対策については佐賀市だけで完結するわけではなく、通勤通学をはじめ、買物などの生活圏は広いため、市町の枠を超えた取組が必要となります。もちろん、坂井市長が言われるように、保健所の設置も佐賀市が新たな権限を得て活用することで、地域の実情に応じた独自の施策が展開しやすくなるとの考えも分からないではありません。これまで県が一元管理していた保健所業務について、もう一つ別の意思決定機関ができることになります。コロナ対策において、県による保健所業務の一元的な管理は実効性を伴っていたと評価していますが、佐賀市が中核市に移行した場合でも、県民の安心・安全を第一に考えれば、その効果が損なわれないようにすることは大事だと考えます。  そこで、次の点を質問いたします。  今後の対応についてであります。  オミクロン株による感染の収束が見通せない中、「まん延防止等重点措置」が延長されました。基本的な方針は国が責任を持って決めるべきと考えますが、県としても、県内の感染状況をしっかり把握、分析して、必要な対策を講じつつも県内の経済活動を支えるなど、新型コロナウイルス感染症と向き合っていかなければなりません。  ついては、感染拡大防止と社会経済活動の両立に向け、今後どのように取り組んでいくのか伺います。  そして、佐賀市への保健所業務の移譲についてであります。  佐賀市において、中核市移行の課題等の検討が行われているところでもあります。佐賀市が独自に保健所業務を担うことについて、知事はどのように考えているのか伺います。  九州佐賀国際空港への自衛隊配備について質問をいたします。  九州佐賀国際空港、以前は有明佐賀空港と呼んでおりました。私はこの佐賀空港を議論するときに、不思議と頭をよぎるものがあります。それは、県庁職員は侍であったという印象であります。もちろん時代錯誤でありますが、小さな佐賀県に無理と思われた空港を開港できたことは、当時の県庁職員の一方ならぬ努力のおかげであり、その矜持を譲り受けて、これまで佐賀空港を守り、発展させてきました。ここに葉隠精神を県庁職員に見ることができると思っております。  その大事な佐賀空港へ自衛隊機配備の要請を受けて、今年で八年目を迎えます。様々な観点から県議会は賛否分かれて、今なお議論が交わされております。  知事は、有明海漁協の気持ちに寄り添いながらも、それぞれの議論に耳を傾けた後、県の責任者として防衛省からの要請を受け入れる判断をされました。県として国防政策に基本的には協力する立場であることは、日本を取り巻く安全保障環境を踏まえて私も理解をいたします。しかし、同時に、県民の暮らしへの影響に対する責任が知事にはあります。その責任を果たそうと、就任後すぐに全体像、将来像を明らかにするよう国に求めるとともに、民間空港への影響を見定めるため、佐賀空港の将来像も策定されました。賛否の立ち位置ではなく、真摯に論点整理に当たられたと思っております。  有明海漁協が条件つきで協議に応じるということであれば、公害防止協定覚書付属資料見直しとなる可能性が高まります。今後は防衛省の対応が一つの鍵となるのでしょうが、簡単には進まないと思います。  県有明海漁協が求める排水対策等、三つの事項に対する回答がどうなるのか。計画予定地の地権者の思いもあります。将来的な米海兵隊利用に対する県民の不安も解消されていません。コハダ漁など、騒音の影響は本当に心配ないのでしょうか。  たくさんの課題がある中で、私が知事に今一番言いたいことは、県民をなおざりにしているということであります。佐賀空港の維持管理費は県民が負担しているにもかかわらず、県民不在と言わざるを得ません。
     なぜなら、佐賀空港の二〇二〇年度収支はマイナスの三億七千五百万円と大幅赤字であります。当然、全国ほとんどの空港が同様の状況であり、赤字を一般財源で補うことは、空港が多様な公益的意義を有する極めて公共性の高いインフラという位置づけから理解はできます。それでも県営空港であるからには、安全を最優先に、収支の改善となる歳入増加を図っていかなければなりませんが、空港の収入は着陸料など限られるため、簡単には見込めません。そのような状況で防衛省が滑走路を使用することになれば、応分の負担を空港管理、維持のため、着陸料収入として見込むのは当然のことではないでしょうか。自衛隊機の着陸料に対する県民の思いを一顧だにせず、百億円の使途を限定したことは、県民をなおざりにしていると指摘されても仕方がないと考えます。  この百億円の着陸料については、県が防衛省と交渉してきた中で、判断をした後の交渉というのは非常に厳しいので、事前に一定のものを得るための交渉をしてきたと知事は説明されました。その交渉過程を簡潔に言えば、防衛省からの要請受入れには公害防止協定変更のため有明海漁協の了解が必要となる。そのためには、有明海の漁業に対する不安の声に応えなければならない。しかし、防衛省から直接漁業振興事業を実施できないと言われている。だから、防衛省が支払う百億円を着陸料として受け入れ、漁業振興基金や補償基金に充てるということであります。  自衛隊機が使用予定の着陸帯は、県営空港の滑走路であります。そうであるなら、滑走路の維持費を負担している県民の理解も必要ではなかったでしょうか。しかし、県は、防衛省の要請を受け入れる事前交渉において、県営空港の維持管理費を負担している県民の思いを全く反映していません。それでどうして佐賀空港を自分の空港として利用するよう県民に言えるでしょうか。佐賀空港の利用促進のため、県庁職員百二十名で営業するなど県は力を入れていますが、佐賀県北部や東部の皆さんにもぜひ利用していただけるよう県全体で佐賀空港を盛り上げていかなければならないときに、着陸料に関する県の考え方は残念でなりません。  これまで九州佐賀国際空港を発展させるべく、マイエアポート運動に取り組み、二千五百を超える事業所と四十九ものサポーター代理店、そして佐賀県民と福岡南西部の方たちに協力いただいています。そういった方たちの気持ちも酌むべきでありました。  そもそも私は、これまで安全の確保を前提に、県営空港の経営状況を少しでも改善するよう議会で何度も質問してきました。その観点から申し上げれば、県民の中には、自衛隊の佐賀空港配備は空港経営の収支を改善させる絶好の機会と捉える意見もあります。事実、県民世論調査では、自衛隊配備に賛成する理由として「空港の経営改善」が一三%もあります。ところが県は、佐賀空港と同じ県管理空港の秋田空港や山形空港では自衛隊機の着陸料が全額免除されていることなどを引き合いに、佐賀空港維持管理を目的として防衛省に負担していただく考えがありません。確かに秋田空港や山形空港では着陸料を免除していますが、同じ県管理空港の名古屋空港では自衛隊機の着陸料が空港経営の収支改善に大きく貢献しています。  愛知県の空港責任者は、空港経営、また自衛隊着陸料について、議会で次のように答えています。県営名古屋空港は空港の管理運営に要する費用は空港収入で賄うことを目標としていて、大規模な修繕や施設整備を除き、着陸料などの空港収入で空港の管理運営に係るランニングコストを賄えるよう努めております。県と防衛庁との関係から、県としては県営空港の着陸帯に要する費用について、防衛庁が応分の負担を行うことが当然の前提となる。その上で、着陸料に関しては、民間機の着陸料と同じ基準で算出することは到底受け入れることはできない。使用実態に見合った適切な負担割合により防衛庁が応分の負担をしていただく。このような基本的な考え方で、粘り強く国と交渉を行っています。  もちろん、本県の場合、自衛隊配備は決定していないため、先行きはまだ分かりません。しかし、県が受入れを表明したからには、仮に公害防止協定の見直しが整い、佐賀空港に自衛隊配備となる場合に備えて、着陸料の議論も行う必要があると考えています。佐賀空港の責任者として、県は自衛隊機着陸料を空港の収支改善に反映させて、空港維持管理費の県民負担を和らげるべきであります。  県民の中には、収支改善につながるのであればよいと思っている方たちもいますが、配備計画が決まった場合でも、自衛隊機着陸料が佐賀空港維持管理の財源に充てられないことを今もって知らないのではないでしょうか。  防衛省が約束した百億円は、県議会で議決した自衛隊配備に関する決議に基づくものと理解しています。諫早湾干拓事業に係る有明海全体の問題としての対応が必要なことから、漁業者の不信感の払拭と信頼関係の構築のために求めたものであり、あくまでも県営空港の着陸帯に要する費用としての応分の負担とは切り分けて考えるべきものであります。  知事も、県議会の議決の意思を尊重し、決議内容の具体化を図ったものと認識していると発言をされています。そうであるなら、国に対する漁業者の信頼回復と有明海全体の再生は自衛隊配備の入り口、大前提であろうと考えます。その上で、佐賀空港着陸帯の使用条件に関する交渉はあるべきものではないでしょうか。  そもそも国との協議により、着陸料年間五億円を二十年間で総額百億円とありますが、開港して二十四年の佐賀空港に総額四百四十億円を県は投じています。単純計算で年間十八億円以上になります。今後も必要となる年間維持管理費、これまでは約三億円から五億円でありましたが、自衛隊機が使用となれば、滑走路などの維持費は増加するかも分かりません。佐賀空港の年間離着陸回数は、小型機も含めた民間機が平成三十年では一万一千回に対して、自衛隊機は一万七千回を想定しています。防衛省のほうが使用頻度は多くなりますが、県と防衛省の共用空港としての空港使用割合などを鑑みれば、二十年で百億円は応分の負担と言えるのか、何らかのルールに基づいて細かく積み上げた金額ではないと説明を受けたため、判断のしようもありません。  そして、自衛隊が配備された後については、将来的な見通しは実際のところ分かりません。自衛隊機オスプレイ十七機とヘリ五十機のみで、この先、拡充されないのか。さらには、取り下げられたとはいえ、米海兵隊利用についても、防衛省は後出しじゃんけんにならないように提案したと県議会に説明されていました。ならば、取り下げた後の環境が整い次第に再度提案されると考えるのが普通ではないでしょうか。  ちなみに、着陸料を取っていない秋田空港では、秋田救難隊の設置運用に関する協定を防衛省と結び、自衛隊機の空港使用を救難機や救難業務用の輸送機、連絡機に限定しています。このように県管理空港としての意思を協定に表しています。  佐賀空港への自衛隊配備に関しては、現在まだ協議中でもあり、まだまだ決まっておらず、先々の展開も分かりません。しかし、要請を受け入れた県としては、県管理空港として許容される範囲について示しておくことは重要と考えます。その場合、防衛省と佐賀県の協定が意味を持ちます。  そこで、次の点について質問します。  佐賀空港は、開港までの建設費等に二百七十億円、その後の機能強化など施設整備費等まで含めれば、空港建設整備費等総額は三百五十九億四千二百万円であります。平成十年開港から令和二年までの空港維持管理費の総額は八十一億七百万円となります。つまり、佐賀空港には四百四十億円以上費やしてきたわけであります。今後は滑走路延長も計画されていて、八十億円以上は必要と思われます。これだけの県民の財産である九州佐賀国際空港の自衛隊使用を認めるとなれば、県民の理解なしには相なりません。着陸料に関しては、県民の中には空港の収支改善につながるとの思いもあります。空港管理維持のためには着陸帯利用の応分の負担はあってしかるべきと考えますが、知事の見解を伺います。  また、求めないのであれば、着陸帯利用負担となる着陸料に関する県民の理解はないままに、国と県だけで使い道を決めて漁業関係者に約束したことになり、県民不在と指摘されても仕方ないと思いますが、いかがでしょうか。  佐賀県が多額の費用で建設した県営空港を民間機よりも多く使用する自衛隊機の着陸料百億円について、これ以上、国に求めることができないのであれば、年間五億円の中から一定額を空港維持管理へ充てる考えもあるのではないかと考えますが、知事いかがでしょうか。  そして、県民の中には米海兵隊の利用について心配する意見があります。米海兵隊利用に関しては、平成二十七年、利用要請を防衛大臣が取り下げた意味は大変重いと思いますが、あくまで取下げであり、再度提案しないとも言い切れません。  防衛大臣が米軍利用の要請を取り下げた際に、沖縄の負担を分かち合うべきとの考えに基づき、全国の他の空港との横並びの中で佐賀空港の活用を考慮したい、必要に応じて改めてお願いさせていただくことがあり得ますと発言されました。つまりは、沖縄の負担軽減のため、米軍利用について、ほかの空港と横並びとはいえ、可能性のある空港に加えられたということですが、むしろ、水陸機動団と連携する自衛隊機オスプレイは島嶼防衛を目的とするため、米海兵隊との共同訓練は当然あるものとして考えておくべきであります。懸念は、そうなった場合を想定したときに、佐賀空港をどのように利用するのかが全く分からないということであります。もともとは米軍利用もセットで要請されたということは、防衛省側には、具体的な米軍利用について、ある程度の計画について考えがあったと思っています。  知事は、米海兵隊の佐賀空港利用については、何があっても極めて厳しく対応すると発言されていますが、具体的にどう厳しく対応されるのか。例えば、秋田空港のように、佐賀県と防衛省とで利用制限を設けた協定を結ぶ考えなどあるのか、この点について知事の見解を伺います。  九州新幹線西九州ルートについてであります。  時の経過というものを意識させられているのが、今年九月二十三日に九州新幹線西九州ルート、武雄温泉-長崎間の開業であります。  私は県議に初当選して最初に行った一般質問において、新幹線問題を取り上げました。九州新幹線西九州ルートに固辞される当時の知事に再考を求めましたが、佐賀県としては新幹線を整備しないということは将来の発展性を損なうことにつながると考え、必要と理解していると答弁されました。私は若気の至りから、秦の皇帝に趙高が鹿を馬と偽って献上した話を用いて、ばかものと申し上げたりもいたしました。激論の末に着工した武雄温泉-長崎間がいよいよ開業するからには、県民一丸となって盛り上げていかなければと今は思っております。  そのため、開業効果を最大限に上げていただくとともに、鉄道の利便性が低下する長崎本線沿線地域の活性化策にも引き続き力を入れていかなければならないと考えます。  そして、今なお激論を交わされているのが九州新幹線西九州ルートの新鳥栖-武雄温泉間の整備に関する問題であります。県の主張は間違いなく道理にかなっております。その上で、それぞれ当事者が自ら使命感を持ち、責任を全うしているその事実から、本当に落としどころが極めて難解であります。山口知事が言われるように、しっかりと時間をかけて議論することがまずは大事なことだと理解をしています。  また知事は、中本議員の一般質問に対して、合点がいくものがあれば合意することもある、合点いかなければ合意することはない、このように述べられています。この言葉からは、合点いかなければ合意しないのは当然ですが、合点いくものがあっても、状況によっては合意しない可能性を残しているようにも聞こえます。  例えば、県の負担額が大幅に引き下げられた場合、これは合点がいくものと思います。しかし、在来線の利便性の問題から合意できないとなるかもしれません。知事が佐賀県のことを第一に考えていることはよく分かります。ただ、知事の真意は、妥協点や落としどころを見いだしたいのか、今の状況であれば受け入れることはできないが、議論はしてもよいと考えているのか、どちらなのか素朴に疑問であります。県が「幅広い協議」を行う目的がいまいちはっきりしません。  そこで、質問いたします。  国との議論をどのように進めていこうと考えているのか、知事の真意を伺います。  また、二月十日に行われた「幅広い協議」において、鉄道局は時速二百キロ程度のフリーゲージトレインの開発は困難であると表明されました。フリーゲージトレインの導入については、既に時速二百二十キロから二百四十キロまでのめどは立っているので、今後は時速二百七十キロまでの開発についても引き続き行っていく方針であり、国としては責任を持って実現化を推進していくということで県議会としても説明を受けていた経緯があります。めどとはいえ、当時の国の見解は何だったのだろうと正直残念であります。  私も県が主張している時速二百キロのフリーゲージトレインであれば、技術面はクリアできるのではと思います。その場合は、山陽新幹線への乗り入れができないので、その点についての議論はあると思います。県から提案された時速二百キロのフリーゲージトレインは、経緯と議論を踏まえて妥協点を見いだすための提案であったと思います。  鉄道局がフリーゲージトレインの開発は困難と改めて表明されたことについて、知事の受け止めを伺います。  そして、フル規格で整備する場合のルートとして、国が示す佐賀駅を通るルート、佐賀市北部を通るルート、佐賀空港を通るルートの三つのルートについて議論が行われていますが、「幅広い協議」であるなら、ルートは必ずしもこの三つにこだわらなくてもよいのではと考えます。  県民からは、脊振山地を通るルートを考えられないかという意見も聞きました。  例えばでありますが、博多南駅から脊振山地をトンネルで南下し、神埼市辺りに出た上で佐賀市内に新幹線駅を新設、または佐賀駅に併設するというルートであります。福岡市から佐賀市までトンネルで直線的に結ぶことによって、博多-佐賀間の大幅な時間短縮を図ることができます。通勤や通学の利便性を考えると、佐賀市周辺への移住者の増加にも大きく寄与するのではと思います。  もちろん、西九州ルートは昭和四十八年に決定した整備計画において、九州新幹線と筑紫平野で分岐するとされていることから、現実的には難しいとよく理解をしています。また、費用対効果や環境アセスなどの面でも高い課題がたくさんあると考えます。それでも、西九州ルートの問題の解決に向けて活路を見いだしていかなければならないという状況や、国との議論の妥協点や落としどころを考えたときに、脊振山地を通るルートの議論もあるのではと思います。  「幅広い協議」であるため、様々な可能性を幅広く検討して、佐賀県にとって何が一番望ましいのかを議論すべきと考えます。三つのルートにこだわらず、脊振山地を通るルートの議論も考えられるのではと思いますが、知事の考えを伺います。  新しい時代の流れを踏まえた障害福祉事業所への支援についてであります。  障害福祉の分野では、アートや農福連携など、新たなビジネスセンスが求められる取組が見受けられるようになってきました。そのような事業所の中には、県の産業労働部で行っている専門家による個別指導プログラムや、民間資金の調達支援などを行う佐賀型スタートアップ支援などを活用しているところもあると聞きます。  本来、福祉サービスというのは、一般の企業活動のように営利目的で行うことはなじまないと考えています。しかし、福祉行政においても新しい時代の流れを捉え、県内の各福祉事業所がビジネスセンスを持ち、先進的な取組を導入し、利用者のために経営を持続していけることはよいことだと思います。そのため、時代の流れに合った知識の啓発や技術導入の支援を積極的に行う必要もあります。  また、福祉事業者がビジネスに必要な商慣行等の知識がないことにより十分な利益を得られなくなるようなケースもあり得ます。  福祉行政は、障害者の自立を守るため、福祉の分野だけにとらわれることなく、幅広い分野もカバーして支援していくことも大事だと考えます。これからは新しい時代の流れを踏まえ、福祉行政としても、縦割りではなく、もっとその枠を広げ、現場に対応していくことを求められる場面があると考えます。  そこで、新しい流れに関する知事の所感を伺います。  学校教育についての質問であります。新聞を活用した教育についてであります。  学校を取り巻く環境は、私たち大人が通っていた時代とは大きく様変わりしました。産業構造や社会システムがICTやAIに対応した社会となる中、子供たちが生きていくために必要となる能力も昔とは違って当たり前だと思います。特にコロナ禍でオンライン教育の普及が進んだことで、学校教育の在り方はさらに変化していくことがよく分かりました。  国においても、社会の在り方が劇的に変わるSociety5・0時代の到来、それと、新型コロナウイルス感染拡大など先行き不透明な予測困難な時代を見据え、「令和の日本型学校教育」の構築を目指しています。  その中では、「急激に変化する時代の中で育むべき資質・能力」として、「一人一人の児童生徒が、自分のよさや可能性を認識するとともに、あらゆる他者を価値のある存在として尊重し、多様な人々と協働しながら様々な社会的変化を乗り越え、豊かな人生を切り拓き、持続可能な社会の創り手となることができるようにすることが必要」としています。  そして、佐賀県教育委員会においても、各県立学校が持つ強みと魅力を磨き上げる「唯一無二の誇り高き学校づくりプロジェクト」、Society5・0の時代を見据えた「プロジェクトEプラス」、持続可能な部活動の実現を目指す「部活動改革プロジェクト」、さらに「学びたい誰もが、安心して学べる、やさしい学校 さがすたいるスクールプロジェクト」、こういった事業に取り組むことで、児童生徒が高い志と理想、郷土への誇りを持って困難に立ち向かっていくための生きる力を育成していこうとされています。知事が取り組まれた育む事業が、教育委員会において次世代へつながっていくものと期待をしています。  このように、新しい時代に適応できるだけでなく、持続可能な社会をつくるための人材づくりに教育を通して取り組むことは、子供たちのために本当に必要だと思います。そして、これまでの日本型教育のよいところを忘れてもいけません。海外から称賛されることの多い日本人の礼儀正しさや親切心といったものは、学校教育の集団生活の中で身についていったように思います。日本のどこに住もうと一定水準の教育が受けられるように、学習指導要領で教育課程の基準が定められ、行き届いていたことで、子供たちは安心して学ぶことができていました。その証拠に、全国どこの学校でも同じような授業風景を見ることができただろうと思っています。その学校の集団生活の規則の中で学びながら、自分を律する習慣ができたと考えます。そして、身についた協調性が社会に出たときに、企業や団体組織の結束力となって国の経済を強くしてきた一面はあると思います。  しかし、協調性を重視した時代から、既に個人の能力を評価する社会へ時代が変化してきたのも事実であります。これからの時代は自分の考えをまとめ、自分の意見をしっかり伝えられる人材を育てていくことが求められています。そのような人材を育てるためには、社会のことに関心を持ち、知識を得て、政治や経済、文化について様々なことを知るということが大切です。そのために、新聞を活用するということは大変有効な手段だと考えています。  世の中を知るツールとして、取材に裏打ちされた新聞はとても役に立ちます。新聞の記事で世の中の動きを知り、さらに理解したいことがあれば関連の書籍を読む、そうして基礎知識を自分のものにしていくことで、スマホなどから得る玉石混交の情報に惑わされなくなると考えます。  新聞には地域の小さな話題から世界のこと、今まさに大きな問題となっているウクライナに至るまで、幅広く多くの情報が載っていて、また、佐賀県の文化や歴史、時には先達の知恵に至るものまで掲載されています。これからのグローバルな社会を生き抜く子供たちが国際人となって活躍する上で、郷土である佐賀県のことをしっかり知っておくことは大事なことであり、そのためにも身近なツールとして、新聞は何より簡単で利用価値の高い手段だと考えます。  さらに、子供たちには新聞に掲載されている記事を読み、自分なりに考え、判断できるようになってほしいと思います。こうして得た知識は、人生において子供たちの生きる力にもつながるものと考えます。読解力や語彙力など、学力にも必ず効果はあるのではないでしょうか。  NIEとして既に取り組まれている学校もありますが、全国的に若者の新聞離れが進んでいる中で、佐賀県の子供たちが大人になったときに新聞を読む習慣を身につけていれば、必ず仕事、日常生活においても役に立つと考えます。  文部科学省では、来年度の予算で学校図書館への新聞設置のための財政措置を考えていると聞いています。佐賀県教育委員会におかれては、このような文部科学省の予算を活用するなどして、新聞を活用した教育を推進してほしいと考えます。  そこで、次の点について質問をいたします。  新聞を活用した教育の現状についてでありますが、教育においてどのように新聞を活用しているのか伺います。  新聞を活用した教育については、新聞を読む習慣を身につけることが世の中の動きに関心を持つことへつながり、人生にとって大事なことだと考えます。新聞を活用した教育について、落合教育長の考えを伺います。  教員の人材確保についても質問をいたします。  私たちにとって真に先生と呼べるのは、命を救うお医者さんと魂を育てる学校の先生だと思います。学校の先生と聞くだけで背筋が伸びる思いがいたしますが、最近は学校の教員になろうという人材が少ないことが課題とされています。  子供たち一人一人が持続可能な社会の担い手となれるよう、様々な価値観や多様性を持った児童生徒の資質能力の育成が求められる中にあって、その子供たちの育成をつかさどる教員の人材確保は非常に重要な問題であります。  そのため、一人でも多くの教員採用選考試験の受験者数を確保していく取組はもとより、負担が大き過ぎることによる長時間労働によって教員が疲弊していくようなことがないよう、学校現場を働きやすい魅力ある職場としていくような取組も必要と考えます。  今後も、佐賀の子供たちのために働く意欲を持った人材を確保していくために、県教育委員会としてどのように取り組んでいくのか、教育長に伺います。  警察行政についてであります。  全国の犯罪情勢は、刑法犯の認知件数が減少傾向を示す一方、社会情勢の変化に伴い、事件、事故は複雑多様化し、社会の耳目を集めるような凶悪な事件、事故もいまだ発生するなど、警察を取り巻く情勢は日増しに厳しさを増していると感じています。  このような中、県警察では平成十九年頃から団塊世代の大量退職に伴う大量採用により、組織の若返りが急速に進んでいて、ここ数年はそのピークを過ぎてはいるものの、現在も若手警察官の早期戦力化に向け、各種取組を推進されていることと思います。  県民から負託を受けた県警察がその職責をしっかりと果たしていくためには、ベテラン警察官が持っている豊富な知識や技術、経験等を若手警察官に受け継ぎ、若手警察官の現場執行力の底上げを図っていくことが必要不可欠と考えます。まさに県民の安全・安心の確保に直結する重要な取組であります。  現在、松下警察本部長の訓示が警察職員一人一人にしっかりと行き渡り、規律ある力強い警察官が育成されていることに心強さを感じています。また、警察官の力強さの中に秘められた心はとても優しく、常に県民に寄り添ってくれる身近な存在であっていただきたいと思います。  今後も、弱きを助け強きをくじくという強さと優しさを兼ね備えた警察官を一人でも多く育成していただきたいという県民の願いを込めて、次世代を担う警察官の人材育成についてどのように取り組んでいかれるのか、警察本部長にお伺いをいたし、以上、代表質問といたします。(拍手) 11 ◎山口知事 登壇=藤崎輝樹議員の御質問にお答えします。  まず、県政運営についてですが、特に人口減少対策についてのお答えをいたします。  戦後の日本は、人材を地方が中央へ送り続けることで高度経済成長を続けてまいりました。佐賀県は特に推進をしておりました。  当時、特に大阪、名古屋へ人を流出させてきたわけであります。ただ、やむを得ない部分もありまして、昭和四十年代の有効求人倍率は〇・三台、ほとんど県内就職できなかったわけであります。かくいう私も両親が佐賀人であったわけですけれども、佐賀で結婚した翌年で、私が生まれたのは東京都世田谷区ということになったわけでありまして、まさにそういった時代だったんだろうと思います。  この高度経済成長期からのことについては、私自身も統計分析課を中心とした統計分析チームとよく議論をさせていただくわけであります。昭和四十年代、特に昭和四十年という年でありますと、佐賀県の人口は八十七万人、滋賀県は八十五万人、奈良県は八十二万人ということでありました。佐賀よりも滋賀、奈良は少なかったわけですが、令和二年で比べますと滋賀県は百四十一万人、奈良県は百三十二万人ということで、我々八十一万人ですから、人口だけですけれども、そこに大きな差がついているということなんです。  では、何でこうなったのかということなんですが、高度経済成長のときに、例えば、大阪府とか名古屋、愛知は急激な人口増をしています。サラリーマン化、工場が多く増設されてということでありまして、奈良は一部の地域がベッドタウン化をしていきます。滋賀は豊富な水資源などがありますので、工業化がされていきます。ということで、それに引きずられて急激な人口増をもたらしたわけですけれども、それでは我が県はどうであったのかということです。  最近、福岡が人口減少下の中で人口増になっているので、どうなのかなということで調べますと、実は高度経済成長期に福岡県さんはそんなに増えていないんです。ほぼ横ばいのような形になっていて、ここがちょっと今の我々からするとぴんとこないんですけれども、東京、大阪と当時の福岡は違っていて、あまり佐賀県と変わっていないというような姿が浮かび上がってくるわけであります。  ただ、今、足元で考えますと、福岡県さんは人口が、この減少社会の中でかなり増えているというところでありますので、新たな枠組みとして北部九州はできてきているのかなと思っています。ですので、アジアの成長の中で大陸に近いという地の利を生かして、今度は新しい北部九州という形の中で、佐賀県も確固たる位置づけとして飛び立っていかなければいけないという認識であります。  福岡県さんとは、それぞれ持ち味が現時点では違います。佐賀県の持ち味は、子育てしやすい環境だったり、人と人とのつながりであったり、美しい自然、歴史、文化ということで、それぞれの持ち味が違うわけでもあります。それから、これまで必ずしも連携が取れていなかった筑後佐賀圏というのは、有明海沿岸地域は我々にとって玉手箱のような、これからポテンシャル満載のエリアであります。ハード、ソフトともに今取組が進んでおりますので、これから宝の海と併せてしっかり盛り上げていかなければいけないと思っています。  一方、また別の分析もございます。人口移動報告というのもしているんですけれども、佐賀県は転出超過が改善傾向となっておりまして、特に平成三十年の改善幅は全国で二位という改善幅でありました。そうしたことの結果もあって、佐賀県の人口は平成十二年に山梨県に抜かれていたんですけれども、二十年ぶりに山梨県の人口を佐賀県が上回りました。ですので、山梨県の人口を抜いて全国四十一位となったわけであります。そういった意味では、あまり誇れたものではないけれども、何とか善戦はしているのかなと。ただ、この動きをもっと強い動きとして、佐賀県に人材が集まってくるような流れをつくらなければいけないなというように言い聞かせて頑張っております。  山梨県との比較でいいますと、一つ特徴的なところとして、外国人住民数というのは今の段階でも山梨県のほうが八千人多いんです。ですので、佐賀県は実は外国人住民が少ない県で、こういったところというのは、これから人手、担い手、それから国際社会、こういった面からするとまだまだ伸び代がある地域だと思いますので、本当に多文化共生とか、そういった政策というものが急務だなというふうに思っています。  今後の方針についてですけれども、心の過疎の話をしていただきました。全く私はずっとそう思っておりまして、人を引きつける土地の魅力を増していくということをしていくためには、住んでいる住民が、自らの地域を誇って、できれば真っすぐに話していただきたいなというふうに思います。  藤崎議員の葉隠のお話、なるほどなと感じるところもあります。やはり佐賀の皆さん方と話していく中で、自分を誇らしく言うというのが、ちょっと言いづらい雰囲気にどうしてもなってしまって、それ自体、謙譲の美徳というのは本当にあるんだと思います。それ自身、とてもかっこいいことだと思いますが、ただ、現在こうやって国際社会になっていって、SNSでみんなの情報が飛び交うような社会になっていきますと、謙譲の美徳を分かっていただけない方も多いわけでありますので、やはりいいものはいいと言っていくという部分もどうしても必要になっていきますので、佐賀県人である我々が、大切なものはしっかりと持ちつつも、発信するときには、すばらしいものはすばらしいでしょうというような雰囲気にしていくことを、我々自身がもっと認識していかなければいけないというふうに思っております。  そして、藤崎議員からも次の世代が大切だということで、国会議事堂の話もありました。確かに四本の柱の中で一本がなくて、三つのうちの一人が大隈重信侯だというのは大変誇らしいことだと思います。この話は即採用させていただいて、いろんなところに展開していきたいというふうに思っています。  さらに、佐賀県の飛躍のヒントなんですけれども、海外からの高い評価というのは、私はこの七年間やった上で一貫しております。やはり環境のすばらしさ、そして、文化的な風土をとても気に入っていただいております。フィンランドやニュージーランドなどキャンプをしていただいた皆さんもそうですし、スペインのホルヘ駐日大使も佐賀に関心を持って、向こうのほうから声をかけていただいて、今、提携をするという形になったわけであります。  やはり佐賀県の本質的な美しさというのは、世界の中で光っていくものなのだなというふうに思いますし、それが佐賀の評価というものに返ってくるのかなと思います。  東京の評価というと、どうしても高度経済成長期からの先ほどの話になっていて、佐賀というものの一定の評価、それから、佐賀に来たことがない人ばかりの中での評価ということになるので、やはり弱いということは言えます。  さらに、報道機関の少なさというのも大きく影響しているのかもしれません。なので、やはり本質的なすばらしさを追求して、世界に向けて発信するということが実は近道なのではないかというふうに思います。さらに、佐賀の子供たちに見えてこない、なかなか見えないのかもしれない佐賀が持つ本物の価値というものを気づいていただけるように仕掛けていきたいと思います。  東京中心の時代から、地方が創意工夫によって輝くことのできる時代へと移り変わってきていると思いますし、その流れはコロナ禍によって一層強くなってきていると思います。コロナが収束しますと、大きな動き出しが起こると思います。そのときこそ、佐賀県で人材が生きていくような形で県内就職率も高めていきたいし、多くの企業や人材が佐賀に集まっていただいて、佐賀で学び、技術を磨いた人材が世界に向けて発信して、同じ志を持った人材が佐賀に集まってくる流れをつくりたいと考えています。  続きまして、来年度の県政運営の方針でございます。  来年度予算に当たりましては、改めて県政全体を俯瞰して人づくりに力を込めたい、変革期である今だからこそ、改めて人に投資していくことが必要というふうに考えたわけであります。  議員がおっしゃるように、時間がかかることは確かです。ただ、人に投資することは裏切らないと思います。必ず将来に向かって花が開いていく、希望の投資だというふうに私は思っていますので、「プロジェクトM」、「プロジェクトIF」のような災害対応とコロナ対応をしながらも、しっかり人に投資をしていきたいと思います。  具体例は、例えば産業、福祉でいえば「林業アカデミア」の話がありました。「SAGA Doctor-Sプロジェクト」もあります。移住支援を全国に拡大したり、実は「ゆめさが大学」の卒業生にも投資をしたいと、生涯学習は大切であります、地域活動を後押しすること。スポーツ関係でいえばアスリート寮の整備ですとか、全国トップレベルの開放型の拠点整備。さらに本業であります教育でありますと、唯一無二の学校づくりを教育委員会が頑張るということであります。少人数学級も「JAXAGAスクール」もそうです。力を入れていきたいと思います。育成されることが大きな付加価値を生み出していけるように、「人づくり大県さが」をつくっていきたいと思います。  そして、濱口雄幸の話をされました。私のバイブルの一つが「男子の本懐」という濱口雄幸を題材にした本なんですけど、命をかけてでも政策をやっていく、そのために死ぬことがあっても男子の本懐であるという、私はずっとその思いで仕事をしております。佐賀のためであれば命をかけてやっていきたいと、心からずっと思っております。  三期目についてどう考えているんだというお話もありました。  ということで、今はコロナ対策と災害対策を第一としながら、先を見据えて様々な取組を盛り込んだ大切な新年度の予算を編成したところであります。新年度の事業の推進に全身全霊をかけて取り組ませていただきたいと思います。よろしくお願いします。  続きまして、新型コロナウイルス感染症への対応について、コロナとの向き合い方についてお答え申し上げます。  コロナ対策のミッションは、救える命を救うことであります。そのためには、コロナ以外の救急医療、通常診療を常に受けられる医療環境を堅持することが大事であります。このミッションの下、二年間、コロナに全力で向き合ってまいりました。二年前の三月に初めて感染者が確認されて以降、「プロジェクトM」によりまして患者の症状に応じた入院調整を開始いたしました。最初の頃は著名人がコロナに感染してお亡くなりになるなど、なかなか相手がよく見えなくて、非常に緊張──もちろん今も緊張しておりますけれども、大変な状況で、症状が悪化する患者に必死に対応していました。重症化が非常に多くて、常に命そのものと向き合ってきたようなときだったと思い出します。  さらにこの二年間、感染拡大、収束を繰り返す中で、コロナウイルス自体も変異を続けてまいりました。そして、現在においては新たな変異株、オミクロン株による感染が今年一月中旬から拡大をしたわけであります。  オミクロン株は、一般的に感染力が強く、職場、学校、家庭などで感染が連鎖するループ感染が広がりまして、その後ですが、高齢者施設等へも広がったわけであります。今の課題はそこでありまして、九十代以上の感染者が増えているということが我々の今の懸念材料ということで、何とか高齢者施設での蔓延を防ぐということが急務ということになっております。
     一方で、従来のものよりは毒性は弱く、特に若い人に対しては症状も軽症、無症状の方が多いことも分かってまいりました。そして、やはり高齢者の皆さん方の中に重症化する方には、ワクチン未接種者が相当数おられるというのが我々の分析の結果でもございます。  このようにオミクロン株というのは、従前のアルファ株やデルタ株とは特徴が違います。向き合い方は違うべきであると思っておりますけれども、国のほうにはこれは再三申し上げているんですけれども、同じ物差しで判断しないことが大事だと思いますし、感染症法上の二類、五類についてどう考えるかみたいな問題もあります。ぜひ今後の戦略を示すことが大事だと思います。  知事会等で佐賀県は、これを国に常に訴えてまいりました。オミクロン株の特性を踏まえて、これまでのように飲食店を中心とした対策を続けるのではなくて、どう社会経済活動と向き合いながら出口戦略を示していくのかということが大切であります。新たな変異株がまた出てくるかもしれない。でも、そのときには改めてその相手の正体を確認して、それに応じた戦略を一つ一つ丁寧に立てていくということが必要だろうと思っております。  県としては、このようにオミクロン株に対しては、感染防止対策と社会経済活動の両立をどのようにして折り合いをつけていくのか、現在検討をしているところであります。  おかげさまで、県民の皆様の御協力にもよりまして、全体として下向きを維持しております。「まん延防止等重点措置」のような制限を伴う措置というのは、限定的であるべきと考えておりますので、現時点におきまして、再延長はしない方向で検討したいと考えております。  続きまして、佐賀市への保健所業務の移譲についてお答えします。  本当に保健所のメンバーにはすごく頑張っていただいております。同志であるメンバー、頼もしく思っております。いつも感謝しております。ありがとうございます。  それで、まず申し上げておくこととして、地方分権の推進というのは大切なことで、地域に近いところで様々な政策判断をしていくということは大変大事なことだと思いますので、できる限り住民に身近なところで企画、提供されていくということについては私も大賛成でありますので、もうまだら模様でもいいから、市町で、自分たちでやりたいというところは持っていってくださいという話をさせていただいているんです。  ただ、この保健所業務ということに関しては一言申し上げておきたいと思います。  コロナをずっと二年やっているんですけれども、危機管理はできる限り情報を一元管理してオペレーションしているということがとても大切で、「プロジェクトM」の一つの大きなポイントでもあります。全てを我々が把握して、それを皆さんと共有しながら対策を打っていくということです。  このオペレーションを行う上で、例えば、一元管理の利点を申し上げると、分析に必要な追加情報も県が一元に管理しているので迅速に収集が可能でありますし、実は、保健所間で当然のように人は動いているわけでありますから、そこだけが空白地域にならなくて済みます。全てのエリアをまたぐ感染経路の把握が可能ですし、保健所管内ごとの傾向もリアルタイムで把握が可能であります。さらに、全県的に統一した対策を戦略的、機動的に打つことが可能であります。  それが一元的でないと、市でやっていますから、数字も含めてそこの市の情報を待った上で県として集計するということになるので、私は、今このコロナをやっていく中で、さらに保健所の職員、県職員ですけれども、市の職員になっていただくためには、いろんな研修があったり、いろんな手続がこれからあります。  ぜひ、今、みんなにはコロナに専念させて、みんなでコロナに打ちかつというところをまずやらせていただきたいなというふうに思います。  さらに、今「プロジェクトM」で一元的で広域的な入院調整の運用も可能となっておりますし、感染状況に応じて、保健所間や本庁も含めて、今、柔軟に人繰りをしています。足らないところに人を埋めたりということもできているので、このように県全体で保健所を所管しているのは、全国で佐賀県と徳島県だけであります。これは、大いに今、コロナ対策の強みとなっています。ですので、今、コロナ対策を最前線で担っている保健所の移譲について議論を行うタイミングではないのではないかというのが私の思いです。  坂井市長も、県と意思疎通を図って丁寧な議論を進めたいと言われておりますので、そうした市における議論も見守ってまいりたいと考えています。  続きまして、九州佐賀国際空港、佐賀空港への自衛隊配備についてお尋ねがございました。  まず、空港の維持管理のための応分の負担についてです。  議員からは侍の話が出ていました。本当に、私からもよくぞ佐賀空港を造っていただいたと思いますし、マイエアポート運動ですとか、職員はじめ、みんなで盛り上げております。コロナ後が楽しみであります。そして、こういった取組を牽引していただいた井本元知事や古川前知事にも敬意を表したいと思いますし、この空港が県民の大きな財産だということは、我々は忘れてはいけないことだというふうに自負しております。  この自衛隊が使用する際の着陸料についてですが、平成三十年八月に、県と防衛省との間で、防衛省が年五億円、二十年間で合計百億円を支払うということで合意してあります。これを交渉した過程は、議員からもお話しいただいたように、県議会も含めて判断をすべきだというふうになったときに、私が判断をした後に交渉するよりは、その前に交渉して、しっかりと漁業振興に役立ててもらうための、有明海漁協に少しでも分かっていただくための施策を用意しようということで、官邸、防衛省とともに交渉していた話だったと思います。  そのときに合意をした内容として、この着陸料収入を元に、有明海漁業の振興を行うために、漁業振興基金などを創設することとしたわけであります。その経緯については、議員からお話しいただいたように、防衛省が有明海に対してお金を出すというのは、なかなかそこは難儀をしたわけでありますけれども、様々な検討の中でこうした形になったわけであります。  このように、この着陸料ということについては、既に防衛省と合意をしております。したがって、さらに加えて空港の維持管理のための応分の負担を別途徴収するというのは困難だろうと考えています。また、繰り返しになりますが、年五億円については、有明海漁業の振興のために活用することとしております。  なお、九州佐賀国際空港はあくまでも民間空港として発展させていきたいと思います。これについては、常に防衛省にも確認をさせていただいているところでございます。  続きまして、米海兵隊の佐賀空港利用についてお答え申し上げます。  私が知事に就任して最初の頃、いろんな皆さん方の意見を聞く中で、米海兵隊の佐賀空港の利用については、米軍が常駐するのは困るとか、米軍に来てほしくないとか、やはり米軍が来ることによる様々な課題ということに対して、不安の声を直接お聞きしておりました。私も同じ思いでありましたので、最初の段階で、この米海兵隊の佐賀空港利用も含めて、計画の全体像、将来像を明確にするように防衛省に求めたわけであります。  この求めに応じる形で、平成二十七年十月に、当時の中谷防衛大臣が来県されまして、明確に米海兵隊の佐賀空港の利用要請は取り下げられたわけでありまして、三つの要請のうちの一つがその時点でなくなったわけであります。私は、防衛省のトップである防衛大臣の、米海兵隊の佐賀空港の利用要請は取り下げますとおっしゃったこの意味は大変重いと考えているわけであります。佐賀空港が米軍基地化するとか、あるいは米軍が恒常的に佐賀空港を使用することはないものと考えています。  また、それ以外の訓練利用などについては、そのような要請がされていない中で仮定のことについて答えるのは難しいと思います。ただ、私は再三申し上げておりますように、厳しく、厳しく対応するということは申し上げておりますので、その状況次第で厳しい対応をしたいというふうに考えております。  なお、米海兵隊の佐賀空港の利用要請は取り下げておりますので、既に取り下げられた内容を改めて協定等で確認することは考えておりません。  続きまして、九州新幹線西九州ルートについて、国との議論に対する考え方についてお答え申し上げます。  西九州ルートは、鹿島や太良など、長崎本線沿線地域の大変つらい思いがある中で、新鳥栖-武雄温泉間は在来線を利用することを前提に当時の知事が武雄温泉-長崎間の整備に同意されたものです。そして、私にはいろんな思いがありますが、佐賀県がこれまでしてきた約束は守らなければならないと思います。  フリーゲージトレインの導入までは、その時々に全ての関係者が合意して進めてきたわけであります。ただ、このフリーゲージトレインの導入を国が断念したことで、六者合意を含むその枠組みが壊れてしまうことになりました。この状況を招いたのは、言うまでもなく国の責任であります。佐賀県から何かを提案して打開しなければならないということではありません。  我々は、鹿島や太良など沿線地域の皆様の本当につらい思いの上に行われていることをしっかりと受け止めなければなりません。もっと言えば、武雄温泉-長崎間の新しい路線のために、我が県は多額の建設費負担も含め、これまでどれだけの協力をしてきたのかと思います。  これまでに合意していない新鳥栖-武雄温泉間のフル規格については、在来線の利便性低下や多額の建設費負担など、様々な論点について議論を深めなければいけません。それぞれの論点一つ一つが佐賀県民、そして、佐賀県の将来にとって、とても大切なことであり、どれか一つ合点がいけばいいというものではありません。個別の論点ではなくて、全体として合点がいけば合意しますが、合点がいかなければ合意しません。今後も、真摯に協議に向き合い、何が望ましい姿なのかということを大きな視点を持って幅広く骨太に議論してまいりたいと考えています。  フリーゲージトレインについて申し上げます。  これについては、対面乗りかえが恒久的に続くことは利用者にとって不便という意見に対して、フリーゲージトレインを安全性が確保された速度で走行させることも考えられるのではないかと提案させていただいたものです。乗換えが不便であれば、フリーゲージトレインを安全性が確保されたスピードで走行させてはどうかと提案したわけです。鉄道局からは、これまでの説明と同様に、技術的な課題や導入効果を理由に、フリーゲージトレインの開発は困難であるという説明に終始し、新たな話は「幅広い協議」の中ではなかったと聞いています。  フリーゲージトレインは関係者が合意したものであります。我々が合意した最後の六者合意もフリーゲージトレインが前提のものでありました。技術評価委員会は開発は困難とはしておらず、現状で鉄道局が不便といわれる対面乗りかえを解消する方法として提案したわけでありますけれども、前向きな説明がなかったのは残念でございます。引き続き、幅広く協議させていただきます。  ルートについても言及がございました。  フル規格についてはルート一つ取っても議員からのお話もあるように、様々な意見を承っております。また、フル規格については、ルートのほかにも在来線の利便性の低下、さらに多額の建設費負担など様々な論点があります。そして、様々な論点一つ一つにいろいろな意見がございます。鉄道局と幅広く協議する必要があると思いますが、今の時点では、議論に必要な材料は示されておらず、議論を深めることにはなっていないのが残念です。  西九州ルートの問題は、県民生活、佐賀県の将来に大きく影響する話ですので、性急に判断せず、様々な論点についてしっかり腰を据えて議論していきたいと考えています。  最後に、新しい時代の流れを踏まえた障害福祉事業所への支援についてです。  こちらについては、藤崎議員の方向性について同感です。私も、様々な障害がある方の就労支援の現場を訪問してまいりましたけれども、生き生きと仕事をやっている方も多くて、いろいろ私から手順などを尋ねますと、笑顔で答えてくれる方が多いです。さらに、慣れた手つきで作業が早くて、集中力があって、丁寧に取り組まれているなと思います。  やはり、感じたのは、職場なんだけれども、スタッフが一人一人に合った支援をして、仲間とともに励まし合いながら自分を表現できる居場所になっているんだなということであります。また、少しでもそういうふうな形にしていかなければならないと思います。  さらに、いろんな事業所がある中で、絵画制作、デザインなどアート活動を生かして大手企業との商品のコラボや展覧会を開催するなど、全国、海外も視野に活用を目指す事業所もあります。  利用者の才能を生かす場所を増やして工賃アップにつなげたり、サービス向上につなげようと、福祉の枠を超えて、スタートアップ企業向けに用意している県独自のプログラムでビジネスのブラッシュアップにチャレンジする事業所もあります。それぞれが新たな動きをしようとすることはすばらしいことであります。  ただ、利用者はそれぞれ得意なものが違っていて、障害特性も違うものがあります。やはり同じ仕事をすごい集中力でやるということに優れた方も多うございます。例えば、菓子の工程にしても、ひたすらこねるとか、型抜きをするとか、イラストを描くとか、それぞれの適性に応じたところを専門職のような形でやって、それを全体として一つの製品としてコーディネートしていくといったこともすばらしいと思いますし、そういう特性に応じて、農福連携のときにも話がありましたけれども、そこをうまくコーディネートしていくということをやりさえすれば、少しでもステップアップしてみんなでつくり上げた製品、その販売方法をビジネスの視点で磨き上げて、付加価値を高めていくということが可能になりますし、それができますと、今度は賃金や工賃アップにつながってまいります。そうなりますと、ますますやりがいを感じて、生きがい、達成感が生まれてきて、さらに技術がステップアップすると、何かいい循環が生まれてくるということになりますので、その形になるように県はこれからも支援していきたいと思います。  ビジネスの視点からの支援のほか、ICT活用などを支援していきたい、販路拡大に向けたオンライン販売サポート、農福連携にも力を入れていきたいと思います。それぞれの事業所がそれぞれに合った形で新しいことにチャレンジしていけるように支援してまいります。  できること、得意なことを生かして伸ばすこと、そして、社会とつながることで、一人一人が輝いてくるものと思います。みんなが安心できる居場所、障害福祉事業所をこれからも支え、応援してまいります。(「知事、一件、答弁漏れ。議長、答弁漏れ。議事進行よかですか」と藤崎輝樹君呼ぶ) 12 ◎議長(藤木卓一郎君) 何ですか。(「知事、答弁漏れで、着陸料のことで求めないのであれば、利用負担を求めないのであれば、県民不在と指摘されても仕方ないと思うが、県民の思いについてどう思うかというところを」と藤崎輝樹君呼ぶ)知事は質問の趣旨を理解できましたか。 13 ◎山口知事(続)=失礼いたしました。  九州佐賀国際空港は県民のみんなの思いで、そして、県民のお金でつくった県民のための空港です。ですので、民間空港として発展していくということが第一義であります。  今回のこの自衛隊の使用要請につきましては、国防上の要請から国のほうからお話がありました。もちろん県民の皆さん方の意見を聞きながらということで、私も様々なお話も伺いながら、先ほど申し上げたような米海兵隊の話、そういったものについても対応させていただいたわけでありますけれども、今回これが実現するかしないかということで、この要請を受け入れるためには、何といっても有明海漁協との公害防止協定というものに対する対応というものがなければ、これに対しての理解がなければ、前へ進まないということでありますので、まずは有明海漁協さんとの交渉ということを先に進めさせていただいたということであります。  いずれにしても、もしこれで公害防止協定の覚書が改正されるということになりますと、この次は佐賀市さんですとか、農協さんですとか、それから、市民の皆さん方に説明をするということになりますので、あくまでも県民不在とならないように、しっかりと取り組ませていただきたいと思います。  以上です。 14 ◎落合教育長 登壇=私のほうからは、学校教育について二点お答えをいたします。  まず、新聞を活用した教育についてお答えをいたします。  県教育委員会といたしましては、子供たちを、高い志を持ち、ふるさと佐賀に誇りを持った、様々な社会の変化に立ち向かうことができる骨太のたくましい人材に育てる教育を行っていきたいと考えております。  その中で新聞は、児童生徒にとっても、政治、経済、文化、スポーツ、地域情報など、世界情勢から身近な暮らしに至るまで社会とのつながりを持ち、幅広く知見を得ることができる有用なツールであると位置づけをしております。  最近はスマートフォンなどのデジタル端末の普及によりまして、児童生徒自身が自分の求める情報を素早く検索したり、多くの情報に接したりすることが日常的となってきております。それでも新聞をよりどころとして、様々な知見や価値観に接して多角的な視点も持ちながら、自分の考えをまとめ、発表したりすることで、読解力や情報活用能力、発信力などを高めていくことも重要だというふうに考えております。  学校では、国語科、社会科、公民科の授業や、小中学校の総合的な学習の時間、高校の総合的な探究の時間などで、新聞を活用した取組を行っています。また、関係機関と連携して、学校教育に新聞を活用する、議員もちょっと触れられましたけども、NIE、Newspaper in Educationの頭文字を取ってNIEですけども、NIEと呼ばれる取組を行っている学校もあります。  現在、全ての県立高等学校の学校図書館などに新聞を配備して、授業外においても生徒がいつでも新聞を閲覧できるような環境を整備しております。  学校においては、児童生徒の発達段階に応じて様々な機会を捉えて新聞を教材や参考資料として活用する取組を行っています。そうした取組は、佐賀県の子供たちが高い志を持って地域社会や日本、世界の将来を担う人材として育っていく上でも有意義なものであると認識をしております。  次に、教員の人材確保についてお答えいたします。  大量採用した世代がここ数年、定年退職を迎えていることや、特別支援学級数の増加などに伴いまして、採用者数を増やしているという背景があるものの、近年、教員採用選考試験における競争倍率が低迷していることにつきましては、県教育委員会としても強い危機感を持っております。  そのため採用選考試験においては、受験年齢制限の撤廃など、毎年様々な工夫改善を行ってきました。さらに令和四年度は、現職教員のUJIターンや唐津の離島に係る特別選考の新設、教員になりたいという意欲にあふれた方々に、セカンドチャンスを提供する秋の採用選考試験の実施などに取り組むこととしております。  また、教員の人材確保のためには、職場環境の改善も重要です。学校における働き方改革は喫緊の課題として最近取り上げられることが多いですけども、特効薬のない総力戦とも言われるように、国、教育委員会、学校、それぞれの立場において取組を着実に推進していくことが必要です。  県教育委員会としましても、勤務時間管理の適正化や部活動改革、PTAや地域との連携強化などにより、教員の負担軽減を図っていくこととしております。  そして、何より佐賀県で働くことや、あるいは教員として働くこと、そういったことの魅力を様々な手段や機会を活用して積極的に発信していくことにしたいというふうに思っております。  このように、あらゆる方策を総動員して、佐賀の子供たちを育むという強い志を持った教員の人材確保に全力で取り組んでまいります。  以上です。 15 ◎松下警察本部長 登壇=私からは、県警察の人材育成についてお答えいたします。  藤崎議員からも御指摘がありましたが、県警察では平成十九年頃からなのですが、大量退職に伴う大量採用によりまして、採用後十年未満の警察官が警察官全体の約四割を占めるなど、組織の若返りというのは現在も進んでいるところであります。  先ほど強さということについて御指摘をいただきました。  まず、県警察では、あらゆる事件、事故に対処するため、第一線、現場における人的基盤の強化を重要な課題と位置づけており、若手警察職員の早期戦力化に力を入れて取り組んでいるところであります。  県警察は、「県民の期待と信頼に応える力強い警察」を運営指針に掲げておりますが、まず、採用後間もない警察職員に対して、県警察学校におきまして、県民のための警察を念頭に、警察職員としての正義感、倫理観を養うための職務倫理に関する教育や、気力、体力を養うための柔道、剣道、逮捕術、こういった訓練を通じて育成を図ることはもちろんのこと、鑑識などの専門技術、専門分野の知識や技能の習得を目的とした教育を行っております。  また、第一線の職場においては、豊富な知識、技能を有する警察署のベテラン職員を継承指導員に指定しまして、職務質問や交通指導取締りなどに同行させて、そこで指導させるということを行っているほか、初動対応の生命線と言われます通信指令や、近年、サイバー空間に脅威を与えている犯罪の対処などに関し、IT技術など専門的な資格などの技能を有する実務経験が豊富である職員などを技能指導官に指定し、各署への派遣や研修などに運用し、若手職員に対して、技能や知識の伝承を図っているところであります。  加えて、現場経験が少ない若手職員に対しては、刻々と変化する事件現場などを想定し、職務質問の技術や一連の逮捕手続などを習得させるためのロールプレーイング方式の訓練を反復継続し、職務執行力の向上に努めているところであります。  一方で、強い職務執行力と同じように警察職員には常に県民に寄り添う優しさも大切であります。県警察学校では、採用後間もない職員に対しまして、警察本部長、私をはじめ、各級幹部による授業などを通じまして、様々な立場にある方々に接する際の考え方、これを繰り返し教育しているところでございます。  例えば、毎年、障害者施設の方々に御協力をいただきまして、施設に赴いて行われる介護実習を設けております。この実習は、現在、新型コロナウイルス感染症の影響でやむなく中断をしておりますが、このほかでも講師を招いて手話通話実技の習得に努めるなど、支援を必要とする方々に寄り添える警察職員を育成するための取組を継続して行っております。  また、第一線に赴任した後も、障害の内容に応じ配慮すべき事項をはじめ、障害を持つ方々について職員が正しく理解できるよう、各警察署において定期的に教育を行っているところであります。これは若手のみを対象とするものではありませんが、このほか例えば、交番や警察署には日頃から様々な問題や悩みを抱えた方が相談に訪れるわけですが、相談への対応状況を警察本部の幹部が警察署を巡回して確認したり、他機関の講師を迎えて相談担当者への研修会を開催したりしております。加えて、様々な県民の皆さんの立場に立ち、親切で真心のこもった対応を行うことができるよう、民間企業から講師を招いて研修を開催し、応接の質的な向上に取り組んでいるほか、最近ではリモート形式の研修会も行っております。  警察活動に当たり、県民一人一人の立場に思いを致し、それを理解することは大変重要であると認識しております。今後も、県警察が真に県民の期待と信頼に応え、県民の皆さんが安全・安心を実感できるよう、警察職員の育成に取り組んでいく所存であります。  私からは以上です。 16 ◎議長(藤木卓一郎君) 以上をもちまして、代表質問を終了いたします。  本日の日程は終了いたしました。明日二十六日及び二十七日は休会、二十八日は議案審査日、三月一日は本会議を再開して一般質問を行います。  本日はこれで散会いたします。お疲れさまでした。     午後四時三分 散会 Copyright © Saga Prefectural Assembly Minutes, All rights reserved. ページの先頭へ...